【ツアー報告】晩秋の十勝平野 ハクガンの群れとナキウサギ 2021年10月30日~11月1日

(写真:ハクガン 撮影:芝田恵美様)

昨年、ついに1000羽を超える数が記録されたハクガン。彼らの秋の渡りの中継地である十勝平野を訪れるとともに可愛らしいナキウサギとの出会いも楽しみな晩秋の北海道ツアー。なるべくムダな移動時間をなくしてコンパクトなツアーにするため往復共に帯広空港を利用し、宿泊も温泉宿に連泊にすることで2日目、3日目の行動予定をハクガン、ナキウサギの出現状況に応じて行動できるようにしました。これによりハクガン、ナキウサギとの出会いの確率をより高くできるようにし、さらには観察、撮影時間も確保しています。またガン類は警戒心が強いため、バス車内からの観察、撮影も考慮して参加人数を減らし、バス席をお一人様2席利用にしています。今回訪れる十勝平野には毎年10月下旬にハクガンの大群が忽然と姿を現すのですが、この秋は渡来するのがかなり早く、なんと一部がすでに越冬地に向けて飛去したようだと現地から連絡が入り慌ててしまうほどでした。ただなかなか天候が安定しない時期にも関わらず、今回は幸いにも3日間共に晴れマークが出てくれました。

30日、すっきりとはいかないものの晴れ間の見える羽田空港を予定通り出発してひとまず帯広空港に向いました。着陸後にタラップから外を見るとカラマツの黄金色の紅葉が見事で秋の北海道もなかなか魅力的だなと思いました。ひとまず空港内で観察機材の準備をしていただいてから気温10℃の中、バスにて出発し、この日は早速ハクガンの群れを探しに向かいました。現地到着後はトイレ休憩をとり、その後は前週にハクガンの群れが見られた場所をめぐってみました。まずはヒシクイの群れに出会うことができ、ここではバス車内からの観察をしました。十勝平野のガン類の構成は独特で、我々にとって最も身近なマガンの姿はほとんどなく、最も個体数が多いのがヒシクイ、そしてシジュウカラガンとなります。場所を変えてめぐると再びヒシクイの群れに出会うことがで、その中に少数混じるマガンの姿もありました。また遠くの電柱にはオジロワシの姿も見られましたがこの日は残念ながらハクガンの群れに出会うことはできず17:00に探鳥を終了しました。

31日、日の出は06:00ということでこの日は06:30からホテル周辺を歩いて探鳥しました。さすがに肌寒かったものの見事な朝焼けが見られ、十勝川を塒にしているオオハクチョウの声が聞こえていました。歩き始めると早速、ハシブトガラの姿を見ることができ、早朝探鳥の最大の目的だったシマエナガの群れがやってきて間近にその姿を楽しませてくれました。その後は愛嬌あるエゾリスやシロハラゴジュウカラ、シジュウカラ、ヤマガラ、アカゲラなどを見ながら歩き、森まで行くとどこからともなくツグミがやってきて木に止まったため望遠鏡で観察することができました。ほかにもヒガラ、キバシリなどを見てから朝食をいただき、その後はナキウサギ観察に向かう予定でしたが、他社とのブッキングを避けるためにまずは帯広市内に向かいました。紅葉が美しい小径を歩くと、早速愛嬌あるシロハラゴジュウカラがやってきて地面を歩くなどして楽しませてくれ、さらにアカゲラもやってきてしばらくの間、我々の周辺を飛び回ってじっくりとその姿を見せてくれました。池まで行くと複数のカワアイサが間近に見られ、その後もシロハラゴジュウカラ、ハシブトガラ、そしてここでも愛嬌あるエゾリスが存分に楽しませてくれました。探鳥後はいよいよナキウサギ観察に向かおうかと思いましたが、他社の動きが遅くなったようで、このままでは見事にブッキングしてしまうことが想定されたため、急遽、十勝平野に戻ってハクガンを探すことにしました。この日はたまたま知人が朝から現地に来ていたこともあってあっさりとハクガンの群れに出会うことができ、同時にかなりの数のヒシクイ、シジュウカラガン、わずかにいるマガンも見ることができました。ただハクガンは300羽ほどでやはりほとんどのハクガンは旅立ってしまったようでした。またこの秋はさまざまな場所にガンが点在するといったことがなく、ほとんどの個体がこの周辺に集まっているようでした。その後は一旦、昼食の時間とし、午後からは十勝平野の別のエリアをめぐってみました。タンチョウの撮影がしたいというリクエストがあったことからタンチョウが10羽程度群れている場所で時間をとり、その後は畑地に群れるヒシクイ、たまたま電線に止まっていたコチョゲンボウのオス、また幼鳥を5羽も連れたオオハクチョウなどを観察し、最後はガンたちがよく動く夕方に合わせて再びハクガンの群れを観察に向かいました。幸いにもハクガンの群れはまだ同じ場所に滞在していて群れで飛び立ったりして、予想通りさまざまな動きのあるシーンを楽しませてくれました。そして周囲が薄暗くなってきた16:20に傾いて行く夕陽を見ながらこの日の探鳥を終えました。

