【ツアー報告】利根川周辺の冬の猛禽類(追加設定) 2015年12月9日
冬の猛禽類を観察する定番の日帰りバスツアー。11月26日に続いて追加設定となりました。トビ、ノスリ、ミサゴ、チョウゲンボウといった見慣れた種に加え、冬鳥として渡来するコチョウゲンボウ、ハイイロチュウヒに期待するほか、関東唯一のヒシクイの越冬地を訪れ、ここ数年話題になっているホシムクドリなども探すという忙しい日程です。ただ今冬は全体的にカモ類の渡来種が少なく、越冬しているシギ類も少ないという状況でした。またこの日はJRの遅延があったため集合時間を10分ほどオーバーして08:10に東京駅前を出発しました。
天気予報は晴れマーク一色で早朝から雲ひとつない晴天の中で、まずは高速道路を走って千葉県方面を目差しました。途中休憩を挟んでも2時間ほどで最初の探鳥地に到着し、まずは観察機材の準備をしてから探鳥を開始しました。利根川の河川敷はアシ原と畑地が混在した猛禽類観察ポイントで、まずは電柱に止まっているノスリの姿が見られ、ヒラヒラとアシ原上を舞うチュウヒも姿や畑地の地上で休んでいる個体も見られました。ただ、チュウヒは非常に警戒心が強く、バスを降りると飛び去ってしまいました。ただ、移動中には枯れ木に止まるチュウヒを観察することができ、バス車内からの観察だったことから比較的じっくりと観察することができました。移動中にはタゲリの群れを発見し、バスを降りて望遠鏡で観察することができ、よく見てみると50羽を超えるような大きな群れでした。また付近にはハヤブサ成鳥、ノスリの姿もありました。その後は畑地を走って一旦茨城県側に移動して昼食の時間としました。昼食を食べながらも付近を見渡すと、2羽のミサゴが寄り添うように高木に止まり、大きな魚を捕らえたミサゴがチュウヒに追われるシーンも見られました。結局このミサゴは杭に止まって捕らえた魚を食べていました。午後からはまず関東唯一のヒシクイの定期越冬地に向かいました。この日は前回よりも個体数がやや増えていましたが、降りている場所は逆光側で見づらい場所でした。ただ、非常に珍しいことにそのうちの40羽ほどが「ガーガー」と鳴きながら上空を飛翔していました。現地の方に伺うと大きく上空を旋回飛翔しているだけで降りてくる様子はいとのことでした。その後は猛禽類を探しながらポイントを巡ってみました。ある場所ではハイイロチュウヒのメスが現れ、アシ原と畑地を行ったり来たりするように舞いましたが、結局、ハシボソガラスに追われて飛び去ってしまいました。ただ、光線も距離も良かったことから腰の白色や翼裏面の模様も見ることができました。また、今年は越冬しているシギ類が少ないながらもクサシギ2羽、その後訪れたアシ原でもチュウヒの姿を観察することができました。一旦トイレ休憩をとった後、塒入りまでの僅かな時間を使って群れ始めたムクドリの群れの中からホシムクドリを探しに行きました。この日は大きな群れは見当たらずやや心配しましたが、50羽程度の群れの中にまず1羽のホシムクドリの姿があり、望遠鏡を使って観察していただいていると、その群れの中にもう1羽、最終的には3個体のホシムクドリを観察することができました。ただ、時間が迫ってきたことから急いで塒入りポイントに向かいました。猛禽類が飛翔するにはある程度の風が必要ですが、この日は穏やか過ぎるくらいの陽気で、完全無風の中での観察となりました。美しい夕陽が落ちて行く中、複数のチュウヒが早めにやってきていて、一時は一本の木に5羽のチュウヒが止まる光景を見ることができ、しばらくするとコチョウゲンボウのメス1羽が木に止まっていました。結局、主役のハイイロチュウヒのオスは16:30過ぎに1羽、その後もう1羽、最終的にはメス1羽も加わり、3羽のハイイロチュウヒが乱舞し、塒となるアシ原に吸い込まれるように消えるまで観察して終了しました。
例年は非常に寒い中での探鳥となるツアーですが、今回は春のように暖かく穏やかな1日でした。カモ類、シギ類が少なかったのはやや残念でしたが、このツアーでぜひご覧いただきたかったチュウヒ、ハイイロチュウヒ、コチョウゲンボウのほか、ハヤブサ、ミサゴ、ノスリといった猛禽類、ヒシクイ、タゲリ、ホシムクドリが出揃ってくれました。冬は日帰りバスツアーをはじめさまざまなツアーで野鳥の姿が楽します。またの機会にぜひご参加ください。この度はたいへんお疲れさまでした。
石田光史