【ツアー報告】西日本屈指の渡り鳥の中継地 対馬 2021年5月5日~7日
(写真:マミジロツメナガセキレイ 撮影:栗栖剛様)
5日、空港に到着後、毎年お世話になっている現地の方に連絡を取り、今朝の鳥の出現状況を伺って、これから訪れる探鳥地を決める。今朝の状況から鑑みると、南部の水田を中心にまわるのが良さそうだ。最初の探鳥地では、キマユホオジロ、コホオアカ、シベリアアオジなどの春の渡りならではのホオジロ類の姿が見られ、その数も多い!キマユホオジロが金網に10羽で並んだり、飛び立つ小鳥の群れがコホオアカだったりという調子だ。水を張った水田では、ヒバリシギやトウネンと共に真っ赤になったサルハマシギの姿もあり、最初から興奮する幕開けとなった。その後、訪れた地元の人だからこそ知るポイントでは、アカハラ、マミチャジナイ、マミジロなどのツグミ類が次々と現れて餌を探しているほか、シロハラホオジロや潜在性の高いシマゴマも姿を現した。そして最後には、昨春に数多くの渡り鳥が観察され、注目度の高いポイントへと向かうが、ここでは残念ながら渡りのタイミングが合わなかったのか、ほとんど鳥影が無く、営巣しているミサゴの姿を観察して探鳥を終える。
6日、朝食前にホテル周辺を1時間ほど観察すると、驚くほどシマゴマの声が多い。普段はあまり鳥の見られないところながら、今朝はキマユムシクイ、コムクドリ、ビンズイなど渡り途中の種が続けて現われ、幸先の良いスタートとなった。朝食を済ませた後、本日最初のポイントに向かう。ここも昨日同様にコホオアカの姿が多かったが、灌木でさえずるシマアオジの雄も観察することができた。次いで訪れた畑地では、観察を始めるとすぐに、畑を歩く黄色いセキレイの姿が見つかる。ツメナガセキレイかと思い双眼鏡を覗くと、これがキガシラセキレイ!この時期の対馬ならではの嬉しい出会いとなった。昼食後は昨日も訪れた探鳥地へと向かう。昨日観察したキマユホオジロ、コホオアカ、シベリアアオジが数は減っていたがまだ見られ、きれいな繁殖羽のアカガシラサギも観察することができた。次いで訪れた畑にはツメナガセキレイが群れており、1羽ずつ確認するとキタツメナガセキレイ、ツメナガセキレイ、マミジロツメナガセキレイの3亜種を観察することができた。最後に水田地帯を歩くが、残念ながらここでは期待していたシギ類やホオジロ類の姿が無く、ハイタカがツグミ類を追いかけながら、山林へ突っ込んでいくスリリングなシーンに出会ったのみであった。
7日、昨日同様に朝食前にホテル周辺を歩くが、昨日はあれだけ鳴いていたシマゴマの声もまったく聴かれなくなり、鳥影も薄い。1日違うだけでここまで様子が変わるのがこの時期の面白さでもあり、怖さでもある。朝食後にホテルをチェックアウトして、昨日と同じポイントに向かうが、風も強く、鳥が少なくなっている。次いで訪れた畑地も同じ状況で、昨日観察したキガシラセキレイやツメナガセキレイの姿も無かったが、新たに亜種カラアカモズと思われるアカモズを観察することができた。そして、いよいよ帰りの時間が近づくなかで、最後に立ち寄った場所の上空を渡り途中のハチクマが次々と現れ、今回のツアーを締めくくってくれた。
田仲謙介