【ツアー報告】厳冬の野辺山高原でフクロウに会いたい! 2015年12月15日~12月16日
標高約1300mの野辺山高原を真冬の訪れる、国内ツアーの中でも最も寒さが厳しいツアーの一つに数えられるツアーです。例年であれば八ヶ岳は雪化粧し、山麓の野辺山高原も積雪があり、車での移動も注意が必要なほどです。ただ、今年は各スキー場が営業できないほどの雪不足で、野辺山高原も春のような陽気でした。本来であれば雪景色の中でフクロウの姿を観察することを目的にしていましたが、今回は雪景色とはほど遠い光景が広がっていました。
15日、天気予報では晴れだったため特別心配もなく08:00に東京駅前を出発。渋滞もなくスイスイとバスは進み途中休憩を挟んで、まずは清里の道の駅までやってきました。ひとまずここで探鳥機材の準備をしてから再びバスで出発しました。思った以上に天候が良かったため、フクロウ観察はやや遅めにと判断してまずは小鳥類を観察しました。寒さが厳しい環境は森を歩いても小鳥の姿を見る機会が極めて少なく、僅かに餌のある場所に小鳥たちが集中している傾向があります。そのためフィーダーのある場所に向かいました。ここでは賑やかなコガラ、ゴジュウカラ、シジュウカラ、ヤマガラ、冬鳥として渡ってくるアトリ、シメ、そしてウソ、カワラヒワを観察することができ、ひょっこりタヌキが現れて盛り上げてくれました。また帰り間際にはヒガラと一緒に行動しているキバシの姿を観察する機会があり、どんどん幹を登って行く様子を観察することができました。その後は野辺山高原内のいくつかあるポイントを巡りましたが、時よりノスリの姿がある程度で収穫はほとんどありませんでした。15:00に一旦トイレ休憩をとりましたが、ここではツグミや20羽ほどのエナガの群れを観察することができました。休憩後の出発時には次第に黒っぽい雲が八ヶ岳を覆うようになり、いよいよフクロウ観察の雰囲気になってきました。狙っていたポイントに到着すると思った以上に薄暗くなっていました。草原内にある木々を丹念に見ていると、ボーッと鈍く輝く灰色と黒のコントラスの小鳥がカラマツのてっぺんで尾を振っていました。当地では稀に観察例があるオオモズで、木から木へと移動しながらしばらくの間、その美しい姿を見せてくれました。ほどなくして今度はフクロウが現れ、何度か地上にダイビングしてネズミを捕獲している様子が見えました。フクロウも木から木へと移動しながらしばらくの間、その姿を見せてくれました。雪景色ではなかったですが初日に目的の鳥に出会うことができ、安堵しながらホテルに向かいました。
16日、06:15にホテルを出発して再度フクロウを探しました。前日夜から降りだした雨は上がり、空はどんどん青くなってきていましたが、強風が吹荒れる朝でした。いくつかあるフクロウのポイントを巡りましたが強風の影響からかその姿を見ることはできず、諦めてホテルの戻ろうとした時、電柱の上で小鳥を食べているハヤブサの姿を見ることができ、少しずつ近づいて観察することができました。望遠鏡で見てみると獲物はシメのようでした。朝食後は強風を避ける意味で林の中にある小さな草地でカシラダカ、ホオジロを観察してから、次の探鳥地へと移動しました。野辺山高原は厳しい環境のためさまざまな野鳥を観察することが困難なため、この日は平地にある池と公園で冬の鳥たちを観察するプログラムにしてあります。まずは池でここの名物でもあるカワアイサの美しい姿を観察し、ほかにもマガモ、カルガモ、ヒドリガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、オカヨシガモ、そして僅かながらミコアイサ、ヨシガモの姿もありました。また川原ではノスリが飛翔し、セグロセキレイやイカルチドリの姿も見られました。最後に訪れた市街地の公園では木の実に群れるヒヨドリとツグミ、地面で採食するアオジ、ホオジロ、そして池ではコガモ、マガモ、オナガガモのほか、カワセミの姿を見ることができ、最後はハシブトガラスに追われるように飛び去るオオタカの姿を観察して探鳥を終了しました。
過去、厳しい寒さや思いがけない積雪のイメージばかりが記憶にあるツアーですが、今回は春を思わせるような陽気の中の2日間でした。雪景色の中での探鳥は叶いませんでしたが目的のフクロウの姿を見ることができ、思いがけずオオモズの姿も観察することができました。やや距離はありましたが、それだけにじっくりと観察することができ、同時に野辺山高原らしい夕景も堪能することができました。皆様お疲れ様でした。
石田光史