【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦(追加設定)2021年10月16日
(写真:アオアシシギ(左)とエリマキシギ 撮影:日下部桂子様)
すっかり秋の定番となったシギチドリ類を観察する日帰りバスツアーは一日で海水域と淡水域の両方をめぐります。淡水域での探鳥に関しては、通常のバスで巡れるような場所がほとんどないため、車幅の狭いマイクロバス利用の16名様限定としアクセスを良くして歩く距離を軽減しています。秋のシギチドリ類の渡りは場所に寄っては7月下旬からはじまり、10月中旬まで比較的長い時間見ることができますが、反面、ピークを当てることがほとんどできません。そのためツアーでは過去のデータを基にして種類数が安定している時期、また海水域に関しては潮位を見て日程を決めています。秋はなかなか天候が安定しないことが多く、この日は前日とは全く異なり予報は終日曇り。最高気温も21℃とのことでした。
16日、この日は潮位の関係から集合時間は08:30。天気予報は曇りでしたが集合場所の東京駅前は小雨が降りだしてきてしまいました。ただ集合は無事終了したことから予定通り出発して、この日もまずは海水域での探鳥のため千葉県に向かいました。移動中のバス車内ではわずかな時間ながらこの日海水域で見られる可能性が高いシギチドリ類の解説、また全体的なシギチドリ類の見方についてのコツについて話しながら進め、到着後は長靴に履き替えるなど準備をしていただいてから干潟に向かいました。この日は前日よりのシギチドリ類の数が多いような印象で早速、ダイゼン、ミユビシギ、ソリハシシギ、シロチドリが同時に見られ、さらに進むと数羽で群れているメダイチドリの姿もありました。観察しているとハマシギとミユビシギの混群がどんどん近づいてきたため色みの違いやスタイルの違いを見ることができ、ふいに飛んできたミサゴ、さらに数こそ前日ほどではなかったもののミヤコドリの鮮やかな姿も堪能することができました。そしてこの日も淡水域のシギチドリ類観察にかなり時間がかかるといった読みから、予定よりも30分ほど早く現地を出発しました。途中、サービスエリアで休憩をとり、その後は午後の観察場所まで移動してから一旦、各自昼食の時間としました。昼食後はどんよりとした空から雨が落ちてくる前にということで、まずはバスから離れて歩かなくてはならない今回のメインポイントに向かいました。最初のハス田では3羽のコチドリが佇み、次に訪れた場所では15羽ほどのトウネンが歩き回っていました。おそらくはこの中にヨーロッパトウネンが混じっているだろうと思い探してみましたがそれらしき姿が見られません。そのため次の場所に移動するとまずは8羽のウズラシギが群れ、その後、ハマシギ、キリアイ、オジロトウネン、トウネンといった顔ぶれが見つかり、ここでようやく気になるトウネンを見つけることができ、しばらく観察した後、この個体をヨーロッパトウネンと判断しました。この場所はかなりのシギチドリ類が群れていたことから、想定していた以上の時間を使って観察し、飛翔するムナグロの群れ、そして最後は飛び交うショウドウツバメを見てからここでの観察を終了しました。トイレ休憩を挟んで以降はここまで見られていないシギチドリ類を探してここまで訪れていないポイントをめぐることにしました。ただ最初のポイントにはシギチドリ類の姿はなく、よく見るとオオタカの若い個体がいて納得させられました。ただ次に訪れたポイントでは10羽ほどのツルシギ、同じく10羽ほどのオオハシシギ、さらにはコアオアシシギ、エリマキシギ、タカブシギ、さらには1羽のオグロシギが見られ、4羽のセイタカシギが飛んでいました。ここでも長時間の観察となり時間が押してしまいましたが、最後はわずかな時間ながらクサシギを見てこの日の観察を終了しました。
この日は集合時に雨が落ちてきてしまい天気が心配なスタートでしたが、その後は晴れ、そして曇りで結果的には雨に打たれることがなく幸いでした。海水域では少ないながらもミヤコドリ、メダイチドリ、ソリハシシギなどが見られ、淡水域では定番のタカブシギ、クサシギ、タシギ、トウネン、コチドリなどを中心に、ツルシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、オオハシシギ、オジロトウネン、ウズラシギ、エリマキシギ、そしてキリアイ、ヨーロッパトウネンといった小型種も豊富に見られました。秋のシギチドリ類観察は難しいですが、またの機会、またシギチドリ類観察にお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史