【ツアー報告】冬の真岡市井頭公園 2016年2月4日
(写真:トラツグミ)
冬の小鳥類をとにかくまとめて楽しみたいというお客様におすすめの栃木県真岡市井頭公園を訪れる日帰りバスツアー。井頭公園にはカモ類が見られる池はあるものの観察種がやや少ないことから、帰路には群馬県内の湖沼でカモ類をはじめとした水鳥類を観察し、さらには周辺の草地、アシ原でも観察できるようコースをリニューアルしました。園内は日陰に雪がうっすら残ってはいましたが、2月としては驚くような穏やかな陽気で、まるで春のようでした。
ほぼ予定通りに東京駅前を出発し、途中休憩を挟んでもちょうど2時間で井頭公園に到着することができました。到着時もとにかく春のような陽気でした。まずは各自観察機材の準備をしてから歩き出しました。今冬の井頭公園は種類は揃っているようですが、個体数が少ない印象がありちょっと心配していましたが、いきなりアトリの群れが飛び回っていました。まず池ではマガモ、カルガモ、オナガガモ、ヒドリガモが見られ、やや離れたところには30羽ほどのヨシガモの姿がありました。遊歩道を歩いて行くとエナガの群れに取り囲まれ、シジュウカラ、ヤマガラ、メジロ、コゲラも混じっていました。さらに歩いて行くとヨシガモをかなり近い位置から見ることができ、カワセミ、ミコアイサのメス、そして2羽のトモエガモのメスの姿もありました。次にやってきた広場では100羽ほどのアトリの群れが右往左往していて、木に止っている姿や地上で群れて採食している様子をじっくりと観察することができました。付近の池ではコガモの姿が目立ちましたが、その中にトモエガモのオスが1羽混じっていて幸運にもじっくり観察することができました。さらには湖畔にあるハンノキに5羽のマヒワの姿があり、ぶら下がるようにしながら採食していました。特にオスは濃い黄色が印象的でした。そしてさらにはトラツグミも現れ、しばらくの間、足踏みするようにしながら採食する独特の行動を見ることができました。付近にはシロハラ、ビンズイ、アトリ、シメの姿もあり、思った以上に時間を費やしてしまい、昼食は12:15からとなってしまいました。昼食後は残り時間を考慮して若干ショートカットし、ここまで見られていないミヤマホオジロのポイントへ向かいました。途中、愛想のいいルリビタキのメスがじっくりとその姿を見せてくれ、耳を澄ますと樹上からミヤマホオジロの声が聞こえてきました。しばらく待っていると積雪のある場所でミヤマホオジロのオス2羽とメス1羽が地上採食しはじめ、しばらくの間その姿を楽しむことができました。
結局、井頭公園で14:30まで観察し、その後は1時間ほど走って群馬県まで戻って湖沼で観察です。まずは周辺にある草地でホオジロ、カシラダカ、モズ、ノスリなどを見ることができましたが、ここまで見ることができていないベニマシコの気配はありませんでした。湖畔まで行くと比較的近いところに4羽のカンムリカイツブリの姿があり、ホシハジロ、コガモ、ハシビロガモ、そして10羽ほどのミコアイサの群れが浮いていました。移動しようかと思っていると、アシ原の中から3羽のバンに混じって1羽のクイナの姿が僅かに見えていたため、しばらく待っていると少しずつ出てきて、最後は下腹部の鮮やかな模様までしっかり見ることができました。普段は藪の中で暮らしていることから、なかなかじっくり見る機会がないだけに幸運でした。さらに湖畔を進むとアシ原の中からベニマシコの声が聞こえたため待っていると、アシ原が飛び出した真っ赤なベニマシコのオスが低木にとまり、思いのほかじっくりその姿を楽しませてくれました。また眼下のアシ原には複数のオオジュリンの姿があり、こちらも望遠鏡を使ってしっかり見ることができ、すでに頭部が黒くなってきている個体がいることにも驚きました。そして最後は杭に止ったカワセミが美しい姿でツアーを締めくくってくれました。
今回は春のような陽気だったこともあり、ヨシガモ、トモエガモ、ミコアイサなどのカモ類をはじめ、期待されたトラツグミ、ミヤマホオジロ、ベニマシコを見ることができ、飛び交うアトリの群れ、マヒワ、シロハラ、ビンズイ、エナガ、オオジュリン、そしてクイナまで見ることができ、期待種のほぼ全てを観察することができました。特別にご同行いただいた宮島仁さんにも感謝いたします。皆様お疲れ様でした。
石田光史