【ツアー報告】八東ふる里の森と吉備高原のブッポウソウ 2021年7月2日~3日
(写真:アカショウビン 撮影:宅間保隆様)
コノハズクが生息する森として、10年ほど前に脚光を浴び、今や有名探鳥地となった鳥取県の八東ふる里の森ですが、アルパインツアーとしては今夏、初めてツアーを実施する運びとなりました。半月ほど前から、現地と連絡を取りながら状況を確認していると、アカショウビン、コノハズク共に順調とのことでツアーの日を楽しみに待っていたのですが、いよいよというツアー数日前に届いた情報で残念ながら状況は一転してしまいました。確認されていたアカショウビンの巣は雨が吹き込み水没してしまい、コノハズクのほうは順調に育っていた雛がヘビに襲われてしまった、というのです。自然のことなので仕方ありませんが、最初から不安を抱えての出発となりました。
予想に反して夏の日差しが射す集合場所の姫路駅を予定通り出発した後は、昼食休憩を経て、八東ふる里の森を目指します。途中までは引き続き、夏の太陽が照り付けていましたが、最後のトンネルを抜けると天気が急変し、激しい雨が降りつけてきました。八東ふる里の森に到着してもこの雨が弱まる気配が無かったので、傘を差しながら森の中をひと通り歩いた後は、管理棟周辺で雨が弱まるのを待って過ごしました。幸いにも15時過ぎには雨も止み、木の葉から滴る雫が当たるだけの状況に変わりましたので、ここ数日アカショウビンが出現しているポイントで待機しました。30分ほど待っていると、不意にアカショウビンのさえずりが響いてきて、その方向から2羽のアカショウビンが現れました。新しい営巣場所を探しているのか、木の洞を気にしているようで、何度も同じ洞を行き来しています。そのような状況で数分間に渡って姿を観ることができたので、皆様にその美しい姿を楽しんでいただくことができました。夕食後は園内の巣箱で営巣しているアオバズクの観察に向かいます。ライトアップされた巣箱に餌を運び入れるアオバズクの姿は昼間の姿とはまったく異なり、夜行性のアオバズクの活動的な姿を観察、撮影することができましたほか、森の奥からは幻想的なコノハズクの声が響いてきました。
翌朝も朝早くから出発ぎりぎりまでアカショウビンを狙うと、本日は1羽だけでしたが、昨日と同じようなパターンで現れ、昨日と同じ木の洞を何回も覗いていました。昨日に次いでのアカショウビンを堪能した後は、次なる目的地の吉備中央町に向かいます。吉備中央町では現地でブッポウソウの保護、研究活動をしている方に教えていただいたポイントをまわりましたが、どのポイントにもブッポウソウの姿があり、ひらりと舞い上がって餌を取っては、美しい翼の白斑を見せながら、巣箱へと飛んでいくブッポウソウの姿をしっかりと観察することができました。
今回は期待していたコノハズクの姿を観察することが残念ながらかないませんでしたが、八東ふる里の森には毎年、渡ってきて繁殖をしていますので、来年もまたツアーを企画したいと思いますので、ご期待ください。
田仲謙介