【ツアー報告】珍鳥が渡る!秋の石垣島と与那国島 2015年10月2日(金)~6日(火)
春の渡りでも毎回楽しませてくれる石垣島と与那国島ですが、春よりも出会いの予想が難しく意外性が高いことが秋の特長です。今回は去っていった台風がなぜか爆弾低気圧となって再び日本に影響を及ぼすという珍しい状況の中で出発日を迎えることになりました。
2日、前日都内で吹荒れていた風はやや収まりましたが、相変わらずの雨と風の中で出発を迎えることになりました。しかし心配されたような事態にはならず予定通り出発することができました。石垣空港到着後は一旦ホテルに向かい観察機材のみを持って探鳥に出かけました。にわか雨の痕跡はありましたが空は青くなり天気の心配はないようでした。石垣島での探鳥は現地在住のバードウォッチャーの方に事前情報を収集していただき、それを元にしたコースを巡りました。まずは南西諸島らしく白黒両方のタイプのクロサギが見られ、周辺の木々にはカラムクドリとコムクドリの姿がありました。次のポイントでは石垣島では絶対に外せないカンムリワシの姿を見ることができ、周辺の水田ではシギ類の姿が多く、セイタカシギの群れ、アオアシシギ、コアオアシシギ、エリマキシギ、タカブシギ、ヒバリシギ、オジロトウネンなどが見られ、本州では見たことがない10羽ほどのアカアシシギの群れを何度も見る機会がありました。そして水田では美しいムラサキサギが見られ、ヒラヒラと舞う数羽のクロハラアジサシ、春よりも見やすいヤエヤマオオコウモリの姿に盛り上がりました。最後は夕方に合わせてズグロミゾゴイを観察しましたが、野良ネコの急襲により飛び去られてしまいました。
3日、石垣空港から与那国空港に飛び、ホテルにて観察機材の準備をした後、探鳥を開始しました。はじめは林道を走りましたが、緑色の姿が印象的なキンバトが数回見られ、至るところにエゾビタキの姿がありました。池には残念ながらカモ類の姿はなくセイタカシギ、タカブシギの姿があるのみでしたが、冬羽のアカガシラサギの姿を見ることができました。また周辺の水田では無数のツメナガセキレイが舞い飛び、その様子は圧巻でした。ただ、台風の影響を受けた島内の被害状況は思った以上で、早期の復旧が待たれる状況で心配に思いました。
4日、早朝探鳥は06:30から行いました。この日はキマユムシクイの姿が目立ち、時より「チュイー」という独特の声も聞かれました。小学校付近ではカラムクドリ、海岸付近ではチュウシャクシギ、ムナグロ、シロチドリを観察し、帰りがけに立寄った水田では相変わらず多数のツメナガセキレイが飛び交っていました。朝食後は再び林道を走り、道を横切るように飛翔するバンケンの姿を見る機会がありました。そのため付近で待ってみましたがその姿を再び見ることはできませんでした。その後は水のある場所を重点的に巡り、2羽のアカガシラサギ、キアシシギ、タカブシギ、トウネン、オジロトウネン、コチドリなどを観察しました。またどこから飛来したのか2羽のツバメチドリの姿を見ることができました。昼食後は観光がてら日本最西端の碑がある西崎からの眺めを楽しみました。夕方訪れた水田では幸運にもタカサゴモズに出会うことができ、思いのほかじっくりと観察することができ、最後は林道の地上で採食するキンバトを観察することができました。
5日、早朝探鳥では林道を走り、相変わらず多いエゾビタキ、春には見られないオオルリの姿を見ることができ、その後は小学校で騒がしく鳴くシロガシラ、ソテツの実に群がるヒヨドリを観察しました。朝食後はここまで鳥の姿が濃い水辺を中心に巡り、コチドリ、セイタカシギ、アオアシシギ、ヒバリシギを観察し、池ではクロハラアジサシの姿がありました。午後からは再びタカサゴモズに出会うことができ、間近にいたアカモズとの違いを見ることができました。またツバメチドリもまだ滞在中のようでヒラヒラと飛び、たった1羽でしたがホオジロハクセキレイの姿がありました。またこの日は農道上を歩くミフウズラをじっくり見る機会があり、その後も別の農道上で佇むミフウズラの姿を観察することができ、ユーモラスなその姿を堪能することができました。最後は東崎を基点に外周道路を走り、シロハラクイナ、ケリ、アカハラダカを観察して終了しました。
6日、この日は早朝探鳥を09:00まで延長して行い、セイタカシギ、アオアシシギ、タカブシギ、キアシシギ、アカアシシギ、ササゴイ、最後はせっせと採食するタシギの姿を観察して終了しました。石垣島3点セットをはじめ、タカサゴモズ、キンバト、ツバメチドリ、アカガシラサギ、無数のツメナガセキレイ、クロハラアジサシ、チラッとでしたがバンケン、またアカアシシギ、オジロトウネン、エリマキシギなどのシギ類を含む計71種の鳥たちに、春よるも見やすいヤエヤマオオコウモリも加わった5日間でした。
石田 光史