【ツアー報告】九州最西端の渡り 春の福江島 2021年5月7日~9日

(写真:ヤツガシラ 撮影:鶴田美津子様)

5月7日、羽田空港発の便が11時35分福岡空港へ到着。長崎福江島行きに乗り換え。約40分のフライトで長崎福江空港へ到着。お客様が揃った。さあいよいよ「九州最西端の渡り 春の五島列島福江島」ツアーの始まりだ。天候は朝までの雨があがり、少し薄日が射す曇り空。早速バスに乗り込み探鳥を開始する。まずは水田地帯に向かう。予想外だったのはまだ麦畑の収穫が終わったばかりで水の入った水田が僅かなこと。セッカが忙しなく鳴いている。少し歩くと奥の方に水田が残っていてようやく2羽のオグロシギを見つける。美しい夏羽を纏い盛んに餌を啄んでいる。農道には雄のキジが出てきて時折り雄叫びをあげる。他に鳥が少ないため場所を移動する。次は福江島南部中央に位置する水田地帯。こちらは田植えが終わったばかりの様子。少し歩きながら周囲を見渡してみるが、鳥影は殆ど無い。少し気持ちが焦ってくる。さらに場所を移動する。ここは深く入り組んだ湾に繋がる川沿いに水田が広がっている。こちらも麦畑が収穫前の状態。川沿いに探鳥開始。早速イソシギ、タカブシギが飛ぶ。しばらく進むと電線に鳥影、マミジロタヒバリだ。やっと渡りの種類に出遭えた。もう少しゆっくりと観察したかったが、道路沿いのため直ぐに飛び立ち見失う。お客様が直ぐそばで綺麗な夏羽のノビタキを見つける。上空にはツバメが群舞している。コシアカツバメやアマツバメも混じっている。川の岸辺にハクセキレイを見つける。亜種タイワンハクセキレイだ。成鳥は美しい灰色の背中、喉の黒い前垂れが大きく嘴の基部に接しているのが特徴。マミジロタヒバリの再出現も待ったが現れず。本日の探鳥を終了し今回の宿に向かった。

5月8日、早朝にホテルを出発。今回のツアー最大のポイントに向かう。天候は曇り、気温18℃とやや高め、風は穏やか。約1時間で駐車場に到着。車外に出ると早速キマユムシクイの囀りが聞こえる。ただし、他が鳴いていない。当初の想定では登り口までの道路はムシクイやヒタキで溢れているはずだったが、渡りのピーク時期を越えると途端に状況が変化するようだ。シロハラホオジロ1羽の地鳴きが聞こえただけだった。約20分歩き頂上に到着。昨日から黄砂がきつく景色が白く霞んでいる。暫くするとお客様が林上に架かる電線に止まるブッポウソウを発見し、一気に雰囲気が盛り上がる。直ぐにフワリと飛び上がり遠くへ飛去してしまった。静寂が戻る。もう一方のピークではアムールムシクイ数羽が「シシシシシシシ」とヤブサメに似た声で囀っている。九州や西日本の春の渡りでは時々出現するようになったが、今シーズンは特に多い。突然目前にハイタカが出現する。一部渡りの個体が残っており、同時に最大4羽が帆翔した。その後、トケン類が出現するも背面からの目視だったため、カッコウorツツドリまでしか絞り込めない。と突然、お客様が「ヤツガシラ!」と叫んだ。その場にいたメンバーの目前をフワフワと飛び電線に止まった。約半数のメンバーは対角線上のもう一方のピークにいる。数分後には再び飛び立ち林の影に消えた。ここは標高240mの高さだが渡りのコース上にあるため、様々な種類の小鳥が通過していく。午前9時半過ぎ、早朝から3時間経過したためトイレ休憩を兼ねて移動することにした。バスに戻る途中、思いがけずヤツガシラに再度遭遇。全員が近距離で美しい姿を堪能することができた。約10分で到着。ここはあるブログで一週間前までシマアオジ、シマノジコなどのホオジロ科の小鳥が見られていた所だ。結果から言うとここが大当たりだった。キマユホオジロ、コホオアカ、シベリアアオジ、ムジセッカ、ササゴイ、アカガシラサギ、カラスバト、ツメナガセキレイなどを一気に観察することができた。美しい夏羽を纏った個体が多く、全員で堪能できた。昼食を取った後、北部に向かった。ここは大きな河川が湾に流れ込む環境。昨年秋、ここを通った時に運が良ければヤマショウビンなどもと想定したが、今回上流側で大規模な土地開発を行っているようで川底をヘドロのように泥が覆っている。少数のイソシギ、キアシシギとキンクロハジロ雌、またカラスバトの飛翔を観察した。時刻も4時となり、最後に水田地帯を短時間覗く。10羽のムナグロと遠くにアカガシラサギの飛翔を確認しただけだったが、帰ろうとした時に軽自動車でやって来た地元の女性バーダーからツバメチドリが朝見られたことを教えられた。少し遠回りすると直ぐに飛んできた1羽を発見。すると次々に増えていき、結局6羽のツバメチドリを観察することが出来た。親切な地元バーダーに感謝しながら一日を締め括り、ホテルへの帰路についた。

