【ツアー報告】越冬シギチドリ巡り 東京湾と霞ヶ浦 2015年11月8日
晩夏から秋にかけては多くのシギチドリ類が越冬地を目差して渡りをするため、タイミングが合えば日本の水辺では多くのシギ類を見ることができます。そのため9月にシギやチドリ類を観察するツアーを企画していますが、今回は越冬しているシギやチドリ類を観察することを目的にしています。関東周辺の水辺では秋の渡りが終わった晩秋から冬季にかけても多くのシギチドリ類を見ることができ、越冬期にだからこそ見られる種も含まれます。今回は生憎の雨予報で、朝から小雨が降っていました。
8日、08:00、天気予報は見事に当たり、早朝から東京駅前は小雨が降っていました。最初の探鳥地である船橋海浜公園までは40分ほどしかかからないため、まずはバス車内で全体のスケジュールと海水域で見られるであろうシギチドリ類の解説のみを簡単に行ないました。到着後はそれぞれ観察機材の準備をして、途中にあるトイレを済ませてから干潟に向かいました。まずは堤防まで歩きカモ類を観察しました。今年はカモ類の数が極端に少なく、驚くような状況でしたが、オナガガモの小群、そしてスズガモの群れが見られました。今年は早くもビロードキンクロのオスが渡来しているということで探してみたところ、スズガモの群れの中に眠っているビロードキンクロを見つけました。時より頭を上げるものの、ほぼ眠っているためなかなか特徴を捉えることができませんでしたが、角度によっては特徴的な目の上の白い斑が見えました。
その後は干潟を歩きながらシギチドリ類を探しました。雨にもかかわらず人の出が多くシギたちはその間を逃げ惑うように採食していました。最も個体数が多かったのはハマシギでじっと待っていると間近にやってくる個体もいました。黒くやや曲がった長い嘴が特徴のため、一緒に採食している太く短い嘴のミユビシギと比較しながら観察することができました。またミユビシギはぱっと見た感じがより白く、ずんぐりとして見えることも感覚的に捉えていただけたようでした。さらに走り回るように採食するシロチドリ、三番瀬の主役、ミヤコドリ、やや大きく嘴が太短いダイゼンの姿もあり、採食行動の違いを観察しました。また早くもカモメ類の姿があり、ウミネコの群れの中にわずかながらオオセグロカモメ、セグロカモメの姿があり、ユリカモメの姿も増えてきているようでした。そして帰り間際にはオオソリハシシギが現れ、比較的じっくりと反った嘴や翼の模様を観察することができました。
その後は一旦干潟を離れて高速道路上のサービスエリアに向かい各自昼食とし、午後からは霞ヶ浦周辺の水田に向かいました。秋の渡り期にはさまざまなシギ類が見られた水田もすっかり寂しくなっているため、ポイントを丹念に探していくことにしました。はじめに冬の訪れを告げるタゲリの群れが見られ、独特の長い冠羽、特徴的な子猫のような声を聞くことができました。付近のハス田ではタカブシギ、アオアシシギの姿がありましたが群れは見当たらなかったためやや範囲を広げて探してみることにしました。するとポイントからやや離れた泥地にタシギとオグロシギの姿があり、近づいてみるとアオアシシギとコアオアシシギの混群が見られ、観察しているとタカブシギ、ハマシギも飛んできました。雨が降り続く中でしたがなんとか観察を続け、シギ類を狙ってかオオタカの姿もありました。
今年は雨の中での観察になってしまい残念でしたが14種のシギチドリ類に出会うことができました。目玉となる種の越冬はないようでしたが、海水域ではミヤコドリ、ビロードキンクロ、そして地味ながらハマシギとミユビシギの違いを観察していただけました。淡水域では人気のタゲリの群れが早くも見られ、オグロシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、そして雨に打たれながら餌を探すオオタカの姿もありました。雨のため薄暗く、観察には苦労しました、皆様お疲れ様でした。
石田光史