【ツアー報告】渡良瀬遊水地と城沼・多々良沼(追加設定) 2021年12月26日

(写真:ハヤブサ 撮影:中山厚志様)

毎冬恒例で観察種が比較的多いことが特長の日帰りツアーがこの渡良瀬遊水地を中心に、周辺の湖沼をめぐるツアーです。ハクチョウ類の越冬地としても知られる多々良沼はカモ類やそれらを狙う猛禽類が多く、渡良瀬遊水地ではチュウヒの塒入り風景が見られるほか、冬の小鳥類もさまざま見られます。ただ、冬の渡良瀬遊水地周辺は大変に風が強い探鳥地としても知られていて、特に夕方は寒さが厳しくなる傾向があります。この日は早朝から快晴。ただしたまたま寒気が入ってきためとにかく風が冷たく体感気温が低くなるとのことで前日とは正反対の1日になる予報でした。

26日、この日は全く雨の気配はなく、早朝から快晴の東京駅前に予定通りご集合いただき、出発後のバス移動中はこの日に見られる可能性が高い種についての解説を行いながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を含めても2時間ほどで最初の探鳥地に到着し、まずは観察機材の準備を行っていただきました。湖畔を歩くと早速、ノスリが見られ、カワセミのつがいがけん制し合うように飛び回っていて、付近ではジョウビタキやシジュウカラ、ダイサギ、コサギ、アオサギの姿もありました。さらに進むとシロチドリが見られ、湖畔からはヒドリガモ、カルガモ、カンムリカイツブリ、そしてオオハクチョウ、コハクチョウが見られ、風が吹いているせいか飛翔するコハクチョウも見ることができました。別の場所からも観察しましたが、ここではオナガガモの群れがゾロゾロと歩き、観察しているとどこからともなくやってきたハヤブサが群れに突っ込みましたが残念ながら捕獲はできず飛び去っていきました。また周辺の木にはハイタカがじっと止まり、亜種アメリカコハクチョウも見ることができました。次の探鳥地ではいよいよ強風といった雰囲気の中、ミコアイサ、ホシハジロ、マガモ、そしてカワセミが飛び回り、草地ではカシラダカやシメを見てから各自昼食の時間としました。昼食後は池でコガモやヒドリガモの群れを見てから周辺の干拓地をめぐってミヤマガラスの群れや猛禽類を探してみました。ただこの日はかなり広範囲に探しては見たものの、なかなかミヤマガラスの群れに出会うことができず、結果的には10羽ほどで採食している個体を観察するに留まりました。ただ最後にはかなりの数で移動しているミヤマガラスの大群を見ることができ、その独特の行動はなんとか見ることができました。その後はやや時間が押してしまいましたがいよいよ渡良瀬遊水地内に入り、強風の中で見事な飛翔を見せてくれるハイイロチュウヒのメスをじっくり観察したあと、アトリ、カワラヒワ、オナガ、シメ、ツグミ、ムクドリの群れなどを見てから恒例になっているチュウヒの塒入りを観察しました。風があることからチュウヒはまるで凧のようにゆったりとした飛翔を見せてくれ、数個体を比較的ゆっくりと観察することができ、さらにこの日は背後から突然、美しいハイイロチュウヒのオスが現れたため、なんとか観察することもでき観察を終了しました。

12月恒例となっている渡良瀬遊水地をめぐる日帰りバスツアー。今回はカモ類が極めて少ない状況で前日とは大きく異なり真冬のような寒さの中でした。ただ、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、ノスリ、ハヤブサ、ハイタカといった猛禽類をはじめ、オオハクチョウ、コハクチョウなどの水鳥、またツグミ、ジョウビタキ、カシラダカ、シメ、アトリ、ミヤマガラスといった冬鳥にも出会うことができました。さて、このツアーをもって鳥の観察会の2021年のツアーは全て終了いたしました。コロナウイルスの影響によりフル稼働はできませんでしたが多くのお客様と感動の共有ができました。今後とも鳥の観察会のバードウォッチングツアーをよろしくお願いいたします。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

関連記事

ページ上部へ戻る