【ツアー報告】フォトツアー初冬の羅臼でシマフクロウを撮る! 2020年11月27日~29日
(写真:シマフクロウ 撮影:富川誠様)
魅力的な野鳥たちが目白押しの北海道。特に道東、知床エリアはバードウォッチャーならば毎年でも訪れたい憧れの場所でしょう。この時期には早くもオオワシをはじめとした冬鳥たちがやってきていますが、今回は留鳥として生息しているシマフクロウを撮影する、シマフクロウにこだわったフォトツアーです。シマフクロウは国の天然記念物に指定されている日本産では最大のフクロウ類で、全70cm、翼を広げると180cmにも及びます。夜行性のためその姿を見ることは難しいのですが、北海道東部の一部では運が良ければではありますが見られることが知られています。この11月下旬から12月初旬はシマフクロウの繁殖期前のためオス、メス共に行動が活発で、つがいで見られる可能性が高いことが特長です。また日没が早いため観察時間を長めに確保できること、厳冬期に比べて観察地が混雑していないこと、そして雪景色で見られることからこの時期にツアーを企画しています。さらにはこのツアーではシマフクロウとの出会いの確率を上げるべく、1本のツアー中、観察機会を2度設けるという他には例がない日程を組んでいます。
27日、今回はコロナウイルス感染拡大の影響から減便があり、通常ならば羽田空港から中標津空港に直行できるところが千歳空港経由となり、いつもよりも少々早い集合時間となりましたが、無事ご集合が完了したため連絡事項等をお伝えしてからひとまず千歳空港に向い、その後、中標津空港に向いました。少々面倒ではありましたが、そもそもの予定よりも1時間ほど早く中標津空港に到着することができました。いつもならばとにかく急いで現地に向かうとことですが、この日は探鳥しながら向かうことにしました。とはいえ日没は15:55のため、早くも夕方のような雰囲気の中でまずは漁港に向かいました。曇り空ながら風もなく穏やかな中、全体的にカモ類は少なかったですがシノリガモ、ウミアイサ、ヒメウ、カモメなどが見られ、水溜まりで水を飲むオオセグロカモメとワシカモメも撮影することができました。その後は右手に国後島を眺めながら進み、まだ時間があったことからもう一か所立ち寄ってみました。ここでもカモ類の数は少なかったですが、順光の中でシノリガモを間近に撮影し、岸壁にいるシロカモメも見ることができました。この頃には空は青空が見えはじめましたが、見る見る薄暗くなってくる中、急いで現地に向かい、到着後は一旦、お部屋に入っていただき、その後は各自撮影機材を準備していただきスタンバイしました。この日はやや時間がかかったもののシマフウロウに出会うことができました。
28日、この日はやや雲がある中、朝から早速カワガラスの姿を楽しみながら07:00から朝食をいただき08:00に出発しました。まずはワシの姿を探しましたが、今年は工事中のためかオオワシの姿は少なく、木に止まっている数羽のオオワシを見るにとどまりました。その後はさらに南下してみました。今年はどうもカモ類が少ないようですが間近にシノリガモの姿があったほか、目的であったコオリガモのメスの姿があり、その後はちょうど10羽で群れているコオリガモを撮影しました。中にはディスプレイのような行動をする個体もいて独特の「アオナ、アオナ」という声もたっぷり聞くことができました。その後は休憩し、さらに南下しました。ただこの頃からは小雪が舞い始め、視界が悪くなる状況の中で漁港までやってきました。ここでもコオリガモの姿に期待しましたが残念ながらその姿はなく、変わってヒメウの姿がありましたが、その中に嘴が太く灰色に見える気になる個体がいたことから接近して見るとチシマウガラスで、すーっと遠ざかってしまったもののなんとかその姿を見ることができました。その後は林で探鳥しました。早速カラマツ林でハシブトガラ、ヒガラ、シロハラゴジュウカラが賑やかに出迎えてくれ、さらに進むとアカゲラが枯れ木をつついていました。また「ジェー、ジェー」と渋い声で鳴きながらミヤマカケスが現れて、目の前をフワフワと飛んだかと思えば、珍しく針葉樹のてっぺんに止まってくれました。その後はカラマツのまつぼっくりをつつくヤマガラ、ハシブトガラ、飛び回るシメの群れが見られましたが期待していたシマエナガには出会うことができませんでした。その後は各自昼食を購入していただき再び現地に向かって走りました。この日はやや時間があったことから少々お買い物の時間をとってからこの日の宿に向かいました。到着後は一旦お部屋に入っていただき、その後は急いでシマフクロウ撮影の準備をし、この日はあっさりとシマフクロウを撮影することができました。
29日、この日は意外にもこの3日間で最も穏やかな朝でしたが深夜に雪が降ったようで宿の周辺は真っ白になっていました。この日も07:00から朝食をいただき08:00に出発して積雪があったことからまずは港に立ち寄ってみました。カモ類の顔ぶれに変化はなかったもののシノリガモが良い距離感で群れていて、バス車内からしばらくの間、撮影しました。その後は初日にも行った場所に立ち寄ると、やはり数は少ないものの美しいオオワシの姿を見ることができ、突然現れた美しい成鳥個体が我々の頭上を通過して行く姿を撮影するという幸運がありました。また別の漁港にも立ち寄り、ここではウミアイサ、そしてスズガモの群れに混じるホオジロガモのオス、シノリガモを撮影してから移動しました。ここではまず仲良く並んで止まっているオジロワシのつがいと思われる2羽を撮影。すると1羽がこちらに向かって飛んできたため迫力あるシーンを撮影することができました。その後は逆光ながらも群れるオオハクチョウとコクガンの群れ、海上にはアビ、そして渡ってきたばかりと思われるオナガガモの群れを見てから一旦、休憩しました。その後は少々時間があったことからさら見事な角を持ったエゾシカを間近に撮影し、よく見るとキタキツネが寝ていたことから撮影させてもらいました。そしてその後は右手に見事な国後島を眺めながら空港に向かいました。
今回はとにかくシマフクロウ撮影にこだわったツアーでした。初日は出現が遅くどうなることかと思いましたが、結果的には現地宿泊が功を奏して日付が変わる頃に撮影することができ、また翌日は時間制限がありましたが、その制限に合わせるように2度撮影機会があり、この時期らしくつがいで出現してくれました。また今回はたまたまメス個体が変わっていたことから、初めて見る個体にも出会うことができ成果がありました。また漁港や海ではチシマウガラス、コオリガモ、シノリガモ、アビ、コクガン、林ではハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、ミヤマカケスも楽しませてくれ、オオワシ、オジロワシの雄姿も見事でした。知床は生き物の濃さという点では他を寄せ付けない魅力があります。また季節を変えてぜひお出かけください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史