【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類 2021年12月8日
冬になるとさまざまな猛禽類が比較的身近に見られることから、冬の定番日帰りバスツアーとして長らく催行させていただいているのがこのツアーです。利根川周辺から霞ヶ浦南部をめぐるとさまざまな猛禽類が見られるだけでなく、人気があるタゲリや越冬しているシギチドリ類、毎年越冬しているヒシクイなどが見られます。そしてこのツアーのメインは、夕暮れ時に次々にやってきては塒に入っていくチュウヒたちを見ることで、年によっては複数のハイイロチュウヒも見られます。ただ、この日は前日夜からの雨が早朝も続いていて終日止み間がないとの予報の中での出発となってしまいました。
8日、早朝から激しい雨が降る中ではありましたが無事にご集合が完了したことから予定通り08:30に東京駅前を出発して、ひとまず茨城県方面に向かう予定でしたがこの日は終日雨予報が出ていたことから予定をやや変更し、午前中はバス車内からでも観察が可能な場所をめぐれるよう、千葉県にある探鳥地に向かうことにしました。移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の特徴や識別ポイントなどを解説しながら進み、途中サービスエリアを経由して探鳥地に到着後は激しい風雨の中、観察機材準備をしていただき探鳥をスタートしました。この干拓地には先週の下見時にタゲリの群れがいたことから探してみると、道路のすぐ脇の水田に早速数羽のタゲリが群れていたためバスを止めて窓を開け、雨を避けながら観察しました。風も強かったことからタゲリは地面にしがみつくように耐えていて、周辺にはマガモ、カルガモの群れも降りていました。その後は雨にも関わらず飛翔するチュウヒの姿があり、川には風を避けるようにカルガモ、マガモ、ホシハジロ、カンムリカイツブリが群れていました。たださらに雨が激しくなったことから一旦、道の駅で昼食の時間とし、午後からは利根川沿いに茨城県内まで移動してバスで移動しながら猛禽類を探してみました。風雨が強いにもかかわらず餌を探すノスリの姿があり、その後はさらに範囲を広げて干拓地内を走ってみましたが、なかなか出てきている猛禽類は見つからず、ここでヒシクイの越冬地に向かうことにしました。先週は20羽ほどだったヒシクイはこの日は100羽ほどまで増え、だいたい例年の数に近くなっていました。雨は相変わらずでしたが周辺ではオナガガモの群れが飛び、カルガモ、マガモ、オオバン、セグロカモメの姿もありました。雨の止み間がなかなかないため、その後もハバスを使って干拓地内をめぐりながら探鳥し、再び30羽ほどのタゲリの群れに出会うことができました。天気が悪いため思った以上に暗くなるのが早かったため、その後はホシムクドリを探しましたが、ムクドリの群れにその姿がなかったため、最後はチュウヒの塒入りの観察を行いました。この頃にはさすがに雨が止んでくれるだろうと期待していましたが残念ながら結局雨が弱まることはない状況でした。それでも複数のチュウヒがヨシ原に集まりだし、風が強かったことから比較的長い時間飛翔していました。そして先週は見ることができなかったハイイロチュウヒのオスがいきなり現れ、いつの間にか2羽になっていて美しい灰色の姿を見ることができ、最後の最後だけラッキーがありました。
今回は終日激しい雨の中での探鳥になってしまいご苦労をおかけしました。なかなか思ったような探鳥ができませんでしたが、人気のあるタゲリの群れを間近に観察することができ、100羽を超えるヒシクイの群れ、また夕方には雨は降ってはいたものの複数のチュウヒの乱舞を見ることができ、前週には見ることができなかったハイイロチュウヒのオスを2個体観察することもできました。今後もコロナ感染対策を施しながらツアー運行してまいりますのでぜひご協力ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史