【ツアー報告】１０月下旬の大洗～苫小牧航路 ２０１５年１０月２２日（木） ～ ２４日（土）
出発日が１日早まる形になり、通常の週末利用ツアーではなく木曜日出発になってしまいましたが、多くのお客様にご参加いただくことができました。ただ、秋は台風の影響があるため海況が悪いことが多く心配が尽きません。今回も台風の発生がありコースが北寄りだったことから心配しましたが、直前に大きくそれたため思ったほど海況悪化はなく探鳥することができました。秋は南下してくる海鳥が多いことから海鳥たちの個体数が増えてきます。またミナミオナガミズナギドリの出現率が高いことから楽しみの多い航路探鳥が可能な時期でもあります。
２２日、大洗フェリーターミナル集合後は、ツアー資料配布、トラベルイヤホン配布、ツアー説明、今回期待できる海鳥の識別ポイントなどの解説を行ない２２：３０に乗船しました。
２３日、日の出は０５：５５ですが、過去のデータから海鳥個体数が増え始める０７：３０～０８：００頃から探鳥を開始しました。天候は晴れで台風の影響はなく海は穏やかでした。早速オオミズナギドリが絶え間なく出現し、識別はできないものの遠くの海上をカモ類が飛んでいました。海鳥観察といっても海上を渡っていくカモ類やサギ類、小鳥類が見られるのも秋だからこそで、０８：１０には渡り中のキジバトが飛び交っていました。０８：３０にはかなりの数のオオミズナギドリの大群が見られ、その中に混じる１羽のフルマカモメが見られました。またその群れのまとわりつくように飛翔するトウゾクカモメも現われました。０９：００にはクロアシアホウドリが現れ、再びキジバトが飛んでいました。０９：３０には船が陸地に近づいてくるため海上はさらにベタ凪状態となり、ウミネコ、オオセグロカモメといったカモメ類が目立ち、１０：１０には５羽のスズガモが飛んでいました。１０：２０には乱舞するように採食しているオオミズナギドリの大群と共に数百頭のカマイルカの群れが見られました。その後は１１：２０にミツユビカモメ、１１：３０にはコガモの群れ、１２：１０には再びスズガモ、１２：１５以降はほぼ５分おきに５羽のコアホウドリが出現しました。１３：００には遠くに小さな噴気が複数上り、みるみるうちに数百頭のゴンドウクジラ類が浮上して見事な光景を作り出してくれました。その後は船首方向に着水していたオオミズナギドリが次々に飛び立ち、その中にアカアシミズナギドリの姿がありました。１５：１５には３羽のハシボソミズナギドリ、１６：２０には２羽のウミスズメが飛びましたが、この日は残念ながらミナミオナガミズナギドリの姿を見ることはできず１６：４５に探鳥を終了しました。
２４日、この日は早朝が重要海域のため、日の出前の０５：３０に探鳥開始しました。どんよりとした曇り空の影響もあり、薄暗い中でしたがすでに多数のオオミズナギドリが飛び、その中にハシボソミズナギドリ、フルマカモメの姿がありました。０７：００にはトウゾクカモメが船を追うように飛び、０７：１５にはフルマカモメが間近を長時間に渡って飛翔してくれたため、羽ばたき方の違いや翼の先端の形状、黄色っぽく見える太い嘴をじっくりと見ることができました。その後も着水しているフルマカモメが複数見られ０７：４０にはクロアシアホウドリが連続して３個体現れました。０８：００を過ぎた頃からは空はやや明るくなり、０８：３５には渡り中のカシラダカ、０８：４５にはオオバン、０９：５０にはアオサギといった航路探鳥には似つかわしくない種が連続して見られました。１０：００にはウトウ、そしてマガモとヒドリガモの混群が飛び、その後は急に風が強くなりやや波が立ってきました。１０：２５には再び数百頭のカマイルカの群れが見られ、１１：４０にはクロアシアホウドリ、１２：００には間近にトウゾクカモメがヒラヒラと飛んでいきました。その後はさらに風が強くなり、海鳥たちが風に飛ばされるように出現しました。１２：１５にはクロアシアホウドリが間近を飛び、１２：３０以降は次々にフルマカモメが見られました。そして１３：２５にハイイロミズナギドリ、その後は時より現れるフルマカモメを観察しながら強風が吹き荒れる１５：００に探鳥を終了しました。
今回は予想外の寒さの中での探鳥となりました。目玉と考えていたミナミオナガミズナギドリに出会うことはできませんでしたが、予想以上の個体数のトウゾクカモメ、コアホウドリ、フルマカモメを観察することができ、ゴンドウクジラ類、カマイルカの大群が湧かせてくれました。また秋の渡りを実感させてくれるように、カシラダカ、キジバトが飛び交い、さまざまなカモ類、そしてオオバンやアオサギの姿もありました。実際に渡っている鳥たちを観察する機会があることも航路探鳥のおもしろさであることを実感することもできた３日間でした。皆様お疲れ様でした。
石田 光史
