【ツアー報告】秋のシギチドリ巡り 東京湾と霞ケ浦 2019年10月11日
(写真:アメリカウズラシギ 撮影:宅間保隆様)
短期間に華やかに渡って行く春の渡りとは異なり、比較的時間をかけてじわじわと渡って行くのが秋の渡りの特徴です。特にシギチドリ類の秋の渡りはピークらしいピークがなく、出会いはタイミング次第といったところです。また春に比べて地味な姿の冬羽個体が多く、それに幼鳥も多数混じることから識別もなかなか難しいのが秋の特徴でもあります。今回は干潟の潮位を調べた上で海水域と淡水域に生息するシギチドリ類を一日で観察します。ただ今回はたまたま台風が次第に接近してくる中での催行になったため、事前の天気予報がかなり悪い中での出発となってしまいました。
11日、早朝から雨を覚悟していましたが、早朝はまだ雨は落ちておらず、集合場所の東京駅前も曇り空といった感じでした。この日は潮位の関係からいつもよりもやや遅い08:30に出発してまずは最初の探鳥地に向かいました。到着後は観察機材準備、そして干潟に入っての探鳥が想定されることから長靴なども準備していただいてから探鳥に向かいました。天気予報がかなり悪かったせいか干潟には人の姿はほとんどなく、そのためシギたちものんびりしているような印象でした。まずは当地の代表種であるミヤコドリの姿が数多く見られ、少しずつ近づきながら干潟を見渡してみました。これといった珍しい種はいませんでしたがまずはシロチドリ、メダイチドリ、ソリハシシギが歩き回り、周囲にはハマシギ、ミユビシギ、ダイゼン、そしてひと際小さいトウネン、そして大型のオオソリハシシギも見られました。またやや離れた場所には8羽のオバシギが群れていたことからやや歩いて距離を詰めて観察しました。結局午前中の探鳥では雨に降られることなく終えることができ、その後は次のポイントに移動しました。途中、いよいよ雨が降り出してしまい、かなり激しく降る時間帯もある中、途中のサービスエリアで各自昼食をとっていただき、その後は再び雨が止む中、探鳥を開始しました。ただ、この秋はいつもシギ類が多く見られる水田にはシギ類の姿が少なく、あまり普段行かないような場所に数多くのシギ類が群れていました。まずはコチドリの群れが見られ、よく見るとその中にオジロトウネンがかなりの数混じっていました。しばらく観察していると隣の水田にはタカブシギの姿があり、さらにはツルシギ、エリマキシギといきなり良いメンバーが揃っていました。やや小雨が降り始める中、次の水田に向かうと8羽のウズラシギが群れ、付近にはトウネンの姿もありました。その後はやや雨が強くなる中さらに歩き、2羽のアオアシシギを観察し、その後はさらに歩いてみました。やや水深のある水田では足の長いオグロシギが2羽、そしてアオアシシギが3羽佇み、お隣の水田にはオグロシギのほか、秋にはあまり見かけないオオハシシギの姿もあり、残念ながら飛び去ってしまったもののコアオアシシギの姿もありました。また付近には10羽ほどのウズラシギの群れがやってきて間近に餌を探し、その中に混じるアメリカウズラシギのも出会うことができました。ただここでかなり雨が激しくなってしまったことから一旦バスに乗りトイレ休憩としました。その後は別の場所を巡り、ここまで見られていなかったクサシギ、そしてよく似ているタカブシギも一緒に見ることができ、最後は薄暗くなる中、水田に佇むセイタカシギを見て探鳥を終了しました。
今回は一時的に雨に降られてしまったものの結果的にはたいしたことはなく探鳥を終えることができ幸いでした。この秋はシギ類が多いようで、セイタカシギ、オグロシギ、ツルシギ、エリマキシギ、アオアシシギ、コアオアシシギ、オオハシシギ、アメリカウズラシギ、ウズラシギ、タカブシギ、クサシギ、オジロトウネンなどが見られ、海水域ではミヤコドリ、オオソリハシシギ、オバシギ、ハマシギ、ミユビシギなどが見られ、この日はたった一日で25種のシギチドリ類が見られ大漁の一日となりました。次回は春に夏羽のシギチドリ類を探します。またぜひご参加ください。この度はお疲れ様でした。
石田光史