【ツアー報告】ヤドリギに群れるレンジャクに会いたい! 2022年2月26日
(写真:イカル 撮影:ikotama様)
冬鳥と呼ばれる野鳥たちは毎冬必ず渡ってくるわけではないため、バードウォッチャーにとってはこの冬に見られるのか見られないのか気になるものです。その代表種ともいえるのが今回タイトルにもなっているレンジャクの仲間。日本では主に2種が知られていますが、いずれも独特の風貌と群れで右往左往する行動、さらにはヤドリギとの共生という特徴などから毎冬注目されています。毎年、11月中下旬には北海道各地から飛来情報があるのですが、今年は各地から飛来情報がなく、どうやら日本各地に飛来していない状況の中での催行となってしまいました。ただ、この日は春というよりは初夏のような陽気の中で探鳥ができる穏やかな1日となりました。
26日、早朝から快晴の東京駅前にご集合いただき、予定通り08:30に出発してこの日は群馬県に向かいました。移動中はレンジャクをはじめ、この日に見られそうな鳥の解説などをしながら進み、途中休憩を挟んでも2時間ほどで現地に到着しました。ただ10日ほど前に下見に来た時にたまたま付近の池にアメリカヒドリのオスがいたことから、この日はまずこの池に立ち寄ってみることにしました。到着時にはもう春のような陽気の中で早速、鉄塔にチョウゲンボウが止まってくれました。湖畔までくると無数のカモ類が浮いていてコガモはディスプレイの真っ只中、そしてハシビロガモは回転するような独特の水面採餌をしていました。望遠鏡で見てみると対岸にアメリカヒドリの姿があったことから近づいて観察し、ほかにもキンクロハジロ、マガモ、カルガモ、ホシハジロ、ヒドリガモなどを観察してから、予定していた最初のポイントに移動しました。到着と同時に大量のヤドリギがごっそりと見られましたが、レンジャクの姿はなく、さらに進んで園内を探してみました。とある場所ではジョウビタキが見られ、早くもイカルがさえずり、しばらく見ているとイカルが地上に降りて餌を探し始めました。黄色い嘴が特長で可愛らしい鳥ですが、付近にはかなりの数のシメの姿も見られ、ツグミ、シジュウカラも混じって賑やかな状況となっていました。結局、ヤドリギのある場所を全て見てみましたがレンジャクの姿はなく、ここで一旦各自昼食の時間としました。昼食後はそもそもこのツアーを作るきっかけになった赤城山のポイントまで移動しました。ここもかなりの数のヤドリギが見られ、青空と雪景色というコントラストもあって見事な景観でした。ここでは高木に止まっているノスリ、また青空を飛翔するノスリが見られたもののやはりレンジャクの姿はなく、その後はこのツアーの最後のポイントに移動しました。まずは園内に入って小川が流れる場所ではアトリの群れとカシラダカに出会うことができ、池にはマガモ、カルガモ、コガモの姿がありました。またトラツグミの姿はあったもののサッと飛ばれてしまいじっくり見ることができませんでした。ただ、シジュウカラ、ヤマガラ、エナガの混群が賑やかに登場し、湿地帯では枯れ葉をどけて餌を探すシロハラをじっくりと見ることができました。
この冬はレンジャクの飛来が無かったようで結果的にはレンジャクに出会うことができず残念でした。来年の冬はきっとやってきてくれると期待して待ちたいと思います。ただ、この日はたまたま初夏のような1日だったため、間もなく渡っていくカモたちが美しく見え、たまたまアメリカヒドリのオスに出会えた他、アトリ、イカル、シメ、ジョウビタキ、カシラダカ、シロハラ、ツグミといった冬の鳥たちを最後にまとめて見ることもできました。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またご一緒できましたら幸いです。
石田光史