【ツアー報告】日本最大のガンの越冬地 伊豆沼と蕪栗沼・化女沼 2019年11月16日~17日

(写真:ハクガン 撮影:高木信様)

爆発するかのような豪快な早朝の飛び立ち、そして夕景に延々と続く圧倒されるような夕方の塒入りという大きなイベントをはじめ、なかなか一か所で全ての種を観察できない、マガン、ヒシクイ、ハクガン、シジュウカラガン、カリガネといった5種類のガンたちを見ることを主な目的にしたツアー。日本の秋の風景を楽しむといった意味では絶対に外せない探鳥地といえるでしょう。私は毎年何度も何度も訪れていますが、全く飽きることがない大好きな探鳥地です。5種のガン類ではハクガンのみが定期越冬していると言い難いですが、幸いにも今季も10羽程度が飛来しているようです。今回は探鳥地のほとんどが狭い道のため、マイクロバスを使用し15名様限定としました。これにより歩く距離も軽減され、隅々まで探鳥可能で車内からの観察といった手法も可能になりました。

16日、快晴の東京駅を予定通り出発して新幹線でくりこま高原駅を目指しました。やや雲が広がる中、現地に到着し、まずはバスにてホテルに向かい、ロビーにて観察機材準備を行っていただいてから探鳥に出発しました。まずは伊豆沼に向かい、基本となるマガンの観察を行いました。ただ最初に出会った群れの中にハクガンの幼鳥が1羽混じり、さらに遠くにいたマガンの大群の中には5羽のハクガンの群れの姿がありました。そのため早速望遠鏡で観察し、合わせてマガンの成鳥、幼鳥の違いも見ていただきました。その後はさらに進みもう一つのマガンの大きな群れを観察しました。ここでは伊豆沼の湖面からオナガガモが一斉に飛び立ち、見てみるとハヤブサの幼鳥がカモの群れを追いかけていました。その後は別の畑地に移動しました。ここではマガンの群れの中に1羽のハクガンかと思いましたがよく見てみるとマガンの白化個体で驚きました。やや時間が押してしまいましたが、この後は移動して一旦、トイレ休憩をとり、その後は周辺の畑地をめぐりながらカリガネを探しました。車内からその姿を探しながら進み、群れているマガンの群れを丁寧に見て行きましたが、残念ながらこの日はなかなかカリガネの姿を見つけることができず、ようやく見つけた群れの中に4羽のカリガネの親子がいました。ただ警戒心が強いようなのでバス車内からの観察とし、ひとまずその特徴を見ることはできましたが、じっくりと見ることはできず、時間になってしまったため塒入り観察を行うことにしました。マイクロバス使用のためがポイントのすぐ下まで行くことができ、到着後は堤防上に上がって観察を開始しました。ただ晴天のせいかガンたちの戻りが遅く、薄暗くなってから続々と帰ってくるガンたちと見事な夕景を眺めながら日没の16:30をやや過ぎた頃まで観察してホテルに戻りました。

17日、この日は早朝の塒立ちを観察するため05:30にホテルを出発しました。ただ深夜から早朝にかけて激しい雨が降ったそうで路面がぬれていましたが、出発時は空には星が輝き、東の空には雲がありませんでした。到着後に準備をしていると東の空が真っ赤に焼けてきましたが、この日はガンたちはかなり遠い所に群れていました。そして見事な日の出が見られる中、一斉にとは行かないもののガンたちは次々に飛び立っていきました。ただ薄い雲から小雨が降りはじめ、そのせいで見事な虹がかかり、ガンと虹といった珍しいコラボレーションが印象的な朝になりました。07:00にはホテルに戻り、朝食をいただいてから再度出発してまず化女沼に向かいました。ただこの日は強風が吹き荒れ、現地では三脚が倒れるのではないかと思うほどでした。ダム湖には1羽のヒシクイの姿もほか、ホシハジロ、キンクロハジロ、ハシビロガモ、カルガモ、カワアイサなどの姿があり、林の中ではカシラダカの小群が見られ、松の木にはヒガラ、エナガ、シジュウカラ、そして貯食でもしているのか、カケスが行ったり来たりしていました。その後はシジュウカラガンの群れを探すことにしました。現地では広大な畑地をめぐりましたが、この日はマガンの群れは点在していましたが前回同様になかなかシジュウカラガンの群れに出会うことができませんでした。ただ最後にようやく数百羽のシジュウカラガンの群れに出会うことができ、強風が吹き荒れる中でしたがバスを降りて観察することができました。その後はトイレ休憩を挟んで各自昼食とし、午後からは昨日今一つ決まらなかったカリガネを再度探しに行きました。この日は探し始めてあっさりと親子と見られる小群に出会うことができ、逆光ながらも望遠鏡を使って観察することができました。その後はまた別の群れに出会うことができ、ちょうど畦に乗って餌を食べる7~8羽の個体をバス車内からじっくりと観察することができました。その後はやや時間があったことから、こちらも前日にしっかり見られなかったヒシクイを観察しました。風がやや収まった中、池に群れる姿や飛翔する姿、またコガモ、ホシハジロ、ハマシギなどの姿もあり、マガンの群れが着水しては飛び立つといった行動をしていました。そしてこの日も最後は塒入り観察を行いました。前日に比べると西の空は明るく、そのためガンたちが帰ってくるのが遅いのかと思いましたが、比較的明るい時間帯にガンたちが次々に帰ってきてくれ、前日よりも良い条件の中、圧倒されるような塒入りを観察してツアーを締めくくりました。

今回は2日目の早朝に小雨がパラつきましたが概ね天候の良い中での2日間でした。早朝の飛び立ちは見事な朝日の中で観察することができ、夕方の塒入りもまずまずの条件で楽しむことができました。ガン類は初日にハクガンの成鳥が見られず、ヒシクイ、カリガネも初日に決まりませんでしたが2日目の午後の時間を使ってなんとかしっかりと観察することができました。今後も探鳥地の状況を考慮し、小型車を使って隅々まで探鳥可能なよう企画してまいります。我々バードウォッチャーにとっては、晩秋の日本を代表する光景であるとい思いますのでまたの機会、ぜひ足をお運びください。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

塒立ち 撮影:高木信様

 

カリガネ 撮影:高木信様

 

ヒシクイ 撮影:高木信様

 

塒入り 撮影:高木信様

 

シジュウカラガン 撮影:高木信様

 

カリガネ 撮影:高木信様

 

塒に帰ってくるマガン 撮影:高木信様

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