【ツアー報告】初夏の霧ケ峰 レンゲツツジと小鳥たち 2019年6月13日
(写真:ノビタキ 撮影:青山晴人様)
梅雨入り後ではありますが、ちょうどレンゲツツジの花が美しい時期に合わせて清々しい気候の高原を訪れる日帰りバスツアー。今回は霧ケ峰に向かいました。なかなか天候が安定しない季節ではありますが、この日は幸にも全国的に晴天の1日となり、涼しいはずの霧ケ峰も陽射しが気になるほどでした。数ある日帰りバスツアーの中でも観察種数はかなり少ないことが予想されますが、それでも高原の雰囲気と美しい小鳥類に期待して出発となりました。
13日、すっきりした晴天の中、この日は観察地が遠いことから出発時間を通常の日帰りバスツアーよりも30分ほど早い07:30に設定していましたが、順調にご集合いただいたことから、予定通り出発することができました。移動中はいつものように観察できるであろう野鳥たちの識別ポイントなどを解説しながら進め、途中休憩では美しい青空に南アルプスの山々の景観が見事でした。お昼前には霧ケ峰に到着し、気温16℃の中、まずは観察機材の準備をしてから探鳥を開始しました。駐車場付近では早くもホオアカがさえずり、遊歩道を歩いて行くと早速、ノビタキのオスが姿を見せてくれました。観察しているとメスもやってきてどうやら繁殖中のようでした。さらに進むとここでも繁殖中のノビタキのペアに出会うことができ、観察していると頻繁に餌を運んでいたことからヒナがかなり大きくなっているようでした。観察していると思わず近づいてしまうのですが、あまり近づき過ぎると親鳥がヒナに餌を与えることができず、ヒナが死んでしまうことがあり、今回もそういった状況が予想されたことから距離を取って観察することにしました。すると親鳥はさらに頻繁にヒナに餌を与えていました。その後は一旦駐車場に戻って各自昼食の時間とし、その間にもカッコウやコガラが鳴き、カラマツにはカワラヒワが止まり、そして間近にあるカラマツにはヒガラがやってきて盛んに餌を探していました。昼食後は移動して探鳥しましたが期待したビンズイの姿はなく、どうしたことかと思っていましたが、なんとここでいきなりジョウビタキが登場。観察しているとオスとメスがいるようで口には餌を咥えていました。付近には小屋があり、この小屋の軒下に巣を構えているようでした。頻繁に餌を運んでいることから繁殖していることは確実で大変驚きました。ここ数年、乗鞍や上高地でも夏季に観察されていることから、いよいよ霧ケ峰でも繁殖となったようです。その後は眺望の良い場所に移動し、さえずるホオアカ、そしてノビタキも見られ、岩の上にホオアカとノビタキが並んで止まる珍しいシーンを見ることもできました。この日は快晴だったことから富士山や八ケ岳など見事な景観も楽しむことができました。そして時間があったことから最後に八島湿原に移動して観察することにしました。ここでは距離はあったものの梢でさえずるカッコウを観察することができたほか、ウグイス、そしてなかなか姿を見せてくれないホトトギスが最後に飛翔する姿を見せてくれたほか、ホバリングを繰り返すノスリを観察して探鳥を終了しました。
梅雨を迎えて難しい季節ではありましたが、当日は幸にも快晴の1日とまり、涼しい霧ケ峰も陽射しが厳しく感じるほどでした。レンゲツツジの花はまばらでしたが、ノビタキは繁殖行動を見せてくれ、ホオアカも見事なさえずりを聞かせてくれました。また近年、信州エリアで繁殖しているジョウビタキの繁殖行動が見られたことは貴重な経験でした。そして快晴の1日だったことから南アルプス、北アルプス、そして八ヶ岳や富士山までその見事な眺望を楽しむことができ幸いでした。この度はご参加いただきましてありがとうございました。
石田光史