【ツアー報告】高原満喫!奥蓼科高原と霧ヶ峰 2021年6月11日~12日
(写真:ホオアカ 撮影:竹村章様)
6月に入るとやはり梅雨が気になるものです。また平地はやや暑くなりはじめ、小鳥たちの繁殖も終わり、セミの声が煩くなってくるなど、バードウォッチングにはやや不向きな時期でもあります。だからこそこの時期は標高の高い涼しい探鳥地をめぐる高原めぐりツアーを企画しました。最初に訪れる野辺山高原は標高1300m、奥蓼科周辺は標高2000mを超え、さらにここまで来たら霧ケ峰に行かずして帰るのはあまりにももったいないということで標高1900mの霧ケ峰を最終探鳥地とし、下界の暑さを忘れてしまうほどの別世界めぐりです。今回はたまたま10日ほど前に直前下見を実施し、探鳥地をやや変更しての出発となりました。天気予報は一週間前は両日雨マークがついていましたが、その後予報が変わり、両日共に雨の心配はないとの予報の中での出発となりました。
11日、このツアーは東京駅間集合を通常のツアーよりも遅い09:00にていましたが、みなさんのご集合が早かったため、少々早い08:50に出発しました。バスは中央自動車道を走り、車内ではこのツアーで見られる可能性が高い種の解説をしながら進み、まずはサービスエリアに到着。ここで一旦休憩やお買い物をしていただき、その後は中央道を降り、まずは清里の駐車場に向かいここで各自昼食の時間としました。やはり高原らしい涼しさがあり快適な環境の中、周辺からはカッコウ、ホトトギスの声が聞こえ、ホオジロ、キセキレイが姿を見せてくれました。また園内はレンゲツツジの花が見事に咲きそろっていました。昼食後は高原内をめぐり、モズ、ノビタキ、ヒバリ、ホオアカなどを見ながら進み、それほど見られないと思っていたホオアカが複数個体さえずっているのは意外な出会いでした。またある場所では道路上をノコノコ歩きながら餌を探しているコムクドリのオスを観察することができ、最後はトイレ休憩も兼ねて訪れた場所で、賑やかにさえずるオオヨシキリ、芝生の上を歩き回るコムクドリ、池に水を飲みにきているツバメ、イワツバメを観察してから蓼科高原に向かい出発しました。さすがにこの時間になるとセミの声も静まってくる中、まずは先週たまたま見つけた繁殖中のアカゲラの親子を見に行きました。道路脇のシラカバに作られた営巣木はよくもこんなところにとか、もっと良い木があるのではと思ってしまうような場所でした。営巣中の野鳥の観察は言うまでもなく特に気を使わなくてはならず、基本的には行動を妨げない安全な距離をとること、さらには短時間で済ませることが重要です。30分ほど見ていましたが、幸いにも10分おきには親鳥がやってきて巣にいるヒナに餌を与えると共に、帰り間際には巣の周辺にいるコムクドリに攻撃を加えていました。その後はさらに標高を上げて沢沿いの駐車スペースにバスを止めて周辺を見てみました。バスを降りるといきなり複数のオオルリのさえずりが聞こえ、カラマツのてっぺんでさえずるオオルリ、さらには対岸の針葉樹に止まってさえずる別の個体を見ることができました。その後はやや場所を変えて歩いてみると、周辺からはオオルリのほか、コマドリ、コルリ、ホトトギス、ジュウイチ、エゾムシクイ、メボソムシクイなどの声が聞こえ、ふと見るとヒガラ、コガラ、ウソの姿があり、電線に止まっている2羽のサメビタキの姿を見ることができました。また最後には巣に餌を運んでいるのか、珍しくメボソムシクイがじっくりとその姿を見せてくれ、この日の探鳥を終えました。
12日、この日はまず早朝探鳥に出発しました。外に出ると快晴ではないものの雨の心配はなさそうで、宿前ではオオルリ、キセキレイ、ホトトギスの声が聞こえていました。駐車場でバスを降りると早速つがいと思われるサンショウクイが飛んできて木に止まってくれ、キセキレイが道を歩いていました。期待していたクロツグミのさえずりは聞こえませんでしたがひとまず森に入ってみました。するといきなりクロツグミの警戒声が聞こえ、オス2羽が追いかけっこをするように走り回っていました。さらに進むと地上採食しているクロツグミの姿があり、さらに進むとようやくさえずりが聞こえ、見てみるとブナに止まって朗々とさえずるクロツグミの姿があり、じっくりと観察することができました。またどこからともなくアオゲラがやってきて叫ぶように鳴き、さらにはさえずっているキビタキを間近にじっくりと観察する機会もありました。また戻る途中には今度はクロツグミのメスが歩きながら地上採食していました。また駐車場までくるとカケスがやってきて賑やかに騒いでいました。その後は一旦宿に戻って朝食をいただいてから霧ケ峰を目指しました。まずは霧ケ峰の入り口に位置する白樺湖までやってきましたが、コロナ禍とは思えない混雑ぶりには驚かされました。その後はまず景観が見事な場所でバスを降りてみました。予想外にレンゲツツジの花が咲く中、ホオアカが見事なさえずりを披露してくれ、観察しているとさえずりながら飛んでいるノビタキがやってきて杭に止まりました。また付近の建物ではジョウビタキが繁殖しているらしくメス個体が姿を見せてくれました。その後はトイレ休憩も兼ねて移動してお花畑の中の遊歩道を歩いてみました。ここは残念ながら花の数が極端に少ない印象でしたが、早速ホオアカがソングポストで延々歌ってくれたためじっくりと観察することができ、繁殖中と思われるノビタキのつがいが餌を運んでいました。また最後にはズミの木でさえずるウグイスの姿も見ることができました。そして最後は霧ケ峰まで移動して周辺を歩いてみました。この頃には空には青い部分が増えて景観も見事になっていました。草原内にある小道を進むとヒバリが飛び立ち、杭に止まったかと思うとそのままさえずりはじめてくれ、繁殖中のノビタキのつがいがせっせと巣にいるであろうヒナに餌を運んでいました。巣は地上にあるため見ることはできませんでしたが同じ場所に何度も何度も餌を咥えて入っていくことからだいたい想像ができます。さらに進むと再びノビタキの姿があり、レンゲツツジに止まったり、リフトに止まったりしてその姿を見せてくれました。その後は駐車場まで戻って各自昼食をとっていただき、続けて荷物整理をしていただき帰路につきました。
さて、今回のなかなか梅雨入りしない関東圏から涼しい信州の高原をめぐりました。お天気が心配な時期ではありましたが、幸いにも両日共にまずまずの天候の中、探鳥することができました。高原ではおなじみの、ノビタキ、ホオアカ、モズ、コムクドリが愛想良くその姿を何度も何度も楽しませてくれ、蓼科の森では繁殖中のアカゲラに出会うこともできました。また周辺の森ではなかなか見ることは難しかったですが、キビタキ、オオルリ、クロツグミ、サメビタキ、ウソ、メボソムシクイなどを見ることができ、高原と亜高山帯の野鳥たちを楽しむことができました。間もなく緊急事態宣言の解除となる見込みではありますが、コロナウイルス感染に関しては全く気が抜けない状況が続きます。そのため今後も皆様にはさまざまご協力いただきながらのツアー運行となります。この点、ぜひご理解ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史