【ツアー報告】秋空を渡るタカを眺める 伊良湖岬 ２０１５年１０月７日（水）～８日（木）
秋限定のタカ渡りツアーは９月の白樺峠、そして１０月はこの伊良湖岬が定番で、今回もほぼ満席のご予約をいただくことができました。ただ、タカ渡り観察の成果は天候に大きく左右されるため天気予報のチェックが欠かせません。今回は９月の白樺峠同様、事前の天気予報は晴れマーク一色でしたが、台風の発生があったことから心配されました。ただ台風が北寄りに進路をとったことから結果的には天気の崩れはありませんでした。
７日、気持ちの良い秋晴れの東京駅を新幹線で出発し、僅か１時間半で豊橋駅に到着、ここで豊橋駅集合のお客様と合流してバスにて出発しました。タカの渡りでは飛翔するタカを見ながらタカの解説を行なうことができないため、バス車内でパネルを使ってあらかじめタカの解説を行なっていますが、今回も伊良湖岬の特長や期待できる種、また見るべきポイントや識別ポイントについて解説を行ない、事前にある程度のデータをご参加の皆様にお伝えしました。バスは１時間ほどでホテルに到着し、早速ロビーで観察機材の準備をしていただき１１：４５に屋上へ向かいました。薄雲がかかっていましたが概ね晴天でやや冷たく感じる風が吹いていました。まずは２羽のノスリが東側にある山の上に旋回しながら現れて通過していきました。その後は連続してハチクマが出現しましたが、風向きのせいかホテルの屋上を通過せず、やや北寄りのコースを通過していきました。距離はありましたが双眼鏡や望遠鏡で見てみると、白っぽい個体、黒っぽい個体などさまざまな個体が見られ、幼鳥の特徴である美しく揃った翼、そして翼先の黒のコントラストが美しく見えました。１２：０５には全身ほぼ真っ黒なハチクマの幼鳥個体も飛翔し、やはり伊良湖岬のハチクマは幼鳥個体ばかりだなと思いました。１２：１０には渡り途中の小鳥類を探しているのか、ハヤブサが飛び回り、１２：３０には４羽のアマツバメが高速で渡っていきました。そしてこの日のハイライトは１２：４５でした。ホテルの下から舞い上がってきたと思われる２羽のサシバが突然視界に入ってきたかと思うと、我々に挨拶するかのように真上を旋回飛翔し、美しい翼下面の模様を見せてくれ思わず歓声が上がりました。また１２：５５には高速でチゴハヤブサが通過して行き、ハヤブサよりも細い体型、長い翼、そして胸から腹にかけてある特徴的な太い縦斑を写真判定ながら確認することができました。その後は飽きることがないほどほどのタイミングでハチクマ、サシバ、ミサゴ、ノスリが出現し、１４：２５には伊良湖岬のタカ渡りらしい、海上を渡って行く２羽のサシバの姿も見られました。結局この日は計３１７羽、うちサシバ２１０羽、ハチクマ３７羽が渡っていきましたが、カウント数以上にハチクマの姿が目立った１日でした。
８日、０６：３０に屋上に上がると既に数名のお客様が観察をされていて、早くもサシバの姿を見たとのお話しでした。この日はすっきりとした快晴だったため期待が膨らみました。この日は朝から鳥の姿が多く０７：３０にハヤブサ、０８：００にはミサゴ、それと時を同じくして３羽のコシアカツバメが屋上をかすめるように飛び、３０羽ほどのイワツバメの群れ、１０羽ほどのハリオアマツバメが通過して行きました。また眼下を見るとヒヨドリの群れが帯状に渡って行く様子も観察できました。そして０８：２５には突然下から湧き上がってきた２羽のハチクマが昨日同様に我々の真上を旋回してくれ、またまた歓声が上がりました。ただ０９：３０頃からは通過中の台風の影響からか風が強くなりはじめ、海上の波間を乱舞するオオミズナギドリの姿が目立ちはじめました。０９：５０には下からサシバが舞い上がり、１０：０５にはツミを追うオオタカが猛スピードで飛翔し、１０：１０には再び下からハチクマが舞い上がり驚かされました。また１０：３０にはチョウゲンボウ、１１：２５にはミサゴがそれぞれ眼下を飛翔し、１２：２０には眼下を旋回していたノスリが舞い上がりました。ただ１２：００以降はさらに風が強くなり、時より飛翔するミサゴ、おもしろいように高速で飛翔するハヤブサの姿を見るに留まりました。結局この日は計８４羽、うちサシバ１９羽、ハチクマ１１羽が渡って行きましたが強風のため厳しい状況での観察でした。
今回は台風接近に伴う強風のため特に８日は厳しい観察条件で、全体としてのカウント数も必ずしも多くはなかったですが、幸いにもホテル屋上の真上を旋回飛翔するサシバ、ハチクマが複数個体見られ、鮮やかな翼下面の模様を見ることができ、ハヤブサ、チゴハヤブサ、ミサゴ、ノスリ、オオタカ、ツミ、そしてタカ以外ではアマツバメ、ハリオアマツバメ、コシアカツバメ、ヒヨドリの渡りなども見ることができました。タカの渡りは秋限定ですので、また来年の秋もタカの渡り観察にお出かけいただければと思います。この度はお疲れ様でした。
石田 光史
