【ツアー報告】カンムリワシの島 石垣島と西表島 2021年3月22日~25日
(写真:カンムリワシ 撮影:久野守正様)
22日、15:15に石垣空港を出発。石垣島では、いつも地元で鳥を見ている方がリアルタイムの最新情報を教えてくれるので感謝なのだ。早速、カタグロトビのポイントへ行く。本日は気温が下がり風が強く、待っていると南国とは思えない寒さである。体色の濃いリュウキュウキジバトやイシガキヒヨドリ、日本で一番体の小さいオサハシブトガラス、さらに奇妙な声で鳴くシロハラクイナなどを観察しながらしばらく待つが、カタグロトビが出て来ない。16:20に諦めて移動。別のカタグロトビのポイントで待つと、アマサギの大きな群れが次々と飛んでいく。しかし、ここでもカタグロトビが出て来ないので少し焦る。そこで耕作地を歩き、ダイサギ、コサギ、アオサギなどのサギ類、カルガモ、コチドリなどをみなさんで観察、撮影する。その後は河口へ行き、白いクロサギ、リュウキュウツバメ、カワセミ、イソシギなどを観察して18:30にホテルにチェックイン。勝手に、ムラサキサギ、スグロゾゴイ、カンムリワシ、カタグロトビを八重山4点セットと呼んでいるが、初日に1種も見られなかったことは今までに無く、不安の残った初日となる。
23日、ホテルで朝食後、草地へ行き、ハクセキレイ、ツメナガセキレイを見る。最近、市街地でも繁殖を始めたインドハッカが芝地で餌を啄んでいるので、みなさんでじっくりと観察、撮影する。08:00に専用バスで移動。農道をゆっくりと走るとヤツガシラを発見。みなさんで観察しようとすると作業の車が来て飛んでしまう。その後、周辺を探すが見付からない。カンムリワシが鳴いているので、探すとパイン畑の電柱に2羽がとまっている。すると、電柱の上で交尾を始めたので、みなさんでじっくりと観察、撮影する。やっと4点セットの1種を確認。その後は別の耕作地でカンムリワシの真っ白な去年生まれの幼鳥を発見。ちょっと距離があるがみなさんで観察する。さらにはムラサキサギがのんびり餌を食べている。みなさんでじっくりと堪能し、これで4点セットの2種目を確認。バスに乗ろうとすると大きな猛禽類が飛んでいる。「ん、オオノスリだ!」ちょっと遠いけど上面の初列風切の基部の白い部分が見える。最近、見なくなったので渡ってしまったと言われていたが、まだ滞在していたようだ。12:00に八重山そばの昼食。再びカタグロトビのポイントへ行くが、なかなか出て来ない。諦めかけた13:40に1羽が飛来してテリハボクのトップにとまる。その周辺で繁殖をしそうだというので近づかないように距離をとって観察する。すると、直ぐに飛び立って、隣のテリハボクにとまると、雌がとまっていて交尾をする。やはりこの辺で繁殖をしそうなので急いで撤収する。バードガイドがお客様に写真を撮らせるために繁殖を放棄させるなんて、絶対にやってはいけないことである。その後はグランドでムネアカタヒバリ21羽が餌を啄み、チョウゲンボウがバッタ類を捕る。その後は公園でズグロミゾゴイの幼鳥をみなさんでじっくりと観察、撮影する。これで4点セットコンプリリートなのだ。急いで離島桟橋へ行きフェリーに乗る。西表島到着はバスでホテルへ。ホテルにチェックイン後は慌ただしくホテルで夕食とり、18:40に山道をゆっくりと登っていく。シロハラクイナが奇妙な声で鳴いている。陽が落ちるとあちこちでリュウキュウコノハズクが鳴き始め、暗くなるとポツポツとヤエヤマヒメボタルが光り出し、やがて何千・何万頭のホタルたちがイルミネーションのように素早い点滅する。無数のホタルたちに囲まれていると、まるで小宇宙に旅立つような錯覚に陥るのだ。ホタルのイルミネーションのなかでリュウキュウコノハズクが「コホッ コホッ」と鳴く幻想的な世界。これをみなさんに経験してもらいたかったのである。日没から約1時間でホタルの点滅が終わる。帰りに、電線にとまっているリュウキュウアオバズクをじっくりと観察、撮影。さらに集落内の電柱にとまっているリュウキュウコノハズクをみなさんでじっくりと観察、撮影して終了。
