【ツアー報告】冬の道南巡り ２０１６年１月１０日～１月１２日
（写真：オオワシ 撮影：青木克彦様）
いつの時期に訪れても目玉があり楽しめるのが北海道ですが、年初めに訪れるのが苫小牧から函館方面を巡る冬の道南です。内浦湾に沿うように巡ることから、沿岸部では強風にさらされることが多いのですが、こういった草地には憧れのシロハヤブサの越冬記録が多く、ハイイロチュウヒ、ケアシノスリ、コミミズクといった猛禽類が多いことも魅力です。今回も出発直前にシロハヤブサの目撃情報がありました。
10日、羽田空港から千歳空港まで快適に移動しましたが、到着した千歳空港はチラチラと小雪が舞い、やはり寒いという印象でした。観察機材を準備した後はバスに乗り込み最初の探鳥地を目指しました。ここは海岸にある場所のため寒さはさらに厳しくなっていました。漁港内ではスズガモ、ホシハジロ、クロガモ、カンムリカイツブリなどの姿があり、ここ数年よく見られているカササギが風にあおられるように飛んでいました。防波堤脇からの観察ではハジロカイツブリ、ホオジロガモ、シノリガモ、カモメ、シロカモメなどを観察して、次の場所に移動しました。探鳥前のトイレ休憩ではナナカマドの実を食べるツグミ、シメの姿があり、その後は強風吹荒れる河口にやってきました。漁港内ではシノリガモ、カワアイサ、クロガモ、ホオジロガモに混じって、アカエリカイツブリの姿があり、風にあおられたのかウミスズメを間近に見る機会に恵まれました。最後は猛禽類が集まる草地で探鳥しましたが風が強く寒さが厳しい探鳥になりました。待っているとチョウゲンボウとノスリが頻繁にホバリングを見せてくれ、どこからともなくハイイロチュウヒのメスがやってきて採食行動を繰り返していました。ただ期待されたハイイロチュウヒのオスやコミミズクの登場はありませんでした。
11日、ホテルで朝食をとった後は内浦湾に沿うように南下しました。出発直後は雪は降っておらず青空も見えていましたが、南下するにしたがって雪の量が増し、いつの間にか見事な雪景色となりました。オオワシ、オジロワシが越冬することで知られるユーラップ川沿いでバスを降りると、見事な雪景色の中、オオワシとオジロワシが川沿いの木に止まっていました。観察していると林の中をシマエナガの群れが移動したり、ミヤマカケスが騒いだり、ふいにハイタカが飛んだりと楽しめました。また川辺ではカワガラスの姿が目立ち、北海道ではあまり見る機会がないアオシギの姿もありました。河口は強風のためじっくりと観察はできませんでしたが、餌をあさるオジロワシ、川面にはカワアイサ、海上にはホオジロガモ、クロガモ、ビロードキンクロの姿がありました。その後は一旦昼食の時間をとり、午後からは砂崎岬へ移動しました。もともと強風が吹荒れることが多い探鳥地ではありますが、この日の風はすさまじく、砂が川が流れるかのように風に流されていました。一旦バスを降りてはみましたが、安全に探鳥ができる状況ではなかったため早々に切り上げて次の探鳥地に移動することにしました。ホテルのある大沼に向かう途中にはフクロウが見られる場所があるため、そこで時間を使うことにしました。最初に訪れたポイントでは樹洞の縁に止まっているフクロウを見ることができ、道の反対側から距離をとって数分間観察をして早めに切り上げました。砂崎岬は残念でしたが最後によい出会いがありました。
12日、朝食後は海岸まで走って岩礁地帯でコクガンを探しました。いくつかのポイントでコクガンの姿を見ることができましたが、いずれも距離があったため移動しながらさらに探してみるとようやく近い距離で観察できる場所があり、岩礁についている海藻を食べている様子をじっくりと観察することができました。ホテルに戻ってくる間には昨日とは違う場所でフクロウの姿を見ることができ、最後は1時間ほど時間をとって、餌台にやってくる小鳥類を観察しました。雪のせいか全体的に動きはあまり良くありませんでしたがそれでもアカゲラは頻繁に姿を見せ、スズメ、シジュウカラ、ヤマガラ、ハシブトガラ、そして30羽ほどのマヒワの群れが楽しませてくれました。そして最後はリクエストの多かったヤマゲラが現れて盛り上げてくれたのでした。
1月恒例のツアーですが、今年はシロハヤブサの越冬がなく、さらにいくつかの探鳥地で強風にさらされる状況でご苦労おかけしました。それでも雪景色の中でオオワシ、オジロワシの姿を観察し、海岸ではコクガン、ウミアイサ、ホオジロガモ、そしてウミスズメを間近に見る幸運もありました。小鳥類は少なかったですが、ヤマゲラの姿をじっくり観察し、フクロウも2個体見ることができました。北海道はいつ来ても楽しめますのでまた季節を変えてお出かけください。この度はお疲れ様でした。
石田光史
コクガン 撮影：青木克彦様
オオワシ 撮影：青木克彦様
ヤマゲラ 撮影：須崎明男様
エゾフクロウ 撮影：須崎明男様
オジロワシ 撮影：須崎明男様
