【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類　２０２０年２月１５日

2020.2.15
1. 石田光史の記事, 国内の鳥（ツアー報告）

【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類　２０２０年２月１５日

（写真：ハヤブサ　撮影：小松崎興太郎様）

平成27年にラムサール条約登録湿地となった茨城県の涸沼と海鳥たちが楽しめる大洗海岸をセットにした毎冬恒例の日帰りバスツアー。涸沼の主役であるオオワシがこの冬も飛来するなど、涸沼周辺の広大な畑地は猛禽類の宝庫であり、そこから僅かな場所にある大洗海岸はそれに負けることがない海鳥たちの宝庫です。このツアーではほかにもさまざまな環境を巡ることから数ある日帰りバスツアーの中でも毎回観察種数が多くバリエーションが豊かなことが特長です。毎回、寒風吹きすさぶことが多く、かなり寒い印象がありますが、この日は最高気温17℃の予報が出ており、穏やかな冬晴れとの予報が出ていました。

15日、早朝の東京駅前は冬晴れとはいかなかったものの天候に心配がない状況で、予定よりも5分ほど早く出発することができました。移動中のバス車内では今日見られそうな鳥の解説をしながら進め、途中にあるサービスエリアで観察機材準備をしていただいてから再度出発し、まずは涸沼の西端にある干拓地から探鳥をスタートしました。まずは50羽はいようかと思われるハクチョウの群れがいたことから少しずつ接近しながら観察し、コハクチョウとその群れに混じるオオハクチョウが見られました。その後は群れで地上採食しているミヤマガラスの群れがいたことから観察していると付近にはノスリ、ツグミ、ヒバリ、そしてカワラヒワの群れが飛び、遠くの電柱にはハヤブサが佇んでいました。そのためやや接近して観察していると、ハヤブサが突然飛び立ち、その後は見事にツグミを捕獲して戻ってきました。そのためしばらくの間、捕獲したツグミを食べる珍しいシーンを見ることができました。その後はオオワシが良く観察されているポイントに移動しました。土曜日ということもあり、またオオワシ人気からか駐車場はほぼ満席で、早速堤防上から観察することにしました。この日のオオワシは対岸にある止まり木に止まっていて動く気配がなく、そのためそのまま現地で昼食としてさらに1時間ほど待ちましたが残念ながらオオワシは動く気配はなく、悠々と飛翔している様子を見ることはできませんでした。やや時間が押してしまいましたが、午後からは大洗海岸付近で探鳥を行い、まずは漁港に立ち寄ってみました。ここではこの冬を象徴するかのように間近にクロガモの姿があり、ほかにもスズガモ、ハジロカイツブリ、アカエリカイツブリ、ウミアイサの姿がりました。そしてやや遠くのクロガモの群れを見てみると驚いたことにその中にビロードキンクロのメスが1羽混じっていました。そしてしばらく観察しているとみるみる寄ってきて、最後は信じられないような至近距離で観察することができました。その後は岩礁帯をめぐり、波間をかいくぐるように巧みに泳いで餌を採るシノリガモ、さらには岩礁に乗って休んでいる姿などを見てから海岸に沿って歩きました。岩礁にはカルガモ、ヒドリガモ、シノリガモ、イソヒヨドリの姿があり、どこからやってきたのかヨシガモのつがいがやってきてくれ、美しい姿を堪能させてくれました。さらに進むとヒドリガモに混じるアメリカヒドリのオスが見られ、付近ではユリカモメ、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメも見られました。まだまだ時間があったことからさらに別の漁港に行くと、ここでもビロードキンクロのメスに出会い、さらに河口にも向かい、ここではテトラポットに止まるカモメ、そしてここでもヨシガモに出会うことができました。そしてここまでタゲリが見られていなかったことから、最後は涸沼の北側の畑地に向かい、幸いにも地上に群れている30羽ほどのタゲリの姿を見てこの日の探鳥を終了しました。

今回は快晴とはいきませんでしたが、春のような穏やかな陽気の中での探鳥となり幸でした。オオワシの飛翔は見られなかったものの、止まり木に止まっている姿を見ることができ、ハヤブサの狩りのシーンは貴重な出会いでした。大洗海岸では常連のシノリガモ、ウミアイサ、ヨシガモを中心にクロガモ、ビロードキンクロ、アメリカヒドリにも出会うことができ、最後は人気のあるタゲリが締めくくってくれました。慌ただしくめぐった1日でしたが成果があり幸いでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史