【ツアー報告】冬の信州でイスカに会いたい!(追加設定) 2020年2月5日~6日
(写真:イスカ 撮影:竹村章様)
ここ数年、皆様からのリクエストが増えているシングル部屋を利用した1泊2日のバスツアー新シリーズ第二弾は赤い鳥として知られ、人気があるにも関わらず毎冬毎冬飛来するわけではないためなかなか出会いのチャンスがないイスカを求めて信州の森を訪れます。イスカは特にマツの種子を好んで食べるため針葉樹の林を探すことが重要です。また嘴が互い違いになっていることが最大の特徴でこの嘴を使ってマツなどの針葉樹の種子をついばんで食べます。今回は追加設定となり2度目の訪問となりましたが、前回とは異なり天気予報は両日共に快晴とのことでまずはお天気に関してはそれほど心配はないような状況での出発とりました。
5日、快晴の東京駅前を予定通り出発してひとまず中央自動車道を走りました。前回とは全く異なり雪景色は全くなくバスは快調に進みました。バス車内ではいつものように今回見られる可能性が高い種の解説を行いながらまずはサービスエリアで休憩し、その後はさらにバスを進めました。ただ山梨あたりからはいつものことながら強風が吹きだし、周囲の木々が大きく揺れていました。そして長野県に入った頃からは八ヶ岳に怪しげな雲がかかっている様子が見られ、空には青空があるものの小雪が舞ってきてしまいました。そのため途中にあるサービスエリアでバスを止めて各自昼食、観察機材準備を行うことにしました。その後は再びバスで走り、今回の観察ポイントまで進みました。現地はそれほど風を感じませんでしたが、時折黒い雲が流れてくると小雪が舞うといった感じでめまぐるしく天気が変わるような状況でした。早速、ヤマガラ、シジュウカラ、エナガの混群がやってきてくれる中、すっかり雪が解けた小道を歩き始めました。この冬は正直、なかなかイスカのいる雰囲気が感じられずどうしたものかと思ってはいましたが、この日は幸いにも早速カラマツに止まる真っ赤なオス個体を見ることができ、まずは望遠鏡を使ってじっくり観察する幸運がありました。よく見ると近くにもう1羽のオスとメスの姿もあり、どうやら3羽の群れのようでした。動く様子がなかったことから距離を詰めて観察すると全く逃げる様子がないばかりか、さらに低い白樺に止まってくれたことからさらに良い条件で観察することができ、いきなりラッキーな時間を過ごすことができました。その後、イスカの群れが付近のマツに移動したことからさらに観察していると、たまたまマツの木のてっぺんに真っ赤なオスが止まってくれたためかなりの時間を使ってじっくり観察することができ、さらにラッキーな時間を過ごすことができました。その後はオオマシコやその他の鳥を探して道を進むと、ヤマガラ、ヒガラ、シジュウカラ、コガラ、エナガというかなり賑やかな混群に出会うことができ、この日はアトリが飛び回る様子が各所で見られました。そしてかなり進んだあたりでようやく数羽のオオマシコの群れに出会うことができ、しかもその中には全身真っ赤な成鳥のオス個体が含まれていました。やや草がかぶっている状況でしたが望遠鏡を使ってじっくり見ることができ、ほっとしたのもつかの間、なんとどこからともなくハイタカがやってきてオオマシコの群れを飛ばしてしまいました。その後は残念ながら同じ群れに出会うことはできず、時間になったため道を引き返すことにしました。帰り間際にも再びオオマシコの群れに出会うことができ、今度はオスの亜成鳥とメスが見られ、ハギの実をついばんだり地面を歩き回ったりする様子を観察することができました。その後は少々時間がったことから別のポイントを歩いてみました。ここも同様の環境ですが、やはりイスカが飛び回っている雰囲気はなく、カラ類の群れやカワラヒワを見るに留まりました。青空と曇り空、そして小雪が舞うという天候の中ではありましたが、初日にしてほぼ目的を達成することができ幸いな1日でした。
6日、この日も幸いなことに早朝から快晴の中、08:00に出発しましたがこの冬最強の寒波がやってきたということで寒さはかなり厳しいものでした。この日も午前中は同じ場所に向かい、昨夜降った雪がうっすらと残る中を歩くことにしました。早速、木の実をついばむシメ、そしてツグミの姿があり、しばらくの間観察することにしました。そうこうしている間にもイスカの群れが飛んでこないかと期待しましたが、今期は飛来数が少ないのかなかなか出会うことができず、代わってアトリの群れがやってきてくれました。さらに進むもイスカの雰囲気は全くなかったのですが、正面にあるカラマツにじっと止まっている真っ赤なオスのイスカの姿があり、いきなりの登場に驚きましたが、周囲を飛び回る様子もなく飛び去ってしまいました。さらに進むもこの日はイスカの雰囲気は全くなく、オオマシコにもなかなか出会えない状況が続きました。たださらに進むとようやく10羽ほどのオオマシコの群れに出会うことができ、時折地面に降りて餌を探す様子などをじっくり観察することができ、最後の最後にはじっとして観察している我々のすぐ目の前をノコノコ歩き回る姿まで見せてくれ、その後は戻ることにしました。戻る途中ではヤマガラ、ヒガラ、コガラ、エナガ、コゲラの混群に出会うことができ、風は冷たいものの陽射があるためかヒガラがさえずっていました。また針葉樹林からはアトリ、マヒワの声が聞こえてきていたことから探してみるとマツの木に止まる個体を見ることができました。また戻る途中には再び1羽のオオマシコに出会うこともでき、その後は一旦森を離れることにしました。この日の昼食は公園で食べることにし、その後は公園内で探鳥を行いました。とにかく風が冷たく凍えるような寒さの中でしたが、相変わらずミコアイサの群れが楽しませてくれ、ほかにもカワアイサ、ホオジロガモ、カイツブリの姿があり、特にホオジロガモは1羽のオスの周りに驚いたことに6羽のメスがいました。そして公園まで行くとこの日も木の実を食べるヒレンジャクの姿があり、観察していると湖畔まで水を飲みに行ってはまた木の実を食べるといった行動を繰り返していて、この冬の冬鳥の飛来状況の良さを実感することができました。また付近ではエナガの群れが飛び交い、湖面にはミコアイサ、ホオジロガモ、カワアイサが間近に浮かんでいました。そして最後はカンムリカイツブリの群や、遠くにくっきりと現れた雪を被った八ケ岳を眺めて探鳥を終了しました。
今回は前回とは全く異なり天気予報を見る限りでは晴天続きとのことでしたが、初日は小雪が舞う中で、そして翌日は寒波の影響で寒さが厳しい中での探鳥になりました。目的であったイスカは今期は飛来数が少ないのか、前回同様に今回もほとんど気配がなく下見時とはかなり雰囲気が違うことに驚かされました。ただなんとかタイミングが合ったようで両日共に少ない機会ながらもその姿を見ることができ、初日にはかなり良い条件で観察することができました。またオオマシコも良い群れに出会うことができ、かなりの至近距離で観察する幸運がありました。さらには今期の冬鳥の状況の良さを象徴するかのように前回に引き続いてヒレンジャクにも出会うことができ、なんとか成果を挙げることができました。今後もシングル部屋利用ツアーを増やす方向で企画をすすめたいと思います。この度はご参加いただきましてありがとうございました。またの機会にご一緒できましたら幸いです。
石田光史