【ツアー報告】漁港の海鳥を満喫!冬の銚子と波崎 2021年3月9日
(写真:カナダカモメ 撮影:中村由紀子様)
冬に外せない探鳥地はいくつかありますが、この日訪れる銚子と波崎という漁港はその代表といえるでしょう。交通アクセスが悪いことから考えてもツアー向きといった探鳥地ではないでしょうか。タイトルは冬ですが季節的には早春の時期といったところでしょう。この時期は冬羽だった海鳥たちが続々と夏羽に変わり始め、特にカイツブリ類は冬に見るものとは全く異なった姿になっていて、地味ながらカモメ類も頭部が真っ白に変わって夏羽になりつつある個体が増えてきています。またこの時期は外洋が荒れることが多いため、外洋性の海鳥たちが漁港内に入ってきていることも多く、何かと楽しみな時期でもあります。幸いにもこの日は天気予報は晴れに変わり、早朝の東京駅は青空が見えていました。
この日も早めにご集合が完了したことから予定よりもやや早めに東京駅を出発してバス車内ではこの日に見られる可能性が高い種の中から、主にカイツブリ類、カモメ類の識別について予習しながら進み、まずは銚子漁港にやってきました。到着後観察機材をしていただいてから漁港をめぐり、まずはセグロカモメ、オオセグロカモメ、ウミネコ、カモメといったカモメ類の基本種を観察し、漁港内では夏羽に換羽し終えた美しいカンムリカイツブリ、そして今一つ冠羽が進んでいないカンムリカイツブリを比較しながら観察することができました。この冬はどういうわけかカモ類が少ないのですが、それでもズズガモ、クロガモの姿も見られました。一つお隣の漁港に行くとテトラポットに隠れるように魚を探すクロサギの姿もあり、しばらく観察してから一旦昼食の時間としました。昼食後は一旦利根川を渡って茨城県の波崎港に移動しました。ここでもカモ類の姿は少なかったですが、水路付近では浜に上がっているウミアイサに出会うことができたほか、ヒドリガモ、オカヨシガモも見られ、間近に夏羽のハジロカイツブリが浮上して楽しませてくれました。またここでは複数のアカエリカイツブリの姿もあり、その中に美しい夏羽に換羽している個体も見ることができました。そうこうしている間にカモメ類が群れてくる時間になったことから再び銚子漁港に戻って、カモメ類を探してみることにしました。カモメ類の個体数はその日にどれくらいの水揚げがあるかによって大きく変化するのですが、この日は残念ながら大量の水揚げはないようでした。ただ数隻の漁船がたまたま港に戻ってきていたことから行って見ると、ここだけはカモメ類が乱舞していて、その中にまずは美しいワシカモメの成鳥の姿があり、付近にはシロカモメの成鳥、さらには浮いているミツユビカモメの姿もありました。そして少々時間があったことからやや距離があるもののもう一つの群れを最後に見てみることにしました。ここでは大量のセグロカモメ、ウミネコが群れ、それらに混じってワシカモメやシロカモメも見られ、その中に背中に青みのあるカナダカモメの姿があったことから望遠鏡で捉えてそれぞれに特徴を観察することができました。距離はありましたがセグロカモメよりも小ぶりで背中の灰色に青みがあり、初列風切裏の灰色、さらには足の短さも感じられる個体でした。
この冬はカモ類、カイツブリ類が極めて少ない銚子、波崎でしたが、この日はなんとかカンムリカイツブリ、ハジロカイツブリ、アカエリカイツブリの夏羽に出会うことができ、カモメ類も少ないながらもミツユビカモメ、ワシカモメ、シロカモメ、カナダカモメを含む9種類を観察することができました。外洋性の海鳥に出会えなかったのはやや残念でしたがまずまずの成果だったと思います。今回はツアーにご参加いただきありがとうございました。
石田光史