【ツアー報告】フォトツアー シマエナガとタンチョウの塒 2020年1月24日~26日
(写真:タンチョウの塒 撮影:竹村章様)
ここ数年、人気の出てきたフォトツアー。今回はその中でも人気のシマエナガ、そしてタンチョウ、運次第ながらも付近に生息しているエゾフクロウに絞って週末利用の3日間という短期間で巡ります。コースも女満別空港から入って釧路空港から帰るという一直線にムダのない行動にして短期間ツアーながらも中身を凝縮しています。とはいえ冬の北海道は天候が悪くなると大変なことになるので毎回心配なのですが、今回は本州の天気は今一つながら、北海道内は幸い穏やかな週末になるとの予報が出ていました。
24日、東京はこれから天気が悪くなってくるとのことで、どんよりとした空模様の中、ほぼ予定通り羽田空港を出発して女満別空港に向いました。今年はどこも雪が少ないことがニュースになっていますが、女満別空港周辺も同様に雪が少なく、数日前に降った雪が僅かに積っているだけでした。この日は早速この日の宿に向かうためにバスに乗り込んで移動開始となりました。途中、うっすらと青空が見え始める中、眼下には屈斜路湖を望むことができ、冬季には珍しい風景を楽しむこともできました。1時間ほどでこの日の宿泊地に到着後は一旦お部屋に入っていただいてから宿の庭で撮影を行いました。気が付くと青空が広がる中、ハシブトガラ、シロハラゴジュウカラは引っ切り無しに餌台にやってきて可愛らしい姿を見せてくれたほか、数羽のアカゲラがやってきて威嚇行動などをしながらも、代わる代わる餌を食べていました。ほかにもシジュウカラ、コゲラ、ヒヨドリといったメンバーも時々やってきては寒い冬を生きていくために必死に餌を食べていました。そして主役のシマエナガはこの日は登場頻度が極めて高く、たった2時間ほどの間に何回も何回もやってきては可愛らしい姿を見せてくれました。見ているとどうやら単独行動をしている個体と、10羽程度の群れで行動しているものがいるようで素早い動きからいつの間にかやってきているといったシーンも多々ありました。また小鳥たちが警戒しているシーンもあり、付近からハイタカが飛び出したり、夕方にはオオワシが上空を飛翔する様子も見られました。穏やかな1日ではありましたが、夕方にはやや風が吹いて寒さが厳しくなり、さすが内陸部といった厳しい寒さになる中、この日の撮影を終了しました。
25日、深夜には風が吹いていたため心配していましたが、早朝からこの日は快晴無風。日の出の06:45よりもやや早めに外に出て撮影を行いました。気温は-8℃ということでそれほど厳しい冷え込みではありませんでした。相変わらずハシブトガラ、シロハラゴジュウカラ、シジュウカラ、アカゲラは引っ切り無しに餌台にやってきてくれ、ヒヨドリ、コゲラ、そしてこの日はオオアカゲラのメスがやってきてくれました。また庭の草地にはウソのペアがやってきてくれました。一旦朝食をいただきその後も撮影を続け、やはりこの日もシマエナガは頻繁にやってきて楽しませてくれました。またいつの間にかウソのメスも加わり、せっせと餌を食べていました。結局この日は13:00まで撮影させていただき、その後は鶴居村に向かって出発しました。途中、昼食を買っていただきその後は鶴居村に向かって走りましたが、途中、周囲のカラマツにシマエナガの群れがやってきていました。そのため急遽撮影することにし、カラマツや白樺などの木々の枝先にぶら下がるように餌を探す10羽ほどのエナガの群れを撮影しました。その後はここ数年、エゾフクロウが見られている場所に立ち寄りました。ツアーではエゾフクロウへの影響を考慮し、観察、撮影は10分程度とし、さっと済ませるようにしています。そしてこの日は幸いにも樹洞から顔を出しているつがいと思われる2羽を見ることができました。そしてその後はやや時間が押してしまいましたがサンクチュアリーに移動しました。この冬は積雪が少ないせいで各所で地面が見えていて、タンチョウたちはそういった場所でも餌がとれるためサンクチュアリーに集結している個体数は例年の半分程度といった感じでした。それでも橙色の夕陽を浴びて次々に塒に向かって飛び立っていく様子を撮影してこの日を終えました。
26日、この日はこのツアーのメインでもあるタンチョウの塒での撮影を行うため早朝にホテルを出発しました。日の出は06:45のためかなり早いですが、撮影場所、駐車スペース確保のためご理解いただきました。早朝のタンチョウの塒での撮影は条件が重要で、まずは晴れて気温が下がること、そして川霧がうまく上がるように風がないことなどが挙げられます。この日は幸いにも最低気温の予想が-18℃、そして快晴ということで期待が持てました。06:30頃からは空は次第に明るくなり、各自カメラのセットを行い撮影に入りました。タンチョウたちはかなり奥のほうに塒をとってはいますが、明るくなるにつれてその姿が見えはじめ意外な数の多さに驚きました。予想ほど気温が下がらなかったため木々に霧氷がつくことはありませんでしたが、見事な川霧が立ち込めるとなかなか良い雰囲気になり、日が当たりはじめると橙色に色づいたタンチョウたちが鳴き交わしするような行動も見られ、当地独特の雰囲気の中でタンチョウの撮影を行うことができました。07:30には一旦朝食のためホテルに戻り、その後は再度現地に向かうとちょうどタンチョウたちが塒から飛び立つシーンが見られ、今度は塒から飛び立つ様子を撮影することができました。また付近では早朝にヤマセミが飛び、マガモ、カワアイサ、そしてオオハクチョウの群れの飛翔も見られ、最後にはオオワシの成鳥が見事な飛翔を見せてくれました。その後は動きがなくなったため、再びサンクチュアリーに移動して撮影しました。この日も快晴の中、サンクチュアリー内で求愛ダンスや鳴き交わしをするタンチョウを撮影したほか、周辺の畑地から飛んでくるタンチョウの姿を撮影してツアーを締めくくりました。
この冬の北海道は異常気象と言われるほどどこに行っても雪が少なく、今回の撮影ポイントも同様に積雪が少なく驚きでした。たださすがに内陸部のため少ないながらも積雪があり、雪景色の中での撮影を行うことができました。まず目的だったシマエナガには予想を上回るペースで出会うことができ、可愛らしいその姿をじっくりと撮影することができ、移動中の鶴居村でも10羽ほどの群れを撮影することができました。また運次第といった感が強いエゾフクロウにも幸いにも出会うことができ、メインでもあるタンチョウの塒では残念ながら霧氷の中での撮影ができなかったものの、川霧が立ち込める中、次第に目覚めていき、最後は鳴き交わしなどを行うタンチョウたちを幻想的な雰囲気の中で撮影することができました。北海道は一年を通してさまざまな場所で、そしてさまざまな魅力的な鳥たちを観察、撮影するツアーを企画しております。また季節を変えてお出かけいただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史