【ツアー報告】真夏の宮古島 アカショウビンとアジサシ類 2022年7月4日~7日

4日、宮古空港上空に発達した積乱雲の影響で羽田便の到着が遅れるというスタートとなったが、無事に合流して宮古空港を出ると、南国の雨上がり特有の蒸し暑さにつつまれている。出発が遅れたことから空港周辺から観察を始めると、さっそくミフウズラが現れ、個人的には宮古島ではもっとも手ごわいハト類であると感じているズアカアオバトもしっかりと観察することが出来た。鳥のほうは幸先の良いスタートである。さらに森林沿いではキンバトも歩道上に現れ、森のなかからはリュウキュウアカショウビンの独特なさえずりも聞こえてくる。南国の日没は遅いため、まだまだ観たいが次の予定もあるので18:00過ぎにホテルに到着し18:30から夕食。ひと休みして夜間観察に出掛けると、翼長1m近くもあるヤエヤマオオコウモリが飛ぶなか、リュウキュウコノハズクが何か所かで鳴き始める。鳴き声を頼りに姿を探していると、まず出逢ったのがリュウキュウアオバズクであった。見つけた1羽が飛んで行った先の木を見ると、同じ木に3羽のリュウキュウアオバズクの姿があったので、巣立った幼鳥と一緒に行動している家族群であったのだろう。その後も見つかるフクロウ類はリュウキュウアオバズクばかりで、残念ながらリュウキュウコノハズクの姿は確認できずに時間切れとなってしまいホテルに帰る。

5日、ホテルを出発して、電線にとまるズアカアオバトやカラスバトなどを観察、撮影する。本日はこのツアーのハイライトのひとつである漁港から釣り船に乗って沖合の岩礁へアジサシ類を観に行く日だ。出航すると、海は穏やかで落ち着いたなかで観察することが出来た。沖の岩礁にはそれぞれ、数十羽づつのクロアジサシがいて、大きく成長したヒナの姿も見られた。岩礁を観察している間にも、クロアジサシとマミジロアジサシが次から次へと船のそばまでやって来て、頭上や目線の高さを至近距離で飛んでいくので、船内はそのたびに盛り上がる。前回のツアーでもヒメクロアジサシが確認されたという岩礁では、今回もクロアジサシと共にとまっているヒメクロアジサシの姿が確認できた。強い日差しの逆光で少し距離はある決して良くない条件であったが、クロアジサシと一緒にいてくれたおかげで両種の違いを確認することができた。帰港後は無料の橋としては日本でもっとも長い伊良部大橋を渡って、隣島の伊良部島に行って昼食を食べようとするも観光客が多くてなかなか注文した食事が出てこない。ようやく昼食を終えた後は漁港の近くで数つがいのエリグロアジサシが繁殖しているので、これをそっと観察、撮影する。その後は宮古島に戻ってベニアジサシを観察、撮影する。ホテルに戻って休憩後に近所の料理屋さんへ夕食を食べに行くと、ちょうどリニューアルしたばかりということでお祝いのお花が多く飾られていて、私たちも食後にお土産としてお祝いのかるかん饅頭をいただく。

6日、早朝にホテルを出発して、アカショウビン、キンバトなどを確認した後に水場に行くが、今年の梅雨は宮古島でも例年に無く雨量が多かったようで、林内に自然の水場が多くあるせいか、鳥の出現状況も芳しくない。それでも、ここでの目当てのひとつであるアカショウビンは2個体が訪れ、その美しい姿をしっかりと観察、撮影させてくれた。水場を後にして、本日は混み始める前の時間帯を狙って、早めの昼食に出掛けて宮古そばなどをいただていると、窓際に座った方たちは上空を飛んでいくコウノトリの姿を確認するという幸運に恵まれた。午後からは湿原で観察を行う。日よけの無い観察棟での観察は暑さとの戦いとなるが、カイツブリ、バン、オオバン、ヨシゴイなどのほか、きれいな成鳥のムラサキサギも確認できたが、残念ながら、期待していたリュウキュウヨシゴイは確認することが出来なかった。厳しい暑さでの観察後は、暑さを和らげるために雪塩製塩所宮古島のお土産として人気の高い「雪塩」の製塩所に立ち寄って、雪塩ソフトクリームやマンゴージュースなどを味わいながらひと休みして、隣接する売店でお土産を購入する。まだまだ暑さ厳しい時間であったが島の農耕地ではツバメチドリが繁殖していて、その姿を観察できるのだが、本日も畑を耕すトラクターの周りに集まる20羽ほどのツバメチドリの姿を観察することが出来た。夕方にホテルに戻って休憩後に近所の料理屋さんでイセエビの豪華な夕食をいただく。

7日、最終日の本日も早朝に出発したが、昨日の野鳥の出現状況が芳しくなかったので、本日は別のところにできた水たまりで待つこととする。すると、ここではオオクイナが何回も現れてくれ、落ち着いた様子でゆっくりと水浴びする姿を、少し距離はあったもののしっかりと観察することが出来た。目当てのオオクイナの姿をしっかりと観察できたので、昨日も訪れた林内の水場を訪れてみると、アカショウビンのほかに、リュウキュウサンコウチョウが池のすぐ上まではやって来るが、水浴びはしないでそのまま行ってしまう。水場を後にして、本日のお昼は「皆愛屋」というお豆腐屋さんがやっている美味しい“ゆし豆腐そば”をいただく。宮古島に来たら一度は食べたいそばのお店であるが、最近はガイドブックなどにも載った影響で、すぐに満席になってしまうので、なかなか訪れることが難しくなってしまったが、本日は訪れる時間がちょうど良くて、待たずに食べることが出来た。幸運はその後も続き、昼食後の農耕地でミフウズラ探しでは何回か現れてその姿を確認できたが、最後に現れたメス2羽は我々の視線をあまり気にすることなく、道端で餌を探し続けており、10分近くも観察することが出来た。なかなかじっくりと観察する機会に恵まれないミフウズラだが、こちらが飽きるまで観察することが出来て、今回の旅を締めくくってくれた。

今回は直前に発生した2つの台風による影響が心配され、ツアー開始日には宮古空港上空に発達した積乱雲の影響で飛行機の到着が遅れ、といつになく空模様に気を揉むツアーとなりましたが、ツアーがいざ始まると晴天が続き、南国の海に映えるアジサシ類の美しい姿やリュウキュウアカショウビン、オオクイナに加え、キンバト、カラスバト、ズアカアオバトなどのハト類、そして最終日にはミフウズラをしっかりと観察することができました。みなさま、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。

田仲謙介

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