【ツアー報告】空の王者 イヌワシに会いたい! 2015年8月8日(土)~ 8月9日(日)(東京発)/2015年8月8日(土)(米原発)/2015年8月9日(日)(米原発)

暑さが厳しくなりバードウォッチングは一休みという状況だからこそ、最盛期には企画しづらい定点観察ツアーを企画しました。広大ななわばりを持ち、出会いの頻度が極めて低いイヌワシを観察するには長時間同じ場所で待つ定点観察が最も有効なのです。国の天然記念物に指定され、翼開長が2mを超える空の王者イヌワシ。その姿を見られるかどうかは運次第ではありますが、チャレンジするだけの価値は十分にある魅力的な鳥であることは言うまでもありません。
8日、朝の東京駅は土曜日ということもあって大混雑で新幹線ホームもかなりの混みようでした。天候も良かったため気温もぐんぐん上がり、うっとうしさがさらに増していました。今回は探鳥地にて2日間ほぼ定点観察のため晴天は嬉しいのですが、現地到着時は厳しい暑さに閉口するほどでした。今回は日帰りにてご参加のお客様もいらっしゃることから速やかに合流を済ませて現地に向かいました。現地には12:15に到着し、早速観察機材の準備にとりかかりました。天候は薄曇りながら青空が見え、霧もなかったため視界は良好でした。イヌワシはいつどこからどのタイミングで出現するかわからないため目が離せません。通常、鳥を探すにはほとんど声を頼りにしていますが、イヌワシは鳴きながら出現することはないため、なるべく広い視野を保てる場所から探すのが鍵です。
この日は13:00頃に我々からは見えない尾根裏をイヌワシが飛翔したとのことで一気に緊張感が高まりました。そして13:45に飛び去った方向から低く現れたイヌワシが遠くの岩に止まったのが見えました。そのため一旦バスにて移動し、より近い距離から観察することにしました。到着すると岩の上に止まるイヌワシの姿があり、望遠鏡を使ってじっくりと観察することができました。大型猛禽類は一度止まると長時間留まる傾向があるので、その表情を含めてじっくり過ぎるほど観察することができました。獲物を狙っていたのか、14:55に眼下の森に突っ込むように飛び去りましたが、すぐに森から飛び立って近くの岩に止まり直しました。その後、眼下を離れるように飛び去ってしまいましたが、かなり遠くの岩に止まっている姿を発見することができ、しばらく待っていると再び飛び立ち、尾根前を旋回しながら再び岩に止まりました。今度は前回とは違った角度でイヌワシの姿を堪能することができ17:00まで観察して現地を後にしました。
9日、08:30に日帰りツアー参加のお客様と合流して現地に向かいました。天気予報は晴れ後曇りとのことでしたが、この日も朝から快晴でお天気の不安は全くない状況でした。到着後はトイレ、水を買う時間などをとり、昨日よくイヌワシが見られた場所で待つことにしました。付近ではホオジロ、モズ、ホトトギス、クロツグミの声が聞かれ、ハヤブサの姿もありました。2時間ほど経った頃、眼下を飛翔するイヌワシの姿があり、どうやら谷間を移動していることはわかりましたが、観察できるレベルではありませんでした。12:00に一旦トイレ休憩をとり再び戻ると、それに合わせるかのように尾根裏からイヌワシが現れ岩に止まりました。光の具合が良かったことから表情や羽の一本一本までしっかりと見ることができ、その時間は45分ほど続きました。一旦イヌワシは尾根裏に飛び去り、その後は眼下を数回行ったり来たりするように飛翔しましたが、最終的には飛び去った尾根裏から舞い上がり、その後、急旋回して再び岩に止まりました。斜めからの光だったため条件を選ぶような形になりましたが、時より太陽が雲に隠れるとしっとりとした光線となり、イヌワシの精悍な表情を堪能することができました
暑い時期のため涼しい場所に行って、日程のほぼ全てを定点観察に費やすという一風変わったツアーでしたが、今年は天候にも恵まれ結果的には予想外の暑さの中での探鳥でした。目的のイヌワシは飽きない程度にその姿を見せてくれ、眼下を飛翔したり、尾根を背景に旋回飛翔したり、高く舞い上がったり、そして岩に止まった時にはその精悍な表情を見せてくれました。とはいえ生息環境の悪化からその数を減らしている種です。今後もイヌワシの姿が安定して見られる環境が保たれることを祈りたいものです。この度はお疲れ様でした。

石田 光史

2016年8月7日 空の王者 イヌワシに会いたい 米原発着 日帰り

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