【ツアー報告】八東ふる里の森と吉備高原のブッポウソウ 2021年7月5日~6日

(写真:ブッポウソウ 撮影:中村由紀子様)

この夏の初企画となる八東の森へのツアー。当地は深いブナ林のためアカショウビンやコノハズク、オオコノハズクといった魅力的な野鳥たちが生息しており、以前からツアー企画を考えてはいましたが、設備面での問題がありなかなか進まない状況にありました。ただこの度、さまざまな条件が整ったため初のツアーとなりました。早い段階でアカショウビンの飛来情報やコノハズクの営巣情報などをいただいてはいましたが、直前になって状況が変わってしまったようでした。またちょうど梅雨末期の大雨に当たってしまったため、当日は天候が悪いという予報が出てしまいました。

5日、早朝に東京駅を出発し、集合場所に少々早めに到着しました。途中の車窓からは目まぐるしく変わる空模様を見ることができ、名古屋、大阪は晴れ間が見えていたものの現地は曇りで、とにかく蒸し暑くむっとするほどでした。全員の集合が完了したことからひとまず鳥取県に向けて北上し、まずは道の駅にて各自昼食をとっていただきました。その後はさらに北へ北へと進みましたが、天気は一進一退といった感じで曇りと小雨を繰り返し、八東ふる里の森に続く峠道からはとうとう雨が落ちてきてしまいました。この辺りからは携帯やスマホの電波もなくなり深い山奥にやってきたということを感じることができました。現地に到着した頃にはすっかり本格的な雨になる中、スタッフの方に駐車場まで来ていただき、荷物を部屋に入れ、その後はまずは現地スタッフの方に森の中を案内していただきました。この森は徹底した管理がなされ、鳥の状況によっては立ち入り禁止区域を設けるなどされておりルールさえ守れば安心して鳥を見ることができます。雨が強まる中、キビタキやオオルリのさえずりを聞きながら、ここ数日姿を見せているアカショウビンの出現を待ってみました。ちょうど雨が避けられるテントがあったことから、こういったものを利用しながらの観察となりました。ただ残念ながらアカショウビンは現れず、夕方になって独特のさえずりを聞くに留まりました。一方、アオバズクは巣箱に営巣中だったことから周辺の木に止まっている姿を見ることができました。その後は夜の観察に備えて夕食をいただき、夕食後はアオバズクを観察しました。なかなか雨が止まない状況の中ではありましたがアオバズクは周辺の木に止まったり、巣に餌を運んだりと活発に動き回りしばらくの間、楽しませてくれました。また森の奥からはコノハズクの声がずっと聞こえていました。

6日、深夜から早朝にかけてずっとコノハズクの声が聞こえていましたが、その声が起床した04:00頃からは不気味なトラツグミのさえずりに変わっていました。残念ながらこの日も雨が落ちていましたが、それでも遠くからアカショウビンのさえずりも聞こえてきていました。この日はアオバズクの観察ポイントを中心に、コノハズクの声が聞こえていたポイント周辺を歩きました。残念ながらその姿を見ることはできませんでしたが、時折、遠くからアカショウビンの声も聞こえていました。状況によっては延長して観察を続けることも考えましたが、朝食後に予定通り現地を出発することにして、その後は岡山県に向かいました。峠を越えた頃からは雨は上がり、ひとまず途中にあるサービスエリアにて各自昼食の時間としました。ここまでくる雨は降ってはいませんでしたが特有の蒸し暑さがありました。その後は岡山まで移動して、そこからはまたのどかな山村風景を眺めながら進み、ようやく吉備中央町までやってきました。ここではまず道の駅に立ち寄って休憩しまし、再度出発した後は、一旦来た道を戻り、ここからはポイントをめぐりました。のどかな里山風景を見ながら進むと、あちらこちらにブッポウソウの巣箱がかけられているのが見え、町ぐるみでブッポウソウの保護活動をしていることがよくわかります。そしてその巣箱の周辺には決まってブッポウソウの姿があり、数多くの巣箱で繁殖していることもよくかわりました。ツアーではあらかじめ保護団体の方から観察可能な場所を指示していただいていて、その場所で観察を行っています。最初の場所では水田の中に立てられた杭にかけてある巣箱を観察しました。ここではすぐにブッポウソウを見ることができ、巣箱への出入りも観察できました。その後は巣箱の中を見られるようにカメラを仕込んである巣箱の中を見せていただける場所まで行き、巣箱の中にいる4羽のヒナと巣箱に出入りする親鳥をカメラを通して見せていただきました。その後は飛び回るコシアカツバメを見てから、再び水田の中にある杭にかけられた巣箱を見ることにし、ここではしばらくの間、巣箱に出入りするブッポウソウを観察しました。時には杉の木のてっぺんに止まるなど、普段なかなかじっくり観察する機会がないブッポウソウの姿を見ることができ、特に飛翔時の色合いの美しさなどもしっかりと見ることができました。この日はかなり蒸し暑い中での探鳥でしたが、ブッポウソウのポイントでは雨に降られることなく観察でき幸いでした。

さて、今回は初となる鳥取県、岡山県でのツアーでした。蒸し暑さからはじまり、その後はずっと雨というコンディションとなり、八東ふる里の森ではアカショウビンやコノハズク、トラツグミの声は聞こえたものの姿を見ることができず残念でした。一方、巣箱を使って繁殖しているアオバズクに関しては普段なかなか見る機会がない、夜の行動を見ることができました。最後に立ち寄った岡山県ではブッポウソウの姿をじっくりと観察することができ、こちらも普段なかなか観察できない野鳥だけに貴重な機会に恵まれました。今回訪れた場所はいずれも現地のスタッフの方々や地元の方々がしっかりとした管理体制で野鳥たちを保護している場所です。八東の森では規制線を貼るなどして保護しつつ見せるための工夫もされていて、バードウォッチングの進化系のような印象を受けました。マナーを守ってしっかり観察してもらうという形は非常に良いスタイルであると感じました。また岡山県のブッポウソウは現地スタッフではなく地元の住民の皆さんが共同して保護しているという点が特に印象的でした。こちらも素晴らしいスタイルである点が感心させられました。いずれの場所も今後もさらに良い形で我々を楽しませていただけたら嬉しいものです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。現地でお世話になった皆様にも感謝申し上げます。

石田光史

ブッポウソウ 撮影:西川惠美子様

 

アオバズク 撮影:中村由紀子様

 

アオバズク 撮影:西川惠美子様

 

ブッポウソウ 撮影:中村由紀子様

 

アオバズク 撮影:西川惠美子様

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