【ツアー報告】フォトツアー冬の道東巡り(流氷観光船+落石クルーズ乗船) 2020年2月27日~3月1日
(写真:ユキホオジロ 撮影:大林修文様)
ここ数年、写真撮影を主な目的としたお客様が増えたことから各所で撮影ツアーを企画していますが、中でも特に人気があるのが冬の道東です。北海道は想像以上に広いため、我々のツアーは徹底的にムダな移動を省き4日間を一筆書きで巡れるよう行程を考え、撮影時間を最大限確保しています。また、一般的な道東ツアーは、流氷のオオワシとオジロワシ、シマフクロウ、タンチョウの4種を目的にしていますが我々はさらに道東の魅力を凝縮できるよう、人気のシマエナガの撮影、さらには落石ネイチャークルーズでウミスズメ類、海ガモ類の撮影も加え、さらには直前の野鳥飛来情報も加味して行程を組むなど、3泊4日という設定としてはもうこれ以上、詰め込むことができない完成度であると自負しています。今回も前週に引き続いて天候も概ね良く、穏やかで暖かくなるとの予報の中での出発となりました。
27日、早朝から快晴の中、予定通りに羽田空港を出発して中標津空港に向いました。この日は順調に中標津空港に到着できたことから構内にて撮影機材を準備していただいてから羅臼町に向かい、途中の車内ではシマフクロウの出現傾向の話や、翌日に乗船する流氷観光船についての話をしながら進みました。途中、見事な青空に映える国後島を見ながら漁港に立ち寄り、港内が凍結する中で餌を探す、スズガモ、クロガモ、ウミアイサ、ヒメウを撮影し、その後は翌日に乗船する流氷観光船の見学も含めて羅臼港に立ち寄りました。押し寄せている流氷のせいもあってか、漁港内は例年にないほどの氷に埋め尽くされていましたが、ウミアイサ、カワアイサ、スズガモ、そしてオオセグロカモメ、ワシカモメ、シロカモメなどを撮影してから、この日の宿泊地に到着しました。到着後は周辺に止まるオオワシやオジロワシ、そして水を飲みにやってきたヒレンジャクを見ながら各自、撮影の準備をしていただきその後は夕食をいただきました。そしてこの日は夕食が終わったのに合わせるかのように早々にシマフクロウが現れ、意外にもあっさりと撮影することができました。我々のツアーは現地宿泊のため時間に制約がないことが特長で、この日も早々にお休みいただいたり、ある程度まで残って撮影をされたり、また早朝にシマフクロウがよく現れるという厳冬期の傾向を読んで、一旦お休みしてまた早朝から撮影をするなど、それぞれの体調に合わせてバリエーション豊かな撮影をしていただきました。
28日、この日は流氷観光船乗船のため早朝に出発して羅臼港に向かいました。本来ならば05:00出港のためもう少し早く港に行かなくてはならないのですが、この日は流氷が押し寄せ過ぎてしまい、港から船が出られない状況だとのことで出港時間が遅くなったのでした。まだまだ陽が登る前に港に到着後は昨年11月に就航したばかりの新造船エバーグリーン38に乗船して待機する中、いよいよ出港となりました。この日は風もなく穏やかな中でしたが、さすがに氷は厚く、なんとか堤防の先端部にたどり着くのが精一杯で、ここで撮影を行うことになりました。海上がほぼ流氷に覆いつくされていることから、通常ならば散らばっているカモメ類が全て漁港内に群れていて、それらが一斉に飛び立ち乱舞する様子は圧巻で、ほどなくしてオオワシとオジロワシが観光船を追うように飛んできて乱舞し、いよいよ真っ赤な太陽が国後島から登ると流氷が橙色に染まって見事な景観となりました。流氷そのものも必ず見られるわけではないのですが、それ以上に朝日が昇る光景を見ることも難しく、その両方が揃ったことはラッキーとしか言いようがありません。その後は流氷に群れる姿や乱舞する姿、また青空を背景に美しい飛翔を見せるオオワシとオジロワシを約2時間に渡って撮影し、撮影後は一旦宿に戻って朝食をいただき、その後は快晴の中、撮影に向かいました。まずは10羽ほどのハギマシコの群れに出会うことができ、その後はさらにバスで走ってみました。するとすぐ横の堤防に白っぽい小鳥が見えたことからバスを降りて探してみると、久しぶりの出会いとなるユキホオジロで、幸いにもしばらくの間撮影することができました。その後は一旦トイレ休憩としましたが、その間にもユキホオジロは再び現れてじっくりと撮影させてくれました。撮影後はキタキツネやエゾシカを撮影しながら進むと、今度は3羽で行動しているユキホオジロに出会うことができ、少しずつ接近しながら撮影することができました。その後はこの日の宿泊地でもあり撮影ポイントでもある場所に向かい、到着後は各自撮影機材準備をしてから撮影に入りました。相変わらずハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラは引っ切り無しにやってきてくれ、この冬はウソの姿が多く見られました。主役のシマエナガは単独行動する個体のほか、2羽でやってくる個体、群れでくるものなど思いのほか頻繁に姿を見せてくれ、夕方には小雪が舞う中でも撮影でき、オオアカゲラ、ヤマゲラもやってきてくれ、さまざまな小鳥類を撮影することができました。また周囲が薄暗くなってからはエゾモモンガが巣穴から出てくるのを待つことにし、結果的には2個体がふわっと飛び立つシーンを見ることができました。
