【ツアー報告】紅葉の戸隠高原でムギマキに会いたい! 2019年10月22日~23日

(写真:ムギマキ 撮影:鈴木利幸様)

秋恒例となっている紅葉が美しい戸隠高原をハイキングするツアーです。実は私にとって最も長く担当しているのがこの紅葉の戸隠高原ツアーであり、また私的に最も数多く訪れているのもこの戸隠高原です。時期的には紅葉にはやや遅いもののまだまだ静かな秋の気配を感じることができ、また野鳥に関してはすでに渡ってきている冬鳥、カラ類ケラ類などの留鳥、そして目的であるムギマキやマミチャジナイといった旅鳥たちが楽しめます。今回は次第に接近してくる台風の影響から天気予報が芳しくなく、初日は雨の予報が出ていましたが、直前の天気予報では午後からは回復傾向であるとのことでした。

22日、早朝の東京都内はどんよりとした空模様で今にも雨が落ちてくるような雰囲気でした。今回は直前の台風の影響から長野までの新幹線のダイヤに乱れが生じてしまい、どうなることかと心配でしたがひとまず出発することができ、ひとまず長野駅に向かいました。車窓からの風景はいつ雨が落ちてきてもおかしくない状況でしたが、到着した長野駅はすでに雨は上がり、道路は乾いていました。長野駅からは専用バスにて一旦ホテルに向かい、到着後はお部屋にて各自昼食、その後は準備を整えていただいてから出発しました。出発時には小雨が落ちていましたが、空は見る見る明るくなってきていてそれほど心配はない感じでしたが、とにかく肌寒く驚きました。この日は直前にムギマキが見られているとのことから早速、そのポイントに向かい、まずはカイツブリの親子、そしてカルガモを見てから林内に入りました。雨上がりのため足元がやや心配でしたがひとまず慎重に歩き、最初の場所で周囲のツルマサキの実をチェックしてみました。ただ残念ながらここではムギマキの姿はなく、その後はさらに林の奥に進みました。途中ではコガラ、エナガ、シジュウカラの群れに出会い、幸いにも幹を登るキバシリの姿もありました。林の奥まで進むとゴジュウカラが賑やかに現れ、さらに進むとツルマサキの実に集まる数羽のムギマキに出会うことができました。ほとんどの個体が薄い山吹色の個体でしたが、その中には一際橙色が濃く、白い眉斑のあるオスと思われる個体も見られました。コガラやコゲラも実にやってきてはいましたが、ホバリングしながら木の実を採る行動でムギマキを比較的容易に探し出すことができました。やや時間が押してしまいましたが、その後は幸いにもキハダの実に群れるマミチャジナイをじっくり見ることができ、この日の最後は別の場所に移動しました。まずはツルマサキにやってきているキビタキのメスの姿があり、その後は見る見る薄暗くなる中でしたがキハダの実にやってきたアカハラの群れ、そして追いかけっこをするように威嚇し合う2羽のアカゲラ、そしていつの間にかやってきたオオアカゲラのメスを見てこの日の探鳥を終了しました。

23日、この日は天気予報が晴れとのことでまだ薄暗い05:30に外を見ると、戸隠山が見事な景観を作り出していました。早朝探鳥は日の出に合わせて06:00から行い、吐く息が白く見えるほどの冷え込みの中、探鳥しました。早朝は渡っていく小鳥類の群れが飛び回ることから期待していましたが、遠くからアオバトの声が聞こえた以外は意外なほど静かな朝でした。まずは電線にモズが止まり、草地からはホオジロ、セグロセキレイの声が聞こえていました。歩いて行くと草地からカシラダカの小群が飛び立ち、針葉樹にはホオジロ、ヒガラ、シメ、そしてコゲラやゴジュウカラまでやってきて楽しませてくれ、最後は10羽ほどのエナガの群れが間近にやってきてくれました。しばらく見ていると朝焼けに戸隠山が染められる中、2羽のビンズイが針葉樹のてっぺんに止まりました。その後は反対側の道を歩き、途中にある木の実にやってきていたアカハラが見られ、道路脇の水場にはコガラ、ゴジュウカラがやってきていて、ホテルまで戻るとヤマガラ、ホオジロがさえずり「ケレレレレ」と鳴きながらアオゲラが飛んでいきました。07:30からは朝食をいただき、その後はせっかくの機会なので再びムギマキの観察を行いました。池には相変わらずカイツブリの親子の姿があり、森に入るとこの日もツグミ類が鳴きながら飛び回っていました。林に入ると湿地帯のようになっている場所にはゴジュウカラがやってきていて、ほかにもコガラ、シジュウカラの姿があり、見上げるとアオゲラ、さらにはオオアカゲラのオス、さらにはマミチャジナイも現れてくれ、最後はカワガラスが鳴きながら飛んでいきました。その後はムギマキを再び観察し、この日はやや個体が入れ替わったのか美しい成鳥のオスが加わり、何度か良い枝に止まってくれたことから全員でなんとか観察することができました。その後は見事な紅葉を楽しみながら歩き、途中ではアオゲラが枯れ木に止まってくれました。その後は昼食のため一旦ホテルに戻り、このツアーのもう一つのお楽しみである戸隠蕎麦をいただきました。そして最後の数時間は別の場所に向かいました。やや雲が厚くなり雨が心配でしたが、園内に入るとアカハラの姿があり、昨日、アカゲラがやってきたツルマサキを見てみると、なんとここにも2羽のムギマキの姿があり、うち1羽は美しい成鳥オス個体でした。そのためしばらく時間をとって観察し、その後は林内に入って、過去にムギマキを観察した場所を巡りました。ただこの日はその姿はなく、最後に再びムギマキ、ジョウビタキ、コガラ、コゲラ、ゴジュウカラ、アカハラの姿を観察してやや薄暗くなってきた15:00過ぎに観察を終了しました。

今回は天気予報が芳しくない状況での出発でしたが、幸い2日間とも雨に打たれることなく探鳥することができました。一番の目的であったムギマキは美しいオスの成鳥を含む、複数個体をじっくり観察することができ、またマミチャジナイも何度となく観察することができ幸でした。ほかにもオオアカゲラ、アカゲラ、アオゲラ、キバシリ、ゴジュウカラ、コガラ、カワガラス、アカハラ、また冬鳥として渡ってきたばかりのジョウビタキ、ツグミ、カシラダカ、シメ、マヒワといった野鳥にも出会うことができました。次回は2020年5月中旬に企画しております。5月はクロツグミやキビタキ、コサメビタキ、コルリ、ノジコ、サンショウクイ、ニュウナイスズメといった夏鳥たちが大変見やすい時期で、早朝のコーラスも感動的です。またミズバショウ、リュウキンカ、ニリンソウといった花々も見事です。また季節を変えてお出かけいただけましたら幸いです。この度はご参加いただきましてありがとうございました。

石田光史

オオアカゲラ 撮影:柳由紀子様

 

ムギマキ 撮影:鈴木利幸様

 

ムギマキ 撮影:柳由紀子様

 

マミチャジナイ 撮影:鈴木利幸様

 

ムギマキ 撮影:柳由紀子様

 

ムギマキ 撮影:鈴木利幸様

 

アカゲラ 撮影:柳由紀子様

 

ムギマキ 撮影:柳由紀子様

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