【ツアー報告】絶景の立山 ライチョウの親子に会いたい! 2019年7月22日~24日
(写真:ライチョウの親子 撮影:刈田宏様)
毎年、梅雨明けに合わせるように出発する立山ツアーですが、今年はまだ梅雨明けしていない状況での出発となりました。この時期の立山室堂はライチョウの親子連れに出会う確率が高いほか、イワヒバリの親子連れに出会うことも多く、また周辺を埋め尽くすように咲き乱れるチングルマやイワカガミ、ハクサンイチゲなどの花々も見事です。また個人で行く場合は、何度も何度も乗り換えや荷物の積み下ろしをしないと室堂までたどり着けないのですが、ツアーでは富山駅から直接室堂まで行くことができ、また天候の急変などの場合でもバスを好きな時間に使えるため何かと便利です。今回は前半の天気予報が芳しくなく、またまた天気予報を見ながらの進行になりそうでした。
22日、小雨が降る東京駅を新幹線で出発し、ひとまず富山駅を目指しました。北陸新幹線の開業に伴い、とても近くなったことは我々にとっては嬉しいことで2時間ほどで到着することができます。途中、車窓からはやや明るくなり、雨が止んでいる様子も見られましたが、到着した富山駅はやや強い雨が降っていました。現地集合のお客様と合流した後は専用バスにてまずはホテルを目指しました。途中、昼食の時間をとり、その後再度出発しましたが、この頃からは雨はさらに激しくまってしまいました。山道を進むと途中、ニホンカモシカに出会い、称名滝を見ながらやや霧がある弥陀ヶ原に到着しました。到着後はホテルのロビーをお借りして観察機材の準備をしていただき、雨が再び強まったことから雨具の準備もしていただいてから室堂に向かいました。霧による視界不良が心配でしたが、なんとか視界があることから室堂平を歩いてみました。やや風があり雨が降りしきる中だったため残念ながら野鳥の気配はありませんでしたが、チングルマやイワカガミの花は美しく、みくりが池温泉付近まで来るとハイマツに止まるカヤクグリの姿がありました。雨が強まったことから来た道を戻ると、谷沿いの斜面を歩くライチョウの姿がありました。ヒナは連れていないようでしたが室堂平に向かって移動していたことから行ってみると、間近に姿を現してくれ、我々のすぐ前を歩いて霧の中に消えていきました。ただこの辺りでさらに雨が激しくなったことからこの日はホテルに戻ることにしました。
23日、この日は天候は回復するとの予報でしたが早朝は曇り空で時折小雨が降っていました。それでも早朝からホテル周辺を歩いてみると遠くの木にはホシガラスが止まり、ウソが何度もやってきてくれました。また林からはルリビタキ、ミソサザイ、アカハラ、クロジといった鳥たちのコーラスが聞こえ、カッコウ、ホトトギスの声も聞こえました。朝食後に出発してこの日も室堂に向かいました。同様に小雨が降り、やや視界が悪かったですがこの日もみくりが池温泉方面に向かうと、昨日、ライチョウが見られた谷付近でヒナを連れて歩いているライチョウの姿がありましたが、ちょうど霧が濃くなってしまいじっくり見ることができませんでした。しばらく待ってみましたが雨が一層激しくなってしまい、視界が全くなくなってしまったことから一旦バスに戻り、その後はホテルに戻ることにしました。結局2時間ほどホテル待機していただいた後、再び室堂に向かい昼食をとっていると次第に周囲が明るくなってきたことから午後は再び探鳥に出かけました。まずは室堂平に入ってすぐのところでイワヒバリの親子に出会うことができ、巣だった幼鳥に餌を運ぶ様子を観察することができました。その後は昨日、今日とライチョウに出会った場所を歩いて探してみましたがその姿はなく、仕方なくみどりが池に沿うように歩きながら探すと昨日に見た個体と同じ個体と思われるメスがひょっこりと現れ、よく見ると周囲には数羽のヒナの姿がありました。はじめはやや距離がありましたが、それでも親の周りを歩き回ったり、親の腹の下に潜り込んだりする4羽のヒナたちの姿をじっくりと観察することができ、驚いたことに最後は我々の間近を歩いて道の反対側の斜面を下って行きました。激しい雨と濃い霧で始まった1日は快晴の中、結果的には予想以上のシーンを見ることができて終えることができました。
24日、ようやくの青空の下、この日も早朝からホテル周辺を歩きました。早速、ホシガラスが針葉樹のてっぺんで鳴き騒ぎ、ウソは間近の木に止まってその姿を楽しませてくれました。またこの日はメボソムシクイが何度も何度も枯れ木に止まってさえずってくれたり、ヒガラがやってきたり、アカハラが枯れ木に止まったりとその姿も楽しむことができました。
朝食後に出発予定でしたが、昨日、ライチョウの親子をじっくり見ることができたことから、この日はまず展望台まで歩いてみました。花のピークは過ぎているようでしたが、キヌガサソウ、ツマトリソウ、マイヅルソウなどが見られ、展望台からは見事な眺望が楽しめました。そしてここでもホシガラスが間近にやってきて楽しませてくれました。その後は再び室堂に向かい、絶景の中、この日はまた別のライチョウの親子に出会うことができ、今度はヒナを5羽連れた姿を見ることができました。またみくりが池温泉ではカヤクグリの姿があり、その後はここまで歩いていない、みどりが池周辺を歩き、チングルマやコイワカガミ、ハクサンイチゲ、そしてここまで見ていなかったミヤマリンドウやアオノツガザクラなどの花々を見ながら歩き、最後はまたまたイワヒバリの親子に遭遇し、間近にじっくりと観察して探鳥を終了しました。その後はホテルまで戻って昼食とし、最後は1時間だけではありましたが、現地駐在のガイドさんと共に弥陀ヶ原の木道を歩きました。ここでは主に花々の解説をしていただき、テガタチドリやワレモコウ、ゼンテイカ、そして微妙な色合いが美しいタテヤマリンドウ、またモウセンゴケやワタスゲ、アカモノ、そして最後はタテヤマチングルマの花を見てから現地を出発して富山駅に向かいました。
今年の立山ツアーは梅雨明け前だったことから天候が安定せず、2日目の午前中までは良い条件での探鳥ができませんでした。ただその後は一気に天候が回復し、主な目的だったライチョウの親子に出会うことができ、幸いにもかなりじっくりと、そしてかなり間近に観察することができました。また翌日には別のライチョウの親子にも出会うことができ、さらにはイワヒバリの親子にも出会うことができました。また弥陀ヶ原ではタテヤマチングルマやタテヤマリンドウ、アカモノ、ハクサンチドリなどさまざまな花々を観察することができたほか、ホシガラスやメボソムシクイ、ヒガラ、アカハラ、ウソなどにも出会うことができました。今後も乗り換えなしで一気に弥陀ヶ原や室堂まで行けるよう、夏の定番ツアーとして企画していきます。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史