【ツアー報告】冬の銚子と波崎 2016年1月27日
冬の定番でありながら、なかなか難解で手がつけられないのがカモメ類です。ただ幸いにも東京駅前から2時間強走ると日本最大のカモメ類の観察地として知られる千葉県、銚子漁港に行くことができます。今回はこの調子漁港と利根川を挟んで反対側にある茨城県の波崎漁港の二か所に絞って、主にカモメ類観察の基本中の基本を覚えます。ただ、いきなり現地に行ってもおびただしいカモメ類の群れに圧倒されるだけなので、移動中のバス車内で主にカモメ類の成鳥個体の識別方法を予習しました。ちょっと頭の中を整理するのに時間がかかってしまいましたが、現地到着までに基本8種+αについて基礎的な知識を抑えることができたと思います。天候も良くじっくりと1日かけてカモメ類を観察できそうです。
ほぼ予定通りに東京駅前をバスにて出発し、途中休憩を挟んでも約2時間でまずは銚子漁港にやってきました。到着後は観察機材の準備をしていただき、バスにてカモメ類が群れている場所を探す予定でしたが、この日はたまたま水揚げ時間帯に当たったことから漁港内はカモメだらけといった状態でした。最初の場所ではおびただしい数のセグロカモメとユリカモメ、ウミネコといったカモメ類観察の基本種を観察しました。あらかじめ識別ポイントとして押さえていた足の色、嘴の色と模様、さらには背の灰色の比較、初列風切の模様といった部位をそれぞれじっくりと見ていただくことにより、背の灰色がより濃いオオセグロカモメが見つかるようになり、大型カモメ類の足の赤色よりもより鮮やかな赤色のユリカモメ、そしてウミネコとカモメの足の黄色味の違いなども見ることができました。さらには初列風切が純白のシロカモメの成鳥が見つかり、背の灰色の濃さがセグロカモメよりもより薄いことも見ることができました。その後も漁港内を群れ飛ぶカモメ類の大群を見ながら進み、第3漁港付近ではスズガモ、アカエリカイツブリ、カンムリカイツブリなども見られ、砂地ではさまざまな年齢のワシカモメを観察することができました。
その後は一旦各自昼食としてその後は一旦利根川を渡って茨城県の波崎漁港に移動しました。堤防付近ではやはりウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメの群れが見られ、堤防上に上がっているオカヨシガモの姿がありました。漁港に移動する途中には再びシロカモメの成鳥の姿があり、若い個体の姿も見られました。漁港まで進むと驚くほど穏やかな水面にポツリポツリと浮いているウミスズメの姿がありました。外洋が荒れている時には漁港内で見ることがありますが、これだけ穏やかな状況の中で観察することは稀で、よう見ると漁港内には6個体のウミスズメが潜水と浮上を繰り返していました。中にはすぐ足元から浮上してくる個体もいて盛り上がりました。また距離が近かったことからホオジロに似た「チチッ」という声も聞くことができました。他にも50羽ほどのハジロカイツブリが塊状の群れで移動しながら潜水と浮上を繰り返していました。そして良く見てみるとその中に1羽のミミカイツブリが混じっていて驚きました。その後は再び銚子漁港に戻って時間いっぱい観察してカナダカモメを探すことにしました。距離や光線状態、そして過去の観察頻度を考慮していくつかのポイントで探しましたが、この日は残念ながらその姿を見つけることができませんでしたが、最後の最後で外洋性のミツユビカモメが堤防上に止ってくれたため、黒く短い足、ヘッドフォン状の頭部の模様をしっかりと見ることができました。
冬の定番でもあるカモメ類の観察はいかがだったでしょうか。なかなか難しい分野のため、個人的に行ってもなかなか手掛かりがないもので、そのためツアーに向いているような気がしました。おかげさまで基本8種の成鳥個体を観察することができたほか、幼鳥個体についても触れることができました。またカナダカモメは残念でしたが、漁港内でウミスズメを間近に観察する機会があったことは幸運でした。次回は夏羽に換羽、あるいは換羽中のカモメ類とカイツブリ類を求めて3月に企画しております。季節を変えてまたお出かけください。この
度はお疲れ様でした。
石田光史