【ツアー報告】早春の漁港巡り 銚子と波崎 2016年3月15日

(写真:シロエリオオハム)

いよいよ冬鳥たちが北へと帰り始める時期です。この時期は漁港内で見られるカイツブリ類、カモメ類は夏羽への換羽が進み、ウミスズメ類やアビ類は移動中のためか、または外洋が荒れることが多いからか、漁港内で観察される機会が多い傾向にあります。この日は天候は良かったものの、前日の荒天の影響が残り外洋は高波が押し寄せていました。

 15日、早朝にJRのトラブルがあったことから20ほど遅れて東京駅前を出発しました。途中休憩をはさみまずは銚子漁港に向かいましたが、銚子漁港は地図で見る以上に遠く、到着は11:00前でした。到着後は各自観察機材の準備をしていただきましたが、駐車場内には弱ったミツユビカモメがうずくまっていました。準備後はカモメ類の群れを探しながら漁港内を走りましたが、この日は外洋の荒れのせいか漁船の往来がなく、水揚げもないことから漁港内は閑散としていました。それでもある場所では強風を避けるようにカモ類が集まっていたため、まずはここでバスを降りて探鳥しました。群れているカモ類はほとんどスズガモでその中に1羽のウミアイサがいました。またスズガモの群れの周囲には夏羽に換羽したハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、そしてやや夏羽が出始めているアカエリカイツブリのカイツブリ類3種が見られ、遠くに浮いていたシロエリオオハムが見る見るうちに近づいてきました。シロエリオオハムは一部に夏羽が出始めていて、時より羽ばたいていました。また堤防上にはアオサギの姿があり、当地の名物になっているクロサギも現れて盛り上げてくれました。ほかにもミツユビカモメ、カモメ、セグロカモメ、ウミネコなども見られ、あっという間にお昼になったため各自昼食の時間としました。漁港内にあまりカモメ類の姿がなかったことから、昼食後はやや範囲を広げて銚子マリーナに向かいました。小さな漁港内ではアカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ヒメウ、ウミウをじっくり観察することができ、マリーナでは水溜まりで水浴びするセグロカモメ、オオセグロカモメ、カモメ、ウミネコの群れを観察しましたが、突然カモメ類が一斉に飛び立ったかと思うと、猛スピードでハヤブサの成鳥がやってきました。その後、一旦ハヤブサを見失いましたが、しばらくすると再び現れ、よく見てみると地面でカモメの若い個体を食べ始めました。食事中ということもあり思いのほか警戒心が薄く、じっくりと観察することができました。その後は利根川を渡って波崎漁港に向かいました。外洋が荒れていたため期待しましたが漁港内は閑散としていて、遠くに50羽ほどのハジロカイツブリの塊状の群れが浮いているのみでした。堤防付近ではウミウ、カワウ、カモメ、ユリカモメ、セグロカモメ、オオセグロカモメが並び、ヒドリガモ、オカヨシガモの姿もありました。時間も無くなってきたため、最後は再び銚子漁港に戻ってカモメ類の群れを観察することにしました。最初にバスを止めた場所ではカモメ類の個体数は少なかったものの、その中に足がかなり黄色くニシセグロカモメと判断しても良いレベルのセグロカモメの姿がありました。その後もいくつかの群れを観察しましたが期待のカナダカモメの姿を見つけることはできず、遠くに群れる10羽ほどのシノリガモの姿を見て観察を終了しました。

前日の雨も上がり終日ほぼ晴天の1日でした。天気予報では冷たい北風が吹くとのことでしたが、それほど気になるものではなくむしろ春を思わせる陽気で幸運でした。期待種のうちいくつかの種に出会えなかったほか、水揚げの関係でカモメ類の数も少なく残念でしたが、外洋が荒れていたせいか、普段は漁港内で見る機会が少ないミツユビカモメの姿が多く見られ、ハジロカイツブリ、カンムリカイツブリ、アカエリカイツブリ、そして漁港内で見る機会が極めて少ないシロエリオオハムをじっくり観察することができました。またクロサギも現れてくれ、海鳥とは関係ないですが、カモメを襲い捕食するハヤブサの姿を見る機会もありました。来季も冬の銚子と波崎は2度ツアーを企画する予定です。都心からはちょっと行くのが面倒な探鳥地ですのでまたの機会にツアーにご参加ください。この度はお疲れさまでした。

石田光史

シロエリオオハム

シロエリオオハム

 

アカエリカイツブリ

アカエリカイツブリ

 

スズガモとハジロカイツブリ

スズガモとハジロカイツブリ

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