【ツアー報告】渡良瀬遊水地と城沼・多々良沼 2021年12月25日

(写真:ケリ 撮影:ikotama様)

毎冬恒例で観察種が比較的多いことが特長の日帰りツアーがこの渡良瀬遊水地を中心に、周辺の湖沼をめぐるツアーです。ハクチョウ類の越冬地としても知られる多々良沼はカモ類やそれらを狙う猛禽類が多く、渡良瀬遊水地ではチュウヒの塒入り風景が見られるほか、冬の小鳥類もさまざま見られます。ただ、冬の渡良瀬遊水地周辺は大変に風が強い探鳥地としても知られていて、特に夕方は寒さが厳しくなる傾向があります。この日は前日からの雨が早朝まで残ってはいましたが、幸いにもその後は晴れてくるとの予報で意外に暖かい1日になるとのことでした。

25日、薄曇りの空から雨が落ちてきている東京駅前に予定通りご集合いただき、出発後のバス移動中はこの日に見られる可能性が高い種についての解説を行いながら進み、途中、サービスエリアでの休憩を含めても2時間ほどで最初の探鳥地に到着し、まずは観察機材の準備を行っていただきました。この頃には空はすっかり青空に変わり、気温もぐんぐん上がって春のようでした。早速、枯れ木に止まるオオタカ、ノスリが見られ、しばらく見ているとオオタカは成鳥と幼鳥が並んで止まっていました。湖畔に出る途中ではオオジュリン、アオジ、カワセミに出会い、湖畔からはかなり少ないながらもヒドリガモ、カルガモ、カンムリカイツブリ、そしてオオハクチョウ、コハクチョウが見られ、亜種アメリカコハクチョウの姿もありました。その後、別の場所からも観察しましたが、ここではオナガガモの群れやキンクロハジロが見られました。その後は次の探鳥地に移動し、ここではまず美しいミコアイサに出会うことができ、ほかにもホシハジロやマガモ、そしてわずかにあるヨシ原周辺ではホオジロのつがいが地上採食し、カシラダカ、セッカ、そしてじっとしているゴイサギ、最後は一瞬ながらクイナの姿が見られ、オナガの群れも登場してくれました。その後は昼食の時間にするために移動しましたが、途中でたまたまミヤマガラスの群れがいたことからバスを降りて観察してから、各自昼食の時間としました。この頃には春というよりも初夏といった雰囲気になっていて汗ばむような陽気になっている中、昼食後は池でコガモやヒドリガモの群れを見てから周辺の干拓地をめぐって猛禽類を探してみました。この日はノスリやチョウゲンボウを見るに留まりましたが、意外な場所にケリが群れていたためバスを降りて観察することができました。その後はいよいよ渡良瀬遊水地内に入りました。この頃になるとやや風が出てきて肌寒さを感じるようになりましたが、それでもアキニレに木にやってきているベニマシコが見られ、その後はシメやツグミ、さらにはどこからともなく飛んできたアトリ、カワラヒワの群れをじっくりと観察することができました。そしてこの日の最後は恒例になっているチュウヒの塒入りを観察。やや風があるものの例年に比べて暖かい状況の中、この日は複数のチュウヒがゆらゆらと飛び、ハイイロチュウヒのメスも見事な飛翔を見せてくれました。また最近、当地に生息しているコウノトリ4個体もたまたま飛んでくれたことから距離はあるものの優雅な飛翔を見ることができ、この日の探鳥を終えました。

12月恒例となっている渡良瀬遊水地をめぐる日帰りバスツアー。今回はカモ類が極めて少ない状況ではありましたが、ハイイロチュウヒ、チュウヒ、ノスリ、ハヤブサ、オオタカといった猛禽類をはじめ、オオハクチョウ、コハクチョウなどの水鳥、またツグミ、ジョウビタキ、カシラダカ、シメ、アトリ、ミヤマガラスといった冬鳥、そしてベニマシコ、オナガ、ケリ、クイナなどにも出会うことができました。意外なほどに温かい渡良瀬遊水地ツアーでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ミヤマガラス 撮影:ikotama様

 

ミコアイサ 撮影:ikotama様

 

アトリ 撮影:ikotama様

 

チュウヒ 撮影:ikotama様

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