11月1日、この日はナキウサギ観察に行かなくてはならなくなったことから時間を稼ぐため前日よりも30分早い06:00に合わせて探鳥を開始しました。やや雲があったものの天気の心配はなく、相変わらず愛想がよいハシブトガラやシロハラゴジュウカラ、アカゲラが見られ、エゾリスも活発に動いていました。ただこの日は針葉樹からキクイタダキの声がかなり聞こえ、最後は広葉樹の枝先に止まるなど、珍しくその姿を何回も見せてくれました。ホテルまで戻るとシメの小群も見られわずかな時間ながらもさまざまな小鳥類が見られ、この日は07:00から朝食をいただき08:00に出発しました。やや雲がかかってはいましたが穏やかな状況の中、ナキウサギのポイントに向かいました。観察時間がそれほどない上にポイントが2ヵ所あることからどうしよかと悩んでいましたが、バスを降りると早くもナキウサギの声が聞こえ、見てみると岩の上で草を食んでいました。これはラッキーとばかりに望遠鏡に入れて見ていただき、観察、撮影など時間をとって楽しんでいただきました。その後は時間があったことからもう1ヵ所のポイントでも観察を行いました。ここではなかなかナキウサギの姿がなかったものの残り時間5分といったギリギリのタイミングでひょっこりとナキウサギが岩の上に現れ、最後の最後で再び可愛らしいナキウサギの姿を楽しんでツアーを締めくくりました。

なかなか天候が安定しない秋の北海道ですが、今回は幸運なことに3日間共に穏やかな鳥見日和だったことは何よりでした。広大な畑地は北海道らしく、周囲に見えた美しいカラマツの紅葉も印象的でした。今回はツアーの主役であるハクガンの群れに出会うことはできましたが、今年はガンの移動が早く最大値のハクガンの大群を見ることができなかったことはやや残念でした。ただ、圧倒的な個体数のヒシクイ、シジュウカラガンは見応え十分で秋の田園風景の中のタンチョウも見事でした。またもう一つの主役であるナキウサギはあっさりと見ることができ、可愛らしいその姿や特徴的な鳴き声を聞くこともできました。またシマエナガ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラ、キバシリ、オジロワシ、コチョウゲンボウ、ツグミ、カシラダカ、そしてエゾリスにも楽しませてもらった3日間でした。北海道はとても魅力的な探鳥地のため、季節ごとにさまざまなツアーを企画しております。ぜひまた北海道にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

ハクガンの群れ 撮影:松岡哲弘様

 

ナキウサギ 撮影:山口弓子様

 

エゾリスとゴジュウカラ 撮影:大塚智子様

 

ハクガン 撮影:松岡哲弘様

 

ヒシクイ 撮影:芝田恵美様

 

ナキウサギ 撮影:大塚智子様

 

タンチョウ 撮影:松岡哲弘様

 

ナキウサギ 撮影:山口弓子様

 

カワアイサ 撮影:大塚智子様

 

アカゲラ 撮影:松岡哲弘様

 

カワアイサ 撮影:芝田恵美様

 

アカゲラ 撮影:大塚智子様

 

シロハラゴジュウカラ 撮影:松岡哲弘様

 

ヒシクイの群れ 撮影:山口弓子様

 

ゴジュウカラ 撮影:大塚智子様

 

ヒシクイ 撮影:松岡哲弘様

 

エゾリス 撮影:芝田恵美様

 

シマエナガ 撮影:松岡哲弘様

 

ハクガンの群れ 撮影:芝田恵美様

 

ナキウサギ 撮影:松岡哲弘様

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