【ツアー報告】キクイタダキに会いたい!8月の富士山五合目 2015年8月31日(月)<再追加設定>
ご好評をいただいている富士山ツアーですが、今年はまるで梅雨のような天候が続き、暑さから逃れてといううたい文句がどうにもしっくり来ない涼しさです。8月になって3回目の催行となりましたが、この日も先週と変わらぬ曇天で天気予報はかろうじて曇りという状況でした。例年であれば最も暑さが厳しい時期のはずですが、今年はどうにも思ったようになってくれません。
31日、早朝の東京駅前は今にも雨が落ちてきそうで、この時期としてはかなり涼しく感じました。バスはひとまず08:00に東京駅前を出発して途中にあるサービスエリアに向けて走り出しました。天候は相変わらず曇りでしたが、サービスエリアに到着した頃には山にかかっていた霧が晴れはじめ、どことなく明るくなってきたように感じました。富士スバルラインを登り始めると所々陽が射すようになり、青空も見えてきたことから天気予報がうまく外れたかと喜んだのですが、五合目に到着した時にはやや風が吹き始め、雲が物凄いスピードで流れていました。トイレを済ませてゆっくりと坂道を下っていきましたが、途中の針葉樹林からは鳥の声はなく、思った以上の寒さでした。11:30頃から観察を始めましたが風のせいか、寒さのせいか水場にやってくる小鳥の姿はなく、ようやく12:25にヒガラの若い個体がやってきました。全体に色が淡く、頬の白い部分にうっすらとした黄色みがありました。ただ、寒さのせいか水場には来ず、様子を見るようにするだけで飛び去ってしまいました。状況が先週とほとんど同じだったため、かなり厳しい状況になってしまうだろうと思いましたが、やはり自然相手のバードウォッチングは何が起こるかわからないものです。12:50に突然水場の真上の木に2羽の小鳥が飛んできて止まりました。見てみるとなんと赤い鳥。この2羽はイスカのつがいでもう1羽は緑色のメス個体でした。しばらくは木の上で羽繕いなどをしてゆっくりとその姿を見せてくれ、やがて水場にやってきて水浴びをはじめました。イスカは主に冬鳥として渡来し防風林などのマツ林を好み、その食い違った独特の嘴でマツの実を好んで食べます。夏季にも観察例があり、この地でも時々その噂は聞いていましたがほとんど本州で見る機会がない鳥だけに大変に驚きました。イスカが飛び去った後も鳥たちの動きは悪く、13:30からは希望者の方と遊歩道を歩くことにしました。我々が歩き始めた後、水場にはホシガラスがやってきてその姿を楽しませてくれたようでしたが、遊歩道を歩いた我々はまたまたイスカに出会うことができました。展望台近くは特に風が強かったのですが、そんな中、1羽のイスカが風に飛ばされるように飛んできました。一旦その姿を見失いましたが、またどこからともなく飛んできて木に止まりました。今度は赤いオス個体が2羽でした。強風に耐えるように止まっていましたが時より地上に降りて採食して、また木に止まるといった行動をしていました。遊歩道を歩き終えて水場に戻ってみましたが、同様に鳥たちの動きは悪く、残念な状況でした。ただ15:25にヒガラ1羽、コガラ1羽がまるでつがいのようにやってきて、何度も何度も水浴びをして楽しませてくれました。異なる種が同時に観察できるのも水場のおもしろい点で、微妙な大きさの違いやぱっと見た時の全体の色の違いなどを観察することができました。そして最後は15:50にヒガラの若い個体が1羽で水場にやってきてその姿をじっくりと見せてくれました。ただ、高山を代表する種がほとんど見られず、目的だったキクイタダキも声だけでしたので残念でした。
今年の8月の富士山ツアーは全体的にお天気が悪く、思ったような成果がなく残念でした。本来であれば下界は非常に暑く、ほとんど探鳥ができない状況になることから涼しい富士山五合目での探鳥を選択しているのですが、まるで梅雨のような天気で例年にない冷え込みでした。そのため水場を訪れる小鳥の数が少なかったようです。ただ来年はもっと暑くなることを期待して再度富士山五合目を訪れる予定です。またの機会にぜひご参加ください。この度はお疲れ様でした。
石田 光史