【ツアー報告】フォトツアー八東ふる里の森と吉備高原のブッポウソウ 2022年7月15日~16日
(写真:コノハズク 撮影:宅間保隆様)
昨年からツアー企画することになった八東ふる里の森。当地は深いブナ林のためアカショウビンやコノハズク、オオコノハズクといった魅力的な野鳥たちが生息しており、以前からツアー企画を考えてはいましたが、設備面での問題がありなかなか進まない状況にありました。ただ昨年より設備面で大きな変化があり、旅行会社目線で考えた時になんとかお客様をご案内できる状況になりました。今期は早い段階からアカショウビン、オオコノハズクの飛来情報がありましたが、今回のツアーはどちらからというと時期的にはコノハズクとブッポウソウを撮影するにあたり最も適した時期に合わせて設定しました。コノハズクに関しては個体数が少ないためうまくタイミングが合うか不確定要素がありますが、ブッポウソウに関しては個体数も多くポイントも複数あるため、その中から撮影に最適なポイントを選ぶことができる時期です。今回はそもそもの天気予報はかなり悪く出ていましたが、直前になってやや良い方向に変わっていました。
15日、早朝に小雨模様の東京駅を出発し、集合場所に少々早めに到着しました。途中の車窓からは目まぐるしく変わる空模様を見ながら進みましたが、到着した現地は晴れ間が見えるような状況で気温は30℃には届いていないようで、それほど厳しい暑さではありませんでした。全員の集合が完了したことからひとまず鳥取県に向けて北上し、まずは道の駅にて各自昼食をとっていただきました。その後はさらに北へ北へと進みましたが、天気は一進一退といった感じで曇りと小雨を繰り返し、途中からはとうとう小雨模様になってきてしまいました。ただ気温は23℃とかなり下がってきていて、暑さを気にしていた私にとっては少々気楽になっていました。そしていよいよ八東ふる里の森に続く峠道を走ると曇り空ながら雨は止んでいました。到着間際からは携帯やスマホの電波もなくなり深い山奥にやってきたということを感じることができました。現地に到着後は荷物を持ってバスを降り、ここからは5分ほど歩いて管理棟に向かいました。ここでは立ち入り禁止区域を含む、園内のルールや園内の施設の説明、現在の野鳥の状況などを担当者から伺い、その後は一旦、各自宿泊するバンガローに移動して撮影準備に取り掛かりました。周辺からはキビタキ、オオルリのさえずりが聞える中、まずは日中にブナ林のどこかにいるコノハズク探しに取り掛かりました。すでに園内には複数のバードウォッチャーの姿がありましたがどうやらコノハズクは見つかっていないようでカメラを構えている人はいませんでした。ただ幸いにも30分ほどでまず1羽、それを撮影しているともう1羽もいるようだとなり、結果的にはつがいと思われる2羽のコノハズクを日中の時間帯に観察、撮影する機会を得ることができました。しばらくしてアオバズクの状況を見に行ってみましたが、こちらもつがいと思われる2個体が日中に普通に見られたことから皆様にお伝えしてお好きな方の撮影をしていただきました。コノハズクは小型種であること、またブナ林の茂みに隠れるようにじっと止まっていることから探し出すことは極めて難しく、おそらく我々はラッキーだったのだと思いました。また撮影となると、うまく全身が見えるポイントを探し出すのに時間がかかるうえ、目をなかなか開けてくれないなどもあって思った以上に時間を要しました。また15:00を過ぎた頃からは雷鳴が轟きはじめ、16:00頃からは激しい雨のため1時間ほど中断もありました。この日は夜の撮影も加味して少々早めの17:30から夕食をいただき、その後はライトアップされた森の中で夜のコノハズク、アオバズクの撮影を行いました。夜の行動を実際に見られるというのは極めて貴重な機会のため、この日は撮影は一旦休止して2時間ほど観察をしてみましたが、飛んでいる姿はまるでコウモリのように見え、セミやガといった昆虫をおもしろいように捕らえてくる様子には驚かされました。この日はバンガローに戻ってからもコノハズク、アオバズク、そして早朝にはトラツグミ、アカショウビンの声もよく聞こえていました。
16日、この日は意外にも早朝から青空が広がっていました。早朝にはトラツグミ、そして薄暗い時間帯にはアカショウビンの声は聞こえましたが、正直、この時期に早朝探鳥の意味はあまりないように感じました。ひとまずこの日もコノハズクがどこに止まっているか探してみることにし、幸いなことに全員の協力のおかげもあって2羽共に見つけることができました。そのため出発時間までじっくり最後の撮影をしてからブッポウソウの撮影のために出発して岡山に向かいました。途中、休憩を挟んでさらに移動、この頃には小雨が降ってきてしまいましたが各自昼食を買っていただいてから一旦、吉備中央町に向かいました。吉備中央町はウェブサイトでブッポウソウの観察について情報公開していて、場所に寄っては巣箱にカメラを入れて巣の中の様子をライブで見られるようにもしています。まずは観察小屋に向かい、ここでしばらく様子を見ました。幸い巣箱の中のヒナは無事に育っているようで餌を持った成鳥が飛んでくる様子を撮影することができました。ただ長時間の滞在は禁止とのことで次の場所に移動しました。ここにも観察小屋が設置され10日ほど前は良い状況だったようですが、この日はヒナが巣立ち間際だったことからか、成鳥の動きが芳しくないようだったのでさらに移動することにしました。のどかな里山風景を見ながら進むと、奥には公園がありここにも観察小屋が設置されています。ここも昨年、管理者の方からご紹介いただいた場所で間近にブッポウソウを見ることができます。今回は時々、巣箱からヒナが顔を出してはいましたが成鳥の動きは良く、大きなガを咥えて飛んでくる様子や、電線に止まってさまざまなポーズを見せてくれ、しばらくの間、撮影を楽しむことができました。この日もそもそも天気予報は良くありませんでしたが結果的には小雨がパラつく程度で撮影を終えることができ幸いでした。
さて、昨年に引き続いて鳥取県、岡山県をめぐるツアーでしたが、今回からは現地の状況を鑑みてフォトツアーとして企画してみました。結果的にはこのツアーの主役であるコノハズクを日中、夜と撮影することができ、ブッポウソウに関しても見事に大当たりで撮影には最適な状況に恵まれました。状況を見ていましたが昨今のお客様のご要望等を考慮すると野鳥を撮影するためのツアーを今後は増やしていった方が良いのではないかと改めて思った2日間でした。中には技術的なご質問をされるお客様もいらっしゃるため、こういったことにも私は対応可能なのでさらにフォトツアーの良い点が出せたのではないかと思いました。今回訪れた場所はいずれも希少な野鳥が生息し、それらを現地のスタッフの方々が見守っているいわば共存を可能にした場所です。またこれらに関して積極的に情報発信されている点も共通していて新しい野鳥観察の形ではないかと感心させられました。いずれの場所も今後もさらに良い形で我々を楽しませていただけたら嬉しいものです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。また現地でお世話になった皆様にも感謝申し上げます。
石田光史