【ツアー報告】アホウドリに会いたい!東京~八丈島航路 2016年3月26日~27日

(写真:アホウドリ 撮影:浜口達男様)

早春の伊豆諸島航路は海況が必ずしも良いわけではなくやや心配がある時期ではありますが、冬季ほどの大荒れはないためなんとかツアー企画可能と考えています。そしてこの時期はアホウドリ類3種の中でコアホウドリの出現率は極めて低いのに対して、地球上に3500羽ほどしか生息していない国の特別天然記念物、アホウドリとの遭遇率が極めて高い時期のためこの貴重な海鳥との出会いを主な目的として企画しています。特にその姿になるのに10年ほどかかるといわれる頭部に黄色みのある成鳥個体との出会いに期待が高まります。

 26日、21:30に全員集合していただきまずは行程の説明、注意点、そしてアホウドリの出現に期待できる海域の説明などをして22:10乗船となりました。

 27日、船は大きな揺れはなく順調に進み、予定よりも若干早い04:50に三宅島に到着しました。この辺りで船内アナウンスがあり、照明も通常照明になることから目を覚ますことが多いのですが、この時期はまだまだ外は真っ暗のため三宅島を出航後の05:30頃から準備を始め、御蔵島手前の05:45頃からの観察開始となりました。乗船している東海汽船、橘丸は観察デッキが船体中央よりもやや後方にあり、屋根が比較的低いため風雨の影響を受けづらく海鳥観察にはちょうど良い船といえるでしょう。早朝はやや風があり肌寒い感じでしたがオオミズナギドリが飛び回り、御蔵島が近づくにつれてその数を増していきました。御蔵島着岸時はトウゾクカモメが見られ、岸壁ではウミネコ、オオセグロカモメ、ウミウ、そしてツバメの姿がありました。御蔵島出航後は空は青さを増し、心なしか明るくなってきたように感じました。出航後は一時、オオミズナギドリの数は減りましたが、07:10にはうねりが2mほどになる中、着水していた100羽ほどのオオミズナギドリが飛び立ち、一時は乱舞状態となりました。その後、八丈島に近づいた頃からは再び海は穏やかになり、僅かに飛翔するオオモズナギドリの姿を見るのみでした。そして08:50に八丈島に到着し一旦下船。ターミナル内で20分ほど待機した後、09:15には再乗船しました。気がつけばここまでアホウドリ類の出現はありませんでした。

すっかり晴れ渡った八丈島を09:40に出航し、橘丸はまずは御蔵島に向いました。するとようやく10:05にクロアシアホウドリが船首方向から現れ、続けざまにもう1羽見られました。11:30にはオオミズナギドリの群れが乱舞し、11:40には風とうねりがある中、カツオドリが船体を追い越すように飛翔しました。御蔵島を過ぎ、三宅島に近づいた13:00頃からは水面スレスレを飛ぶカンムリウミスズメの姿が頻繁に見られました。ただここまでの海域で見られると思っていたアホウドリの姿は未だなく、やや空気が悪くなる中、三宅島出航時にはミナミハンドウイルカが遊んでいる姿が見られ、ちょっとだけ雰囲気が和やかになりました。三宅島出航後もオオミズナギドリが見られる程度で動きはなく、どんどん時間が過ぎて行く中で心配になってきましたが、ようやく15:05にアホウドリ亜成鳥が船首方向から現れ、15:10には船体のすぐ脇から独特のブローと共に2頭のマッコウクジラが浮上しました。そして15:2015:3015:40と立て続けにアホウドリ亜成鳥が出現して一気に緊張感が高まってきました。そして15:40に出現したオオミズナギドリの群れの中に期待されていたアホウドリ成鳥が1羽だけ混じっており船に沿うように飛翔し始めました。観察していると船に寄ってきたり離れたりを繰り返し、いつの間にかもう2羽のアホウドリ成鳥が飛翔し、同時に3羽の飛翔をしばらくの間楽しむという、ここまでの時間を一気に吹き払うような感動的なシーンを堪能することができました。その後もマッコウクジラの浮上が数回見られ、15:5516:30にはクロアシアホウドリ、そして最後は16:20にアホウドリ亜成鳥を観察して終了しました。思い返せば天気予報にあったほど天候は悪くはなかったですが、海域によっては肌寒く感じることがあり、波の高さも千差万別といった変化のある航路探鳥でした。

早春の伊豆諸島航路は海況が悪いことが多く「条件付き運行」になることが多いのですが、今回は幸にも条件付きにならず、ほぼ定時運行することができました。期待されたアホウドリは10個体前後確認することができ、うち3個体はほぼ成鳥に近い個体で、しかも船に沿うように飛翔してくれたため感動的でした。今後も海鳥観察ツアーはさまざま企画してまいります。次回はまた違った航路探鳥もお楽しみください。この度はお疲れ様でした。

石田光史

クロアシアホウドリ 撮影:浜口達男様

クロアシアホウドリ 撮影:浜口達男様

 

カツオドリ 撮影:浜口達男様

カツオドリ 撮影:浜口達男様

 

マッコウクジラ

マッコウクジラ

関連記事

ページ上部へ戻る