【ツアー報告】沖縄やんばるの森の固有種たちA 2021年4月10日~12日
(写真:ヤンバルクイナ 撮影:中澤均様)
10日、12:00 那覇空港でお客様と合流。“うりずん”と呼ばれる一年で最も気持ちの良い季節の中、最初のポイントへ行く。昨日、ソリハシセイタカシギが入ったという情報があったので、昨夜から抜けないようにと願っていた甲斐あってか、のんびりと餌を獲っている。こういう鳥は盛り上がるのでみなさんでじっくりと堪能する。さらにカモ類やシギ・チドリ類などを観察、撮影する。13:00近くの公園で昼食。シロガシラが鳴き、クロサギが餌を捕り、沖の岩礁にミサゴがとまっている。13:25に北上する。普通はこんな時間に道路に出ていないヤンバルクイナが、道路の脇で餌を啄んでてお互いに驚く。あちこちでホントウアカヒゲの雄が囀る姿をみなさんで観察、撮影する。そして、ちらっとだがノグチゲラが2羽で追いかけっこをしている。じっくりではないが、数時間で“やんばる3点セット”をコンプリートする。その後、やんばるの林道をゆっくりと走り、17:50にいつものヤンバルクイナのポイントを廻ると、水浴びをしているヤンバルクイナ1個体を発見。直ぐに藪に入ってしまったので暫く待っていると、再び、現れてウロウロする。すると、もう一個体が出て来て、その足元に孵化後2~3日の小さくて真っ黒なヒナが2羽ちょろちょろしている。思いがけない出会いにみなさんの興奮が伝わる。すると、雄が道路を横切り藪の中へ入り、暫くすると小さな餌を咥えて戻って来て、ヒナがいると思われる藪の中へ入る姿をみなさんでじっくりと観察、撮影する。18:50 やんばるの森の中のホテルに到着。やんばるのホテルに連泊というのも、このツアーのいいところなのだ。19:15夕食。もちろんヤンバルクイナの話しで盛り上がる。
11日、一晩中、ホテルの周りでヤンバルクイナが鳴いていた。05:45 薄暗い中、リュウキュウアカショウビンの囀りを聞きながらやんばるの森を車でゆっくりと走る。ホントウアカヒゲがあちこちで朗々と囀る。ヤンバルクイナのポイントへ行き、車内で待つと、雄が車の前を横切り藪の中へ入っていく。暫くすると小さな餌を咥えて出て来た藪の中へと戻っていく。藪の中のヒナに餌を運んでいるのだ。雄は再び、車の前を横切り藪の中へ入っていき、暫くすると、今度は川岸に出て来て、なんと川を泳いで渡って、出て来た藪へと戻っていく。ヤンバルクイナの泳ぐ姿は稀にしか見られないのでみなさんじっくりと観察、撮影する。しかし、運んでくる餌はどれも小さくて、こんな餌で大丈夫なのかと心配になる。その後、ノグチゲラをチラ見して、ホテルの近くでホントウアカヒゲの雄をみなさんでじっくりと堪能する。その後、ホテルに戻り朝食。再度出発し、やんばるの森の中の林道をゆっくり走る。数ヶ所のホントウアカヒゲのポイントでそれぞれの雄をじっくりと観察、撮影する。この時期の雄は特に綺麗なのだ。ノグチゲラの声がするので、待つと、1羽が飛来して木を登っていく。さらに2個体で飛び回り、対岸の個体と2羽でドラミングをする。しかし、動きが早くてなかなか写真撮影までとはいかない。その後は昼食とお買い物。ヤンバルクイナのグッズはここにしか売っていないのだ。昼食後、耕作地でサギ類、シロガシラ、リュウキュウツバメや体色の濃いリュウキュウキジバト、リュウキュウヒヨドリなどの琉球列島の亜種を観察。ウォーターレタスの上を歩くバンのヒナ5羽が可愛くてみなさんでじっくりと観察、撮影する。その後、さまざまな場所でホントウアカヒゲを堪能する。アカヒゲをじっくり見るには、この時期がベストである。17:30ヤンバルクイナのポイントへ行き、車内で待つと、ヤンバルクイナが出て来て水浴びをする。やっと、みなさんでたっぷりと堪能する。ヤンバルクイナもこの時期が嘴や脚の赤が鮮やかなのだ。18:20 やんばるの森の中のホテルに到着。夕食は“やんばる3点セット”の話で大いに盛り上がったのである。
12日、早朝に ホテルを出発してノグチゲラのポイントで待つ。アカヒゲが朗々と囀り、リュウキュウサンショウクイが鳴きながら飛んでいき、リュウキュウツミが遠くで鳴く。移動途中でノクチゲラを見付けて、慌てて車から降りる。求愛期に行う雄と雌の追っかけっこなのだ。一部のお客様が写真を撮っただけでノグチゲラは森へと入っていった。その後もホントウアカヒゲをたっぷりと楽しむ。さらに、ホテルの近くでもホントウアカヒゲの雄をみなさんでじっくりと観察、撮影する。その後はホテルに戻って朝食。再度出発して南下する。半月前までオクラレルカというショウブに似た花が綺麗だったのだが、少し残っているだけであった。サギ類やイソシギを見ていると、リュウキュウヨシゴイの雄が飛んでいる。沖縄ではマングースの影響なのか、リュウキュウヨシゴイ、ミフウズラ、シロハラクイナ、バンといった地上で繁殖する種が激減している。ここのリュウキュウヨシゴイもいなくなったと思っていたので、この再会は嬉しい。さらに南下すると、シマキンパラの群れがいてみなさんで観察、撮影する。アオアシシギ、チュウシャクシギやサギ類などを観察してから昼食。町の外れに東南アジアの屋台のようなお弁当屋さんがあり、とにかく安いので、みなさんついつい買い過ぎるから「お弁当はおかずとかの内容で選ぶのではなく、持って食べられる量のお弁当を購入してください」と変な注意をする。昼食後も耕作地でシマキンパラやシロガシラを観察、撮影。ジシキ類が何羽も渡ってきてて悩ましい個体がいるがタシギばかりであった。そして、帰る準備に入ろうとしていると、お客様がハクセキレイの亜種タイワンハクセキレイをみつけて最後に盛り上がり、慌てて那覇空港へと向かったのである。ヤンバルクイナとホントウアカヒゲにたっぷりと遊んでもらった3日間でした。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