5月9日、今朝も天候は晴れだ。今朝は昨日手応えのあった場所に寄ってみた。雰囲気が違う。たくさんいたシベリアアオジの声が明らかに減っている。それでもシマノジコが残っていることに期待して全員で粘って探す。滞在時間終了が迫った5分前、お客様がシマノジコ撮影に成功する。しかも昨日とは違って2年目の雄だ。茶褐色の上面と黄色の下面のコントラストが美しい。その後、昨日と全く同じシチュエーションでヤツガシラに再再会する。山頂はキマユムシクイ、アムールムシクイの囀りが僅かに聴こえるが、山全体が静かだ。それでもコサメビタキ、サメビタキ、エゾビタキを少数観察し、センダイムシクイの囀りを確認した。また、ハヤブサ成鳥の姿も来島後初めて確認した。今日の昼食は新鮮な地元食材を炉端焼き風に目前で焼きながら食べる。食後、今回のツアー最後となる探鳥地をお客様全員と相談し、結果好調な場所に決め、再度シマノジコを狙うことにした。既に熟知したポイントで粘る。終了5分前、こちらに出ているとお客様が手招きする。皆が集まっていく。おそらく午前中と同じ雄だったが、全員が集まり終える直前に飛去してしまい数名だけ見ることができた。ここでタイムアップ。美しい渡りのホオジロ類との対面。後ろ髪を引かれる思いで今回のツアーを終了し、五島福江空港へ向かった。

波多野邦彦

シマノジコ 撮影:小林茂様

 

オグロシギ 撮影:大林修文様

 

キビタキ 撮影:中澤均様

 

シロハラホオジロ 撮影:中村裕一様

 

ブッポウソウ 撮影:鶴田美津子様

 

コホオアカ 撮影:大林修文様

 

ヤツガシラ 撮影:中澤均様

 

シマアカモズ 撮影:中村裕一様

 

ツメナガセキレイ 撮影:鶴田美津子様

 

ツバメチドリ 撮影:大林修文様

 

シマノジコ 撮影:中澤均様

 

コサメビタキ 撮影:中村裕一様

 

シベリアアオジ 撮影:鶴田美津子様

 

アカガシラサギ 撮影:大林修文様

 

シベリアアオジ 撮影:中澤均様

 

キマユムシクイ 撮影:中村裕一様

 

シマアカモズ 撮影:鶴田美津子様

 

アカハラツバメ 撮影:大林修文様

 

コホオアカ 撮影:中澤均様

 

シベリアアオジ 撮影:中村裕一様

 

シロハラホオジロ 撮影:鶴田美津子様

 

ツメナガセキレイ 撮影:大林修文様

 

ツバメチドリ 撮影:中澤均様

 

コホオアカ 撮影:中村裕一様

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