29日、この日は07:00から朝食をいただきその後撮影に入りました。早朝にはヤマゲラが頻繁に現れ、ここでは初めて見るエゾリスが盛り上げてくれました。この日もハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、アカゲラを中心に、ウソ、コゲラ、ヒガラ、オオアカゲラが代わる代わるやってきてくれ、シマエナガも単独個体や2羽で行動している個体が何度もやってきてくれ存分に撮影することができました。ただこの日は直前情報を加味した上で根室まで行かなくてはならないことから、時間を逆算して出発しました。出発後はまずエゾフクロウを見に行きました。うまく見られるかどうかは運次第といったところではありますが、この日は幸にも1羽が樹洞の縁に止まっていて、普段はあまり動かないものの、この日は体勢を変えたり頭を掻いたりと動きがあり、また付近ではここでもシマエナガを見ることができました。ツアーでは長時間に渡ってエゾフクロウの観察、撮影は行わないことにしているため、今回も10分程度撮影して立ち去りました。その後はタンチョウの撮影を行い、短時間ながらも求愛ダンスや鳴き交わし、飛翔する姿などを撮影しました。普段ならばかなりの人がいて場所取りも大変なのですが、この日は我々のほかに人は15名ほどしかおらず、いつもの活気は全く感じませんでした。その後はさらに走ってまずは漁港を見てみましたが、今年はあまりカモ類がおらす、ウミアイサ、マガモを見て移動しました。先週も見られたケアシノスリを探しましたが、いきなり電柱に止まる個体を発見してひとまず撮影に入りました。この冬は2個体がいるようですが、もう1個体は警戒心が強く、ほとんど寄ることができないため、比較的ゆったりしている個体に絞って撮影しました。観察していると突然飛び立って地面に降り、獲物を捕ったかのように思いましたが、残念ながら捕獲はしておらずまた電柱に戻りなどじっくりと撮影することができ、もう1個体はホバリングを見せてくれました。
1日、この日はこのツアーを締めくくる落石クルーズでウミスズメ類や海ガモ類を撮影する予定でしたが、コロナウイルス絡みで落石クルーズが運休になってしまったことから、急遽予定を変更して運行することにしました。道東エリアはどうにでも予定を変更できるのですが、ここまで海ガモ類の撮影が全くできていなかったこともあり、この日は海ガモ類を集中的に狙える予定で行くことにしました。まずは漁港まで行き、クロガモ、ウミアイサ、スズガモ、ワシカモメ、そして独特の色合いが印象的なシノリガモを撮影してから、主役のコオリガモを狙いました。ただなかなか岸壁近くまでやってきてくれる個体がおらず、いくつかの個体を観察し、その中から比較的接近できそうな個体を見つけて接近し、最後は間近で潜水と浮上を繰り返すコオリガモを撮影することができました。その後は北上し、途中にある漁港ではシロカモメ、またキタキツネを撮影してから、最後は小雪が舞い始めた漁港まで移動して、ホオジロガモ、ウミアイサ、カワアイサ、シロカモメ、ワシカモメなどを撮影してツアーを終了しました。ここまでは天候に不安が全くなく、ほぼ快晴の中で過ごしてきましたが、ここにきて冬の道東らしい雪が舞い始め、中標津空港に到着した頃には辺りはすっかり雪景色に変わっていました。
今年のフォトツアー冬の道東巡りは概ね晴天の中で撮影することができ、流氷が押し寄せる中、しかも快晴の中でオオワシ、オジロワシの撮影ができ幸いでした。初日はシマフクロウが早々にあっさり現れ、雪原で舞うタンチョウも快晴の中で撮影することができました。また人気のシマエナガをはじめ、オオアカゲラ、ヤマゲラ、ウソ、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、そして幸いにもエゾフクロウも撮影することができました。そしてこの冬の冬鳥の飛来状況の良さを象徴するかのように、久しぶりにユキホオジロを2か所でじっくり撮影する幸運があったほか、めったに見ることができないケアシノスリも撮影できました。最終日はコロナウイルス絡みで落石クルーズに乗船できませんでしたが漁港をめぐり、人気のあるコオリガモをはじめ、カワアイサ、ウミアイサ、クロガモ、ホオジロガモ、ワシカモメ、シロカモメなどを撮影することができました。今後も写真撮影のニーズに見合ったツアー企画をして参りますのでご期待ください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史