【ツアー報告】年末年始の伊豆沼と蕪栗沼 2015年12月31日~2016年1月1日
(写真:ハクガン 撮影:柳由紀子様)
11月に引き続いてガン類を中心に観察する伊豆沼と蕪栗沼を中心に巡る2日間のツアーです。ただ今回は晩秋の定番ツアーとは若干趣旨が異なり、お正月ではないとなかなか出かけられないというお客様のために、また初日の出をガン類の飛び立ちと共に見ることができる探鳥地としての意味も込められています。幸いにもここ数日は好天が続くとの予報が出ており、出発時の東京駅はそれを裏付けるように快晴でした。
31日、大晦日ということもあり非常に混んでいる東京駅を予定通りに出発した新幹線は11:15にくりこま高原駅に到着し、現地集合のお客様と合流後はまずは徒歩にてホテルに向かいました。ホテルではロビーをお借りして昼食をとっていただき、12:00から探鳥開始としました。今回は2日間ということもあり、できる限り初日のうちにガン類全種を見ていただきたいと考え、それに沿ったコース選択をしました。その中からまずはシジュウカラガンがよく見られている場所に向かうことにしました。到着するとオオハクチョウの群れとマガンの群れが地上採食している場所があったため、まずはそこでバスを降りて望遠鏡を使って観察しました。合計で数百羽といった規模の群れでしたが、その中に5~7羽程度ながら目的のシジュウカラガンの姿があり、それとなくまとまって採食していました。最後には畦の上で休む個体もいたことからしっかりとその特徴を見ることができ、まずは目的を一つクリアしました。その後は電線に止まっているコチョウゲンボウのオスが見つかり、観察を開始しましたがスズメの群れめがけて飛び去ってしまいじっくり観察することはできませんでした。2時間ほど経過したことから一旦トイレ休憩をとり、その後はハクガンがよく観察されているポイント付近を探しながら畑地を走りましたが、残念ながらこの日は出会うことができませんでした。そのため狙いをカリガネに変えて別の場所に向かうことにしました。現地ではいきなり数百羽のマガンの群れが地上採食していたことから、この群れに狙いを定めて望遠鏡で探してみました。するとあっさりと10羽程度のカリガネの群れを見つけることができ、大きさの違い、嘴の色の違い、金色のアイリングなどの特徴を観察することができました。その後は再びトイレ休憩を挟んでガン類の塒入りを観察できる場所に向かいました。天気予報では夕方は曇るとのことでしたが、雲はなくなり美しい夕焼けに期待できそうな感じでした。畑地を進むとすでにマガンたちが集まり始めていて、畦道で休むチュウヒ、電線にはコチョウゲンボウの姿もありました。日の入りは16:25のため16:00頃にはやや薄暗くなってきましたが、ここからが本番だと言わんばかりにさまざまな角度からガン類の群れが塒めがけて飛んできました。中には長い帯状になるもの、塊状になるものなどさまざまがいて、高度を下げる際には体を左右に揺らすような「落雁」と呼ばれる行動も見られました。気がつくと辺りはすっかり暗くなっていましたが、それでも続々と戻ってくるガン類の姿に圧倒され続けました。そして空を真っ赤に染めていた夕陽が今度は湖面を真っ赤に染めていました。
1日、06:15にホテルを出発して初日の出とガン類の大群の飛翔のコラボレーションを見に出かけました。この日はさすがに地元の方々が多く来られていて早朝から賑やかでした。昨年に引き続きお正月はお天気運が良いようで、この日も07:00前には見事な初日の出を見ることができました。ただ、ガン類の飛び立ちは一斉にとは行かずバラバラといった感じでしたが、一番近い場所に群れていた数百羽の群れが飛び立った07:20の光景は見事でした。一旦朝食に戻り、再度出発した後は伊豆沼が一望できる場所からオナガガモ、マガモ、カルガモ、ホシハジロ、そして潜水を繰り返すカワアイサを観察し、その後は再びカリガネを比較的近くで観察してから蕪栗沼に移動して周辺を歩きました。まずは枯れ木に止まってあまり警戒する様子がないオオタカの若鳥が見られ、アシ原にはホオジロ、カシラダカ、湖面にはヒシクイの群れ、そして飛翔するチュウヒ、枯れ木に止まって「カッカッカッ・・・」と鳴くオジロワシ、最後は当地で初めて観察するケリの姿を見ることができました。その後は展望の良いレストランで昼食の時間をお楽しみいただき、最後の3時間ほどはここまで見ることができていないハクガンを探すことにしました。あらかじめ目をつけていた場所を前日とは逆周りで探しましたが見つからず、やや諦めかけましたが、最後に訪れた畑地で僅か10羽程度のマガンと一緒に地上採食しているハクガンの成鳥と出会うことができ、なんとか期待されたガン類5種に出会うことができツアーを締めくくることができました。
年末年始の伊豆沼ツアーは今回で2回目ですが、おかげさまで毎回天候が良く、見事な初日の出を見る幸運に恵まれています。この伊豆沼は初日の出と見事なガン類の飛翔が同時に楽しめる貴重な場所です。今後も継続して企画していきたいと思います。この度は皆様お疲れ様でした。
石田光史