【ツアー報告】ウミスズメ類のピーク!大洗~苫小牧航路 2016年3月18日~20日

(写真:ハシブトウミガラス)

すっかりお馴染みとなっている茨城県大洗港と北海道苫小牧港を結ぶ定期航路からの海鳥観察ツアー。ただ、昨年夏に起こった火災事故により、そのうちの一隻「さんふらわあ だいせつ」が一時運行停止となっていました。その後、修理が済み、この2月からようやく通常運行に戻りました。それを記念して急遽企画されたツアーでしたが、今回も多くの方々にご参加いただくことができました。

 18日、22:30にご集合いただき、ツアー説明、今回の期待種に関しての識別ポイントや見られる鳥と海域の解説などを行い22:45に乗船しました。

 19日、日の出は05:50ですが過去の海鳥の出現状況から、金華山沖からの観察開始とし07:30から観察を開始しました。予報は雨でしたが、天候は曇りで時より小雨が降る程度でした。また南風の影響で3月としては信じられないような暖かさでした。海況も予報に反して良く、穏やかな波間をオオミズナギドリが飛び、オオセグロカモメ、ウミネコ、わずかながらミツユビカモメも飛んでいました。07:50には早速ハシブトウミガラスが飛び、クロアシアホウドリの姿もありました。08:00には2羽のクロアシアホウドリが着水状態で見られ、立て続けに現れたクロアシアホウドリが船の間近を飛んでいきました。08:10にはハシボソミズナギドリが飛び、08:20には距離はありましたがアホウドリ亜成鳥の飛翔が見られました。08:30頃からは晴れ間も見え始める中、コアホウドリ、続けて08:45には再びアホウドリ亜成鳥が現れました。その後は09:00にハシボソミズナギドリの姿があり、あたかも春航路のような出現種になってきました。そして09:10には漁船の周りに集まる10羽ほどのクロアシアホウドリが見られ、09:30頃からはベタ凪の海面に浮かぶハシブトウミガラス、ウトウ、ウミスズメの姿を何度となく観察することができました。11:00にはイシイルカの群れが水しぶきを上げ、11:15には6羽のウトウが群れで飛翔しました。ただ12:10からは風が出てきて冷え込んできました。そして13:15にようやく100羽ほどの塊になって飛ぶエトロフウミスズメが見られ、14:10には小雨の中、クロアシアホウドリが飛び、14:20には遠目に現れたアホウドリ亜成鳥が見る見るうちに接近して船首に来たかと思うと、船体下をかすめるように我々の真下を飛んで行き、デッキ上が盛り上がりました。上面の色が比較的白っぽい個体だったので、ここまで観察した個体の中では成鳥に近い個体でした。その後、15:00頃からはまた海上はベタ凪となり、15:10には小型ウミスズメ類が真横から飛び立ち、その特徴からウミオウムであると判断しました。16:00には数百羽クラスのエトロフウミスズメの群れが複数回見られ、16:10にはミツユビカモメを追い回すトウゾクカモメ、16:20にはさらに大きなエトロフウミスズメの群れを観察して16:45に観察を終了しました。

 20日、早朝が勝負どころのため05:45にスタンバイ。かなりの寒さを予想していましたが3月としては暖かい朝でした。曇り空のため光が足りない状況の中、早速クロアシアホウドリ、カモメ、ミツユビカモメが飛び、規模は小さいながらもエトロフウミスズメの群れがいくつも海面から飛び立ちました。そして06:30には3時方向から一気に近づいてきたアホウドリ成鳥が船体をかすめるように飛びました。06:50には10羽ほどのハシブトウミガラスが浮き、20羽ほどのエトロフウミスズメの小群が次々に海面から飛び立ちました。07:10には風を受けてダイナミックソアリングを見せるアホウドリ亜成鳥が船首を横切り、07:25にはハシボソミズナギドリが飛び、その後は船体下から次から次にウミスズメが飛び立ちました。08:00には青空が広がってきて明るくなりましたが、海鳥の出現は一旦止まってしまい09:00頃からはやや大きなうねりが出てきました。ただ10:00頃からは海面に浮くかなりの数のウミスズメを観察することができ、10:40にはこの日最後の100羽ほどのエトロフウミスズメの群れが観察でき、11:15にはキタオットセイの姿も目立ってきました。そして12:25には海上に浮いているアホウドリ亜成鳥が観察できました。その後13:00頃からは再び強風が吹き荒れる中、時より海面から飛び立つウミスズメ、ウトウを見ながら15:30に観察を終了しました。

例年、この時期の航路探鳥は1年で最も寒さが厳しい印象がありますが、今年は3月とは思えない暖かな中での探鳥でした。昨年見ることが少なったエトロフウミスズメの群れを複数回観察することができ、コウミスズメは残念でしたが、ウミスズメ、ウトウ、ハシブトウミガラス、そしてウミオウムも出現してくれ、春季のようにアホウドリを何度も観察する幸運にも恵まれました。海鳥観察ツアーは継続して企画していきます。また時期を変えてぜひご参加ください。この度はお疲れさまでした。

石田光史

キタオットセイ

キタオットセイ

 

アホウドリ

アホウドリ

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