【ツアー報告】出水・諫早・有明海　冬の九州縦断　２０２１年１２月４日～６日

2021.12.4
スタッフ通信, 国内の鳥（ツアー報告）

【ツアー報告】出水・諫早・有明海　冬の九州縦断　２０２１年１２月４日～６日

（写真：ソデグロヅル　撮影：刈田宏様）

4日、コロナ禍により約2年ぶりの開催。昨日迄は鹿児島でもあられが降るような大荒れの天候だったが、今日は朝から快晴。気持ちも自然と前向きになる。東京羽田からのお客様も鹿児島空港に定時に到着。早速出水に向かって出発。途中、河口に立ち寄り探鳥。ここは海に面した堤防直下の幅広のクリーク。僅かな葦原もある。空には越冬ツバメが舞っている。バスを降車した途端、目前にAVOCET・ソリハシセイタカシギの姿が飛びこんできた。干潟のいちばん手前で採餌中。今回のお客様は持っている！最奥の壁側には十数羽のクロツラヘラサギの小群。2羽のヘラサギも混じる。ここではツリスガラを見たかったが、東シナ海からの冷たい強風が強く、声だけでその可愛い姿を確認するまでには至らなかった。次に立ち寄った場所は過去にコウライアイサやヤマセミが観察された場所だが年々水質が悪化しているように感じる。マガモ、キンクロハジロなど少数のカモが見られた程度で早々に切り上げようとした時、目前の林上空にオオタカ幼鳥が舞い上がり、暫くの間飛翔してくれた。この後トイレ休憩に寄った近くの公園は環境が良く今後の候補地の一つになった。時刻も１４時５０分となり先を急ぐ。１５時３０分過ぎには出水西干拓に到着。ミヤマガラスの大群かと見間違えそうな空を埋め尽くすツルの群飛に一同感動！現在、１１月２０日から１ヶ月間のツル越冬地利用調整実施区域。鳥インフルエンザ等からツルを守るため、道路の自由な通行が規制されている。今シーズン、９年ぶりにソデグロヅルが飛来。今回参加者の皆様の大目的でもある。協力金を支払い、東干拓へ向かう。ゆっくりバスを動かしながら群れの中を探す。東干拓に入り半分を過ぎた辺りで前方に白く大きな鳥影を見つけた。後はシャッターの嵐だった。その後夕暮れが迫り、遠くのクロヅルの姿を確認しホテルに向かった。

５日、ホテルを出発する。午後のフェリー便を遅くしたため、午前中の行動に余裕ができる。昼食の弁当を受け取り早速東干拓へ向かう。ちょうど餌撒きが終わった時間に到着したがツルの群れはかなり落ち着いていた。ソデグロヅルは直ぐに発見。アネハヅルに比べると格段に見つけやすい。昨日カナダヅルを見ていないので４羽を探す。今年は少ない。暫く探すとナベヅルの群れの中に2羽を発見。餌取りに熱心で首を下げる時間が長く見辛い。そうこうするうちに我々の直ぐ傍でナベヅル家族といる１羽をお客様が発見し全員で撮影する。一旦西干拓へ移動。途中でコクマルガラス白黒とホシムクドリの小群に遭遇する。ツルセンター屋上から飛来地を見渡す。今回は天候に恵まれ暖かく気持ち良い。その後再度東干拓へ戻りソデグロヅルに別れを告げ、熊本港に向かって出発した。高速道路は順調で約２時間で港へ到着。バスで昼食後、島原港行きフェリーに乗船する。不知火海はいたって穏やか。航路上、期待したカツオドリは１０羽強でやや少ない感じだった。ちょうど１時間で島原に到着。本日二箇所目の目的地である諫早干拓へ向かう。１５時３０分現地に到着。チュウヒが夕方飛び始める時間帯だ。木製展望所が熱心な若者で占められていたため、土手上から観察する。暫くするとパラパラとチュウヒ、ハイイロチュウヒが飛び始める。多くの個体が遠くを飛ぶが、うち数羽は近くまで接近してくれた。ハイイロチュウヒ雄は遥か遠くを飛翔する１羽を確認した。１７時半、かなり日も傾き夕暮れが迫ってきたため、佐賀市内にあるホテルに向かって出発した。

６日、最終日佐賀市内のホテルを出発。平日通勤時間帯の道路混む。弁当を受け取り河口へ向かう。現地バルーンフェスタの準備だろうか岸にテントが張られ、ユンボも入っている。鴨はそれなりにいるが、目当てのツリスガラは声も聞こえない。東与賀の満潮時刻も気になる。短時間で出発。実は2日程前からクロハゲワシ出現の情報が入っていた。今回ご参加の皆様全員一致で急遽クロハゲワシ観察に切り替える。周囲の観察状況に配慮し小さな鶏小屋をブラインドにして3名ずつ接近撮影した。クロハゲワシは全く動じることもなく威風堂々と被写体になってくれた。全員が思わぬ幸運に歓喜冷めやらぬまま、今回のツアー最終探鳥地である東与賀干潟へ向かう。大潮で潮高も高かったが、まだ最終部分の干潟が残っており多くのシギ・チドリ、サギ、カモメが集まっていた。ツクシガモは年末頃が飛来のピーク。未だ個体数は少なくやや遠目だった。ヘラサギ、クロツラヘラサギ、ダイシャクシギ、数千羽のズグロカモメの群れ、そして９羽のソリハシセイタカシギの美しい姿を堪能し今回のツアーを終了した。

波多野邦彦