24日、朝、土砂降りで目が覚める。07:00朝食、07:50に専用バスで出発。ドライバーさんが毎年同じ方なのでポイントを熟知しているうえに観光ガイドもやってくれるので、いつもは楽しい車内となるのだが、土砂降りで心が折れそうになる。八重山ツアーをかれこれ16年やっているが西表島で朝から土砂降りは初めてなのだ。西表島は島の東側~北~西側の半周しか道路が無く、南側は道路が無い原生林に覆われている。08:05雨の中、集落内を歩くと、あの可憐な姿からは想像できない怪獣のような酷い声でシロハラクイナが鳴き交わす。ズグロミゾゴイの成鳥が畑でミミズ類を捕っている姿をみなさんでじっくりと観察、撮影する。チュウダイズアカアカバトが電線にとまっている。雨だが鳥は多い。08:40に移動。あちこちの電柱にカンムリワシがとまっている。中学校まで行くとデイゴが満開の花を付けている。沖縄ではデイゴの花の多い年は台風が多いといわれている。学校の校庭のハクセキレイを見ていたら、3m程の木にカンムリワシがとまっていて目と目が合って逃がしてしまった。リュウキュウサンショウクイ、イシガキシジュウカラ、イシガキヒヨドリなどを観察、撮影する。その後、過去にいろいろと珍鳥が確認されている場所に行く。ところがこれといった種は見られず、リュウキュウキジバト、セッカ、スズメ、シロハラクイナなどを観察する。しかし、カンムリワシが4羽も電柱にとまっている。10:45 県道215号を走ると、あちこちの電柱にカンムリワシの成鳥がとまっていて延べ20羽を越えている。道路脇からヤツガシラが飛び、近くの枝にとまる。急いで、バスから降りてみなさんでじっくりと観察、撮影する。すると、近くの電線にカンムリワシの昨年生まれの幼鳥がとまっていて、こちらもみなさんで堪能する。12:30 由布島を見ながら昼食。昼食後、215号を南下すると、さらに電柱にカンムリワシの成鳥がとまっていて延べ30羽を越えた。午後、水田へ行くと、クロツラヘラサギ10羽が田植えをしたばかりの水田で休んでいる。さらに、サギ類、セイカタシギ、コガモ、シロガシラなどをみなさんでじっくりと観察、撮影し、その後、売店で黒糖ソフトクリームを食べてから帰路に着く。今日一日で確認したカンムリワシは合計35羽。西表島には70~80羽のカンムリワシが生息しているというから約半数を見たことになるから驚きなのだ。17:10ホテルへ戻り、18:00 西表島の食材を使った美味しい夕食で盛り上がりました。
25日、07:00朝食、08:00に集落へ行く。リュウキュウキビタキが短いフレーズで「リュウキビッ、リュウキビッ」と囀り、チュウダイズアカアオバトが尺八の練習のような声で囀る。ズグロミゾゴイが大急ぎで隠れてシロハラクイナがのんびりと歩いて行く。水田にハクセキレイの亜種ホオジロハクセキレイがいて盛り上がる。そして、最後に13年前から確認している虹彩の黒いカンムリワシをみなさんでじっくりと観察、撮影して終了。フェリーで石垣島離島桟橋、さらに石垣空港から直行便で羽田空港へと向かったのである。
本当はゆったりと時間が流れる八重山ですが、ツアーとなると大慌てでカンムリワシ、ムラサキサギ、ズグロミゾゴイ、カタグロトビの“八重山4点セット”を探し廻りました。しかし、ヤエヤマヒメボタルのイルミネーションのなかでリュウキュウコノハズクが鳴く幻想的な世界は、時を忘れさせてくれました。みなさま、お疲れ様でした。
宮島 仁