【ツアー報告】大洗航路の海鳥と北海道の小鳥たち 2021年3月18日~21日
(写真:シャチとコアホウドリ 撮影:大林修文様)
観察できるウミスズメ類が最大数を迎える3月の大洗~苫小牧航路ツアーはすっかりお馴染みになっていますが、道内ではちょうど冬鳥たちの渡り期を迎えているほか、魅力的な留鳥たちも楽しめる時期のため苫小牧港到着後は市内で1泊し、翌日に苫小牧周辺での探鳥も加え4日間としたのがこのツアーです。今回は金曜日、土曜日に関しては全く問題ない予報が出ていましたが、先週に引き続いて日曜日が春の嵐になるだろうとの予報が出る中での出発となってしまいました。
18日、すっかり春めいてきましたが、先週に引き続いて日曜日が春の嵐になるとの予報が出る中、予定通りにご集合が完了したため、資料の配布、トラベルイヤホンの配布及び使用方法説明、そして翌日の連絡事項をお伝えしてから乗船し、翌日の観察に備えてお休みいただきました。
19日、*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。
20日、日曜日は大荒れ予報ですが、この日は朝から快晴無風。朝食後は公園に向かいました。積雪はなくすでに春のような状況でカワラヒワがさえずり芝生にはツグミが佇んでいました。さらに進みましたが意外なことに小鳥類の気配は少なく、シジュウカラ、ハシブトガラの姿があるのみでした。ただ突然、イスカの群れは鳴きながら上空を通過し、さらに進んだ場所では再び3羽のイスカがやってきて木に止まってくれたため望遠鏡を使って観察することができました。広場ではツグミとシメが地上採食し、最後にはミヤマカケスが現れてその姿を楽しませてくれました。その後は次のポイントまで移動しました。途中、木に止まるオオワシが見られ、到着後は見事な青空と風景を堪能することができました。園内では針葉樹林でヒガラが見られ、その後は上空を次々に通過していくマガンの群れが見られました。残雪がある道をさらに歩いていくとシロハラゴジュウカラが間近に現れてくれ、どこからともなく飛んできた2羽のマヒワ、さらにはアカゲラがやってきて間近に止まってくれました。その後もマガンの群れは次々に我々の頭上を通過し、飛翔するオオワシの姿もありました。そして最後は地上で餌を探すシロハラゴジュウカラ、針葉樹林ではハシブトガラ、キクイタダキ、コゲラの姿を楽しんでから移動しました。到着後は昼食の時間とし、その後は湖畔から湖畔林を歩いてみることにしました。湖面には意外にもカモ類の姿は少なく、ホオジロガモ、カワアイサの姿があるのみで周辺のハンノキにはマヒワの姿がありました。さらに林の奥に進むとマヒワが群れている場所があり、何か他の種類が混じっていないかと探してみましたが全てマヒワのようでした。その後は公園に立ち寄ってみました。松林があることからイスカに期待しましたが声すらしなかったため帰ろうかと思ったその時、どこからともなくイスカの声が聞こえ、見てみると数羽のイスカが松の木に止まっていました。そのため時間をとって観察していると松ぼっくりをつついたり、地面に降りて雪を舐めたりとさまざまなシーンをじっくりと間近に見せてくれました。海岸では海上に浮いているクロガモ、ヒドリガモ、ウミアイサ、そしてシロカモメを観察してから、やや時間が押してしまったものの最後の探鳥地に向かいました。まずは漁港内を見てみると間近にホオジロガモのオスが見られ、ほかにもスズガモ、ホシハジロ、クロガモ、カンムリカイツブリの姿があり、シノリガモのつがいがどこからともなく飛んできてくれました。またオオセグロカモメに混じってシロカモメの姿もあり、たった1羽ながらワシカモメの姿もありました。探鳥後は翌日の買い物をするため、イオン苫小牧に立ち寄ってから苫小牧フェリーターミナルに戻りました。到着後は一旦自由行動とし22:00に再集合していただいてから帰りのチケットを配布して22:30に乗船しました。
21日、*諸般の事情により詳しい出現状況をウェブサイトでは公開しておりません。
大洗~苫小牧航路での探鳥と道内での探鳥を組み合わせたツアーでしたが、今回はたまたま低気圧の接近があり、航路探鳥の復路が半日程度の探鳥になってしまい残念でした。またウミスズメ類の出現があまり活発ではなく、エトロフウミスズメやコウミスズメに出会うことができなかったことも残念でした。一方でコアホウドリ、クロアシアホウドリ、トウゾクカモメ、ハシブトウミガラス、ウミスズメ、ウトウ、シロエリウオオハムといった冬の定番種が見られ、シャチの登場に盛り上がりました。道内ではすっきりした青空の下、探鳥することができ、渡り期らしくマガンが渡って行く様子が観察できたほか、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケス、そしてイスカをじっくり観察する幸運もありました。6月には同様に大洗~苫小牧航路に道内探鳥を組み合わせ、主にアカモズを狙ったツアーを企画していますのでぜひご検討ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史