【ツアー報告】秋の渡り鳥に会いたい!小型ヒタキと淡水シギ 2021年10月2日
(写真:ウズラシギ 撮影:別所秀樹様)
秋の渡りといえば真っ先に思いつくのがタカの渡り。さらにはシギ類や小鳥類も渡りますがツアーとしては大掛かりなものが多く、身近な渡りを観察できるツアーがなかったため、今回は初企画として小鳥類と淡水シギ類をセットにした日帰りバスツアーを企画してみました。季節はいよいよ秋めいてくる頃ではありましたが、たまたま直前に発生した台風16号が前日に関東を通過したことから当日は台風一過の快晴となってくれました。ただ最高気温が30℃予想ということで真夏のような1日になるとのことでした。
2日、早朝から雲一つない快晴。東京駅前の空は真っ青で真夏を思わせるほどでした。今回もおかげさまで順調にご集合が完了したことから、予定通り東京駅前を08:30に出発してひとまず千葉県方面を目指しました。移動中のバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種、および下見時に見られた種についての解説をしながら進め、途中サービスエリアでの休憩を含め2時間ほどで最初のポイントに到着しました。現地も真夏のような陽気で暑い中、まずは駐車場でいきなりトビ、ハイタカ、ノスリが飛び、その後、公園の中を歩いてみました。桜の広場では秋らしくモズが鳴き、エゴの実にはヤマガラがやってきていました。森に進む途中ではエナガの群れに混じるコゲラ、シジュウカラ、メジロ、さらに進むと再びエゴの実にやってきている複数のヤマガラに出会うことができ、枝先にぶら下がってエゴの実をついばむ様子、また前日の雨により雨水がたまった竹から水を得ている個体などが見られました。とある場所では昆虫を捕らえているキビタキが見られ、どうやら複数いるらしく、枝先でフライキャッチをしていました。なかなか良い場所に止まってくれませんでしたが、しばらく見ていると目線ほどの高さの横枝に止まって昆虫を食べている様子を観察することができました。その後はもう一か所を見てから駐車場まで戻って各自昼食としました。昼食後は1時間ほど移動して茨城県南部へ。ここでは淡水シギを探しますが前日の台風通過による雨で水田は全体的に増水してしまっていて下見時とはかなり雰囲気が変わってしまっていました。最初のポイントではコチドリ、オジロトウネン、セイタカシギを観察。ただ思ったような成果ではなく全体的にシギ類の姿は少なくなってしまっていました。その後は付近のハス田をめぐりますが、タカブシギを見るに留まり、いよいよ今回のメインポイントへ移動。ただこの場所も増水ぎみでシギ類の姿は少なく、それでも4羽で群れる美しいウズラシギ、さらには数羽のトウネンが見られました。本来であればこの場所でほぼ全て見られると期待していましたが、成果が今一つのため急遽別のポイントに行ってみました。するとようやくオグロシギ、エリマキシギ、コアオアシシギの群れにウズラシギ、タカブシギが混じる賑やかな群れに出会うことができました。その後は突然現れたオオタカ成鳥の接近で付近にいたシギ類、サギ類が逃げ惑う状況になりましたが、これが幸いしたのか、どこからか飛んできた3羽のツルシギに出会うことができました。ただこれでも成果が思たようではなかったためやや時間を延長して最初に行ったポイントに再度行ってみることにしました。するとここでは2羽のアオアシシギ、1羽のセイタカシギの姿があったことから観察していると、驚いたことにどこからともなく飛んできた2羽のツルシギ、6羽のコアオアシシギが目の前のハス田に舞い降りてくれました。ツルシギに関してはここまで見られてはいましたが距離が長く短時間だったため残念な思いをしていまいましたが、最後の最後で特徴的な嘴、さらには鮮やかな赤い足までしっかりと見ることができ、アオアシシギとコアオアシシギを比較しながら観察することもできたため、その違いもよくわかりました。
さて、身近な秋の渡り鳥たちを観察する初企画の日帰りバスツアーでした。キビタキの姿を楽しむことはできたものの、期待していたヒタキ類に出会うことができず、この点はややタイミングを逸した感がありましたが、この秋はシギ類が好調で、セイタカシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、オグロシギ、ツルシギ、エリマキシギ、ウズラシギ、タカブシギ、オジロトウネン、トウネン、コチドリなどさまざまな淡水シギ類に出会うことができました。また、ショウドウツバメが飛び、オオタカ、ノスリ、ハイタカといった猛禽類にも出会うことができました。思いのほか暑さが厳しい真夏のような一日でした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史