【ツアー報告】タカ渡る白樺峠とライチョウが棲む畳平 2015年9月21日(祝)~23日(祝)

シルバーウィークと呼ばれる5連休を利用した白樺峠でのタカ渡り観察ツアーは、21日からは白樺峠に畳平での高山鳥観察を加えた2泊3日ツアーとして出発しました。この時期は台風シーズンでもあり、毎年天気予報が気になるのですが、今年は珍しく晴天が続く予報となりました。
21日、私は前日、松本市内に泊まっていたため松本駅にて皆様をお迎えし、現地集合のお客様と共に無事出発することができました。予定ではこの日に畳平に行くことになっていましたが、このツアーではタカの渡りに期待できない天候の日に畳平に行こうと考えていました。ただ、天気予報が3日共に晴れだったため悩みましたが、この日は午後から曇り予報だったため予定通り畳平に向かいました。一番の目的のライチョウは外敵に狙われにくい悪天候の日が見やすいため少々期待が膨らみました。畳平に向かう途中はどんどん霧が濃くなりライチョウ観察にさらに期待が膨らみました。現地到着後はまずカヤクグリを観察し、続いてイワヒバリを観察。ただ夏季に比べると観察は容易ではありませんでした。そして最後はハイマツの実を探すために活発に飛び交うホシガラスの姿を楽しみ、いよいよライチョウ観察のポイントに向かいました。薄暗くなるような霧の中でしたが、まずは1羽のライチョウが見つかりました。距離が近かったことからこの個体はハイマツの中に逃げ込んでしまいましたが、直後に2羽のライチョウが現れてじっくりとその姿を楽しませてくれました。
22日、05:45から乗鞍高原を歩きました。予報に反して曇り空だったため心配しましたが次第に晴れ間が見え始め、昨日ライチョウに出会った畳平が見えていました。林ではオオルリのメス、コサメビタキ、サメビタキ、そしてこの時期の代表種であるエゾビタキの姿があり、コガラ、ヒガラ、エナガ、キクイタダキの混群に混じるメボソムシクイの姿がありました。天候回復に合わせるようにカラ類が賑やかな朝でした。朝食後はタカ渡りを観察するために白樺峠に向かいました。到着直後には早速飛翔する5~6個体のサシバが見られ、09:30には当地では意外と珍しいトビが飛びました。10:00を過ぎると渡りは活発化し、ツミ、ハチクマ、ノスリの飛翔が見られ、30羽ほどで舞うハリオアマツバメに歓声が上がりました。その後はツミ、サシバ、ハチクマが飽きない程度に姿を見せてくれ、ノスリは何度も何度も我々の上空を行き来していました。そして12:10にようやく20羽ほどのサシバがタカ柱を形成しながら鉄塔下から舞い上がり、それを皮切りに数回のタカ柱が連続して見られましたが、飛翔コースは大きく右側に反れてしまい我々の真上を通過することはありませんでした。その後はハチクマが何度となく飛翔し、14:30には右側の尾根をゆったりと飛翔するクマタカの姿を見ることができました。やや距離がありましたが両翼を大きく持ち上げたような形で羽ばたくこともなく飛翔する姿が印象的でした。そして14:45には20羽ほどのサシバが真上を通過して行き、盛り上がりの中で探鳥を終了しました。この日は総数1584羽の当たり日でした。
23日、この日は早朝から晴天となり早朝探鳥ではまずイカルの群れが飛翔し、騒がしく鳴きながら飛翔するカケスの姿が目立ちました。またエゾビタキも姿を見せてくれ、コガラ、ヒガラ、エナガの群れを観察中にアカゲラの姿をじっくりと見ることができました。そして最後はジョウビタキのつがいが出現し驚かされました。実は6月に訪れた際にもジョウビタキを観察しており、おそらくは繁殖個体ではないかと思われました。朝食後は白樺峠に向かいましたが、この日は霞がかかっていてタカ見の広場から松本の町並みは見られませんでした。すっきりしない中でしたが相変わらずツミの姿が目立ち、ノスリ、ハチクマの姿がありましたが渡りは一休みのようで出現はポツリポツリでした。ただ11:30にクマタカが現れ前日よりも見やすい場所を飛翔してくれました。12:10にはエゾビタキ、12:45にはハリオアマツバメ、13:00からは晴れ間が広がり始める中、5羽のハチクマが真上で旋回してくれました。14:00にはアオバト、14:15には3羽のハチクマ、そして14:40には4羽でしたがサシバの小さなタカ柱を見て終了しました。この日は連日の晴天のためタカたちの溜まりがなくなったようで総数は224羽でした。
今回は晴天の中、タカの渡りを観察することができ、夜は2回に渡って「タカ識別講座」を行い知識を深めていただきました。また初日は畳平にて、ライチョウ、ホシガラス、イワヒバリ、カヤクグリの高山鳥4種を見ることができ、乗鞍高原ではエゾビタキ、サメビタキ、オオルリなどの渡り途中の小鳥類にも出会いました。お天気に左右される探鳥ではありますが3日間のツアーで乗鞍高原周辺のさまざまな表情を見ることができ、環境を変えることでさまざまな野鳥たちに出会うことができました。皆様お疲れ様でした。

石田 光史

2016年9月17日~19日『タカ渡る白樺峠とライチョウが棲む畳平』

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