【ツアー報告】早春の奥日光で渡りの冬鳥に会いたい! 2022年3月15日
(写真:マヒワ 撮影:大澤保男様)
毎年、晩秋の時期にアオシギを探す目的で企画している奥日光ですが、この時期は奥日光に生息している留鳥のほか、渡り途中の冬鳥も見られることから新たに時期設定をした新コースがおかげさまで催行決定となりました。奥日光といえば平地では越冬しないアオシギ、カワガラス、キバシリ、ゴジュウカラ、コガラといった種が生息していて比較的見やすく、どれも魅力的な野鳥たちです。これらに加えてレンジャク類やベニヒワ、オオマシコ、アトリ、マヒワといった冬鳥たちとの出会いに期待しての出発ではありましたが、この冬は冬の小鳥類がほとんど見られていない状況になってしまいました。
15日、早朝は残念ながら小雨模様。ただこの日は我々が到着する頃には晴れてくるとの予報でした。今回は東京駅前からのバスツアーとしては現地までの距離があるため出発時間やや早めの07:30としていますが、今回も順調にご集合が完了したことからほぼ予定通り出発することができました。バス車内ではいつものようにこの日見られる可能性がある野鳥たちの解説を行い、途中にあるサービスエリアで休憩をとった後は日光有料道路を経由して、おなじみのいろは坂に向かいました。坂を上り始めるころからは霧が立ち込め、その霧の向こうには見事な青空が広がってきていました。中禅寺湖付近までくると強風が吹いていて湖面に白波が立ってはいましたが、ひとまず順調に進み、まずは戦場ヶ原付近にある駐車場で観察機材の準備をしていただいてから、この日の最初の探鳥地に向かいました。除雪がされている道を進むとさっそく小鳥たちが出迎えてくれ、ハンノキにはマヒワ、周辺の林にはヒガラ、コガラ、エナガ、シジュウカラ、ゴジュウカラ、コゲラ、キバシリが一気に現れて、特にキバシリやゴジュウカラのさえずりが春を感じさせてくれました。ヒガラやコガラ、マヒワは地面に降りている個体も多く、キバシリは愛想よく間近にその姿を見せてくれました。その後は川沿いを歩きましたが積雪が多かったことから途中までにし、ここではミソサザイ、そしてカワガラスの姿を見てから一旦、昼食の時間としました。その間にも枯れ木に止まっているノスリの姿があり、その後は飛翔する姿も見ることができました。午後からは周辺を歩いてみましたが強風のせいか小鳥類の動きは悪く、湖面にいるキンクロハジロやホシハジロ、カワアイサなどのカモ類、林ではコガラやゴジュウカラの姿を見るに留まりました。夕方になってからは戦場ヶ原に戻って再び川沿いを歩いてみました。こちらもまだまだ積雪がありましたが川にはヒドリガモ、コガモの姿があり、さらに進むとここでもカワガラスに出会うことができ、この場所では珍しくアオシギの姿もあったことから時間をとってじっくりと観察することができました。一旦戻った後は時間があったことからフクロウやオオモズの姿に期待して戦場ヶ原を眺められる展望台まで行き、ここでは残り僅かなズミに群れる10羽ほどのアトリ、また「フィッ、フィッ」と鳴くウソの姿があり、これらを見てこの日の探鳥を終えました。
予想気温の割には風のせいか肌寒い1日でした。今回のお目当てであった冬の小鳥類にはほとんど出会うことができず、この部分に関しては残念な結果となってしまいました。一方ではアオシギ、カワガラス、キバシリ、ゴジュウカラ、コガラといった奥日光を代表する野鳥たちには出会うことができ、秋には聞くことができないさえずりを聞くことができたり、地面に降りて餌を探す姿を見る機会が多かったことなど、全体的には小鳥類は見やすい印象を持つことができ一定の成果はあったと実感できました。次回は初夏の時期に奥日光を訪れる予定です。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史