【ツアー報告】渡りの中継地 秋の粟島 2015年10月17日(土)~19日(月)
朝の東京駅は弱い雨が降って肌寒かったが、長いトンネルを抜けて新潟県に入ると、天気は一転し、青空が広がる好天となった。村上駅ご集合のお客様とも合流し、岩船港からの高速船に乗ると、船の乗客は我々のほかに女性が一名いるのみで、ほぼ貸切り状態であった。予定通りに粟島に着いた後は、小休憩後に内浦の農耕地から探鳥を開始する。ヒバリとカシラダカの姿がよく目立つほか、アトリやシメといった冬鳥の群れも見られた。この日は内浦にも鳥が多く、日没間際まで探鳥に費やしたので、本日の探鳥を終えて、宿に帰ろうと歩いていると、道端にコホオアカが現れてくれた。
翌朝は牧平から探鳥を開始すると、ここでもヒバリの姿がよく目立つ。畑地に下りている個体をよく観察すると、繁殖期に本州で見る個体よりも色が淡く、嘴も太く見えるので、大陸で繁殖するものが渡ってきたのだろう。飛び交うヒバリの群れを双眼鏡で追っていると、枯れ枝に1羽の鳥が休んでいるのに気づいた。すぐに双眼鏡を向けると、これがヤツガシラであった。春の渡りの時期に観察することは少なくないが、秋の渡りで観察することはあまり無いだけに、思いがけない嬉しいボーナスとなった。
そして、この日、特に目立った鳥がシラガホオジロ。こちらはヤツガシラと異なり、秋の渡りの時期に観察することが多い種だが、今回のように多くの個体を観察したことは記憶に無い。と言うのも、牧平だけでなく、訪れる場所それぞれで観察することができて、合計では30羽ほどは観察することができたであろうか。他にも、頭上を通過していったコミミズクや午後の観察で現れたシベリアジュリンも嬉しい出会いとなった。4羽が、至近距離に繰り返し現れてくれたので、その特徴を細部にいたるまで、しっかりと観察する機会に恵まれた。
夜中に雨が降ったので、鳥の様子も良いほうに変化しているのではとの期待を込め、今朝も牧平へと向かうが、昨日まで目立っていたヒバリやカシラダカは大幅に数を減らしていて寂しかったが、シラガホオジロはまだよく見られ、ゆっくりと観察する。朝食後は内浦の耕作地を歩くがこちらも鳥影が薄い。帰路に就いたところで、並木の間を飛び去っていく1羽の鳥が目に飛び込んできた。その特徴からすぐに推測は付いたものの、飛び去った先を探しても、なかなかその姿が見つからない。範囲を広げて探していたところ、ようやく、狭い畑地で採餌を繰り返しているオジロビタキの姿を見つけることができた。姿を消しても、待っていれば再び現れて、その後は何回も現れてくれた。
今秋の粟島は大型ツグミ類の姿がほとんど見られなかったものの、シラガホオジロをはじめとしたホオジロ類の姿が多く、ご参加いただいた皆様には、離島における渡りの様子を観察していただくことができました。次は来春に訪れる予定ですが、今からとても楽しみです。
田仲 謙介