【ツアー報告】初夏の富士山 北富士演習場と富士山五合目 2022年6月12日~13日
(写真:コルリ 撮影:竹村章様)
野鳥の宝庫としてしられている富士山。亜高山帯の野鳥たちが見られる富士山五合目は有名ですが、麓の森林帯はコルリの生息密度が日本一の高さで、ほかにもキビタキ、センダイムシクイ、クロツグミ、ヒガラ、ヤマガラなどさまざまな小鳥たちが生息しています。今回はこれら亜高山帯の野鳥、麓の森林帯の野鳥たちを観察することに加え、新たに北富士演習場内でノビタキやホオアカといった草原性の野鳥たちも探す行程を加えて新たなコースを企画してみました。ちょうど梅雨どきということもあって事前に天気予報をチェックし続けていましたがなかなか安定せずといった状況でしたが、結果的には天気予報は良いほうに変わって行き、直前の天気予報では雨マークはなくなり、曇りがちながらも晴れ間も見えるといった予報に変わってくれました。
12日、このツアーは東京駅前集合を通常のツアーよりも遅い09:00にして、遠方からのお客様にもご参加いただきやすくしています。早朝の東京駅前は快晴とはいかないものの空は明るくなってきていて順調にご集合が完了したため予定よりも少々早くに東京駅前を出発することができました。バスは中央自動車道を走り、車内ではこのツアーで見られる可能性が高い種の解説をしながら進み、まずはサービスエリアに到着。ここでは空は見る見る青空に変わり真夏の日差しが照り付けてきていました。その後は現地まで走り、高速道路を降りる頃には空はすっかり青空になっていました。少々渋滞がありましたがまずは混雑している道の駅まで移動して観察機材の準備をしてから北富士演習場に入りました。悪路を進むと途中途中に車が止まっていて、ほとんどの方が山菜を採っているようでした。まずは東側から西側に向かい、最初の場所では早速、ノビタキのつがいが見られ、営巣中なのか、我々の間近までやってきて可愛らしい姿をじっくりと見せてくれ、電線に止まってはのびやかなさえずりを聞かせてくれました。また付近ではコヨシキリが複雑なフレーズを組み合わせながら歌い続けていて、ホオアカも少々地味なさえずりながら歌っていました。その後は一旦、北富士演習場を出て道の駅で各自昼食の時間としました。午後からも再び北富士演習場内で探鳥しました。ここはとにかく面積が広大で道はいくらでもあるためひたすら走り回って時々バスを降りるといった方法で探鳥していきます。午後からも各所でノビタキを見ることができ、ホオアカ、コヨシキリもそれなりの個体数を見ることができました。またいよいよ雪を被った富士山頂が見えるようにもなっていました。午後からはほかにもなわばり宣言しているキジやモズ、アオジ、ビンズイ、そして電線に止まっているコムクドリのメスなども見ることができ夕方に合わせて探鳥を終了してホテルに向かいました。
13日、この日の早朝はホテルの玄関前から見事な富士山を眺めることができました。天気は曇りといった感じでしたが次第に晴れてくることが予想できるような状況でした。早朝は主にコルリを狙って富士山の登山口まで行ってみました。思ったほどコルリはさえずってはいませんでしたが、キビタキ、クロツグミ、センダイムシクイ、ヤブサメがさえずる中、巣立ったばかりと思われるヤマガラのヒナが親鳥から餌をもらっていました。そうこうしているうちに間近でコルリがさえずり出したことから見てみると針葉樹に止まってさえずっているコルリがいたことからじっくりと観察することができ、一旦、姿を消した後も再び姿を見せてくれたことから思いのほか、じっくりと観察することができました。また周辺では幼鳥を連れたカワラヒワやヒガラの姿もありました。その後はもう一か所行ってみると、水たまりで水浴びしているヒガラ、そして間近にキビタキの姿も見ることができました。その後は一旦、朝食の時間をとってから標高2500ⅿの富士山五合目に向かいました。標高が上がると天気はどんどん良くなってきて到着した駐車場からは雪を冠した富士山を眺めることもできました。坂道を下って行く途中でいきなり針葉樹の枝先で餌を探すキクイタダキを見ることができ、その後は小さな水場で観察&撮影を楽しみました。早速、常連のルリビタキ、ウソがやってきていて、いつしかメボソムシクイも加わって賑やかになってきました。間もなくして「ガーガー」としゃがれた声のホシガラスもやってきましたが警戒心が強いらしく針葉樹のてっぺんに止まって周囲をうかがうと、そのまま去っていきました。ちょうどお昼頃にはようやくキクイタダキがやってきてくれ、頭頂の模様からオスのようでした。その後もブルーが鮮やかなルリビタキのオスやウソのつがい、メボソムシクイ、ヒガラが頻繁にやってきてくれ、帰り間際にはキクイタダキのメス、さらにはカヤクグリもやってきてくれ、周囲にやや霧が出始めた頃、荷物整理をしていただき帰路につきました。
さて、梅雨どきのため天気がなかなか難しく、雨ともなると成果が出づらい時期のツアーではありましたが、まずは両日共に傘の出番はなくとにかく天候に恵まれたことが幸いでした。北富士演習場ではノビタキやホオアカ、コヨシキリ、キジ、モズ、ビンズイなどを見ることができ、山麓の林では当地の代表種であるコルリがさえずる姿をじっくりと観察することができたほか、キビタキやヤマガラ、ヒガラも見られました。また富士山五合目ではキクイタダキやホシガラス、ウソ、ルリビタキ、メボソムシクイ、ヒガラ、そして珍しくカヤクグリもやってきてくれました。短時間で亜高山帯、山麓の森林、草原とさまざまな環境がめぐれることは魅力的で、富士山周辺が野鳥の宝庫であることを認識できました。今後もコロナウイルス感染対策を施しながらのツアー催行となりますのでぜひご協力ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史