【ツアー報告】秋の渥美半島 田原湾と伊良湖タカの渡り 2020年10月3日~4日
(写真:チゴハヤブサ 撮影:寺田祐治様)
秋といえばタカの渡り。今秋は対馬、白樺峠、福江島と催行し、最後が恒例の伊良湖岬です。タカの渡りは見られる期間が短いことからタイミングが重要なのですが、天気の状況によってどんどん良い時期がずれたりすることから、良いシーンに出会えるかは運次第といったところです。また天候が悪い日には渡りの風景がほぼ見られないという大きなリスクがあるのですが、探鳥地はどこも天気予報が難しく、過去には雨予報が晴れに変わり、極めて良いシーンが見られたということもあるのです。今回はタカ渡りの観察は1日のみで、初日は田原湾から渥美半島各所にある探鳥地をめぐり、いくつかある当地の目玉に期待しながら進行していきます。気になる天気予報ですが、数日前には晴れマークが並んでいましたが、出発前日になって曇りマークが並ぶ状況になってしまいました。
3日、世の中、Go-Toトラベルキャンペーンで湧いていますが、土曜日だというのにそれほど混雑していない東京駅を予定通り出発して豊橋駅に向かいました。東京は青空が広がっていますが現地の天気予報は曇り。確かに新幹線が進むにつれて車窓からの風景は雲が増えてきたような印象がありました。豊橋駅到着後は現地集合のお客様と合流し、その後はバスにて出発してひとまず道の駅を目指しました。出発時にはチラチラと小雨が降り、どうなることかと思いましたが道の駅到着時は雲の切れ間から青空も見え、なんとも不思議な天気でした。各自昼食、そして観察機材の準備をしていただいた後、まずは水田を歩きました。うっすら陽射しがある中、秋らしく「ギチギチギチ・・・」というモズの高鳴きがあちらこちらから聞こえ、セイタカアワダチソウに止まったモズのメスをまずは観察しました。その後はようやくたった1羽ながら秋色に変わっているノビタキの姿があり、しばらくじっとしていたことからその姿を楽しむことができました。また最後には電柱に止まっているオオタカの幼鳥を見ることができ、その精悍なまなざし、そしてすっと飛び立って行く様子まで見ることができ、その後は一旦トイレに寄った後、次のポイントへ向かいました。この浜では毎年のようにオオアジサシが渡り途中に立ち寄ることが知られていて、到着後に双眼鏡で探してみると幸いにも3個体のオオアジサシの姿がありました。しばらく観察しているとオオアジサシは行ったり来たりしているようでいつの間にか数が減ったり増えたりしていて、結局は最大で6羽のオオアジサシを見ることができました。前日訪れた方は1羽も見られなかったとのことなのでラッキーな出会いでした。その後は漁港に立ち寄ってから海岸に向かいました。ここでは遠くの杭に止まる数十羽のオオアジサシが見られたほか、ここでもノビタキに出会うことができ、周辺にある電線や樹木に止まった姿を観察することができました。やや時間が押してきましたが最後に別の漁港に向かいました。ここでは湿地状になった場所に群れるケリの姿が見られ、ほかにもセイタカシギ、ダイゼン、ハマシギ、そして渡ってきたばかりのヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモなどが見られました。そして最後はちょっとだけ伊良湖岬のタカ渡り観察のメッカ、恋路ヶ浜に立ち寄ってその雰囲気を楽しんでからホテルに向かいました。
*日誌の一部をウェブサイトでは公開しておりません。
毎年のこととはいえ、なかなか当たらない天気予報の中での出発で考えることが多く、毎度毎度悩ましいツアーでしたが、終わってみればほぼ予定していた行程通りにツアーを終えることができました。初日からいきなりの曇天でしたが、ノビタキやケリ、オオタカなどに出会うことができ、目玉であるオオアジサシは最大6羽を見ることができました。そしてこのツアーのメインともいえるタカ渡りの観察はいきなり雨に見舞われ、いったいどうなることかと心配でしたが、天気予報が外れたのか、昼前からは晴れ間が見えはじめ、主役のチゴハヤブサの美しい飛翔を堪能したほか、サシバ、ハチクマ、ノスリ、ミサゴ、オオタカ、ツミ、チョウゲンボウ、そして渡り途中のコサメビタキの姿もありました。タカの飛翔形を見る機会は極めて少なく、覚えることはなかなか難しいものです。それだけに今後も秋のタカ渡り観察を恒例行事にしていただければと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございます。
石田光史