【ツアー報告】大洗の海鳥と涸沼の猛禽類 2016年2月7日
冬の定番日帰りバスツアーはさまざまありますが、渡良瀬遊水地と並んで毎回観察種が多いのがこのツアーです。干拓地や湖沼、河川、河口、岩礁海岸などさまざまな環境を巡ることから観察種数が増えるわけですが、過去には72種観察という日帰りバスツアーの最高記録が出ています。そうはいっても越冬中のオオワシ、チュウヒ、コチョウゲンボウ、海岸ではシノリガモ、ウミアイサ、ウミスズメといった主役級の鳥たちの観察頻度も高く、各所に見所が多いツアーであることも忘れてはなりません。
7日、予定通り08:00に東京駅前を出発してまずは涸沼西側にある干拓地を目差しました。途中休憩を挟んでも2時間ほどで最初の探鳥地に到着し、早速タゲリの群れを観察することができました。畑地ではほかにもツグミ、ヒバリ、タヒバリ、ハクセキレイの姿があり、土手からの観察ではハシブトガラスに追われるハヤブサ、電柱に止まるチョウゲンボウ、頭上を旋回するノスリなどの猛禽類を観察し、アシ原ではモズ、アオジ、カシラダカ、ホオジロなどが見られました。その後は涸沼にて越冬中のオオワシの観察に向かいました。ポイントとなっている公園には多くのバードウォチャーの姿があり、今か今かと登場を待っていました。公園内ではタヒバリ、ツグミ、アカハラ、湖上ではホオジロガモ、カンムリカイツブリなどの姿が見られましたが、結局この日はなかなかオオワシが登場せず、時間を延長しましたが結局その姿を見ることはできませんでした。その後は大洗海岸まで移動して駐車場にて各自昼食としました。周辺の林ではビンズイが歩き回り、ジョウビタキの姿もありました。また海上にはシノリガモ、ハジロカイツブリ、シロエリオオハムなどの姿も見られました。昼食後は海岸線を北上しながら所々でバスを止めて海上を観察しました。岩礁海岸ではシノリガモ、ウミアイサが巧みに潜水しながら採食行動をし、アカエリカイツブリ、ミミカイツブリの姿も見られました。最後に歩いた岩礁海岸付近ではカルガモに混じってシノリガモが岩に止まり、ウミネコ、セグロカモメ、オオセグロカモメの姿も見られ、愛想の良いイソヒヨドリが間近に見られました。そして小さな漁港まで歩いて行くと漁港内にもシノリガモの姿があり、美しい姿をじっくりと見ることができ、付近にはミミカイツブリの姿もありました。この後は再び涸沼に戻って最後に1時間ほどの探鳥を行なう予定でしたが、やや時間があったため河口部に行ってみることにしました。ここでは岩礁に付着した海藻類を食べるためにやってきているヨシガモ、ヒドリガモの姿があり、遠くの堤防にはカワウ、ウミウの姿がありました。また海上にはカモメ類が群れ水浴びをしていましたが、よく見るとカモメの姿が比較的多い印象でした。そろそろ帰ろうかと思った時、足元から「チチッ」とホオジロに似た声が聞こえたため見てみると2羽のウミスズメが浮上して間近にその姿を見せてくれました。今年は下見の段階からウミスズメの姿が多く目撃されていたため今日も期待していたのですが、ここまでその姿を見る機会がなかったので最後の最後でタイミングよく観察することができ幸運でした。その後は一旦トイレ休憩をとってから夕陽が輝く夕方の涸沼の干拓地に向いました。畦道ではチュウヒが休み、ふいに飛び立ったコチョウゲンボウがハシボブトガラスと空中戦になり、しばらくの間、巧みな飛翔を楽しませてくれました。堤防上まで行くと対岸の枯れ木にノスリ、船着場の竹にミサゴが止まり、最後はアシ原上を飛翔するチュウヒ、干拓地の地上で休む3羽のチュウヒの姿を観察して探鳥を終了しました。たまたま風もなく穏やかだったことから厳しい寒さを感じることなく、美しい夕陽を眺めながらバスに戻り帰路につきました。
今日は涸沼の主役であるオオワシの姿を見ることができず残念でしたが、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、ノスリ、ミサゴ、チュウヒといた猛禽類、大洗海岸では間近にウミスズメの姿を見る幸運があり、アカエリカイツブリ、ミミカイツブリ、シノリガモ、ウミアイサ、ヨシガモなど、このツアーの主役が出揃ってくれました。結局観察種は67種となり日帰りバスツアーとしては例年通り多く記録することができました。皆様お疲れ様でした。
石